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2015年10月05日(Mon)
朴大統領の“中国傾斜”は韓国に有益か?
(リベラルタイム 2015年11月号掲載)
日本財団理事長 尾形 武寿



Liberal.png韓国の朴槿恵大統領が9月3日、中国共産党が主催した抗日戦争勝利記念式典と軍事パレードに、内外の慎重論を押し切って西側首脳として唯一、出席した。

最大の同盟国・アメリカと最大の貿易相手国・中国の板挟みの中での苦渋の選択と推察するが、中国と周辺国の長い歴史を踏まえると、中国傾斜に、いささかの懸念を覚える。
式典の運びについて、専門家が興味深い分析をしている。当日、習近平国家主席夫妻は大和殿上段に立ち、出席者は天安門から大和殿まで赤絨毯の上を進み、夫妻に挨拶した後、待合室に移動した。属国の代表を謁見する、かつての大中国の皇帝そのままの姿だったというのだ。

トップは潘基文・国連事務総長、最後はプーチン・ロシア大統領。プーチン大統領は挨拶の後、習夫妻と並んで待合室に移動し、対等の立場が演出されていた。

朴大統領は普通の扱い。出席反対の声を意識してか、紫禁城の主(皇帝)の色である黄色いスーツを身に着け、天安門の楼上に登る際、習夫妻の数歩前を歩いた。軍事パレードの間もサングラスを離さず、立ち上がって拍手することもなかった。扱いに対する不満があった可能性もある。

朴大統領に対する支持率は昨年4月のセウォル号沈没事故以降、30%台を低迷した。しかし地雷爆発に端を発した8月の南北高位級接触での強気の姿勢が功を奏し、支持率は50%超に急上昇した。

軍事パレードへの出席は、高位級接触での有形無形の中国の協力に対する感謝と今後の支援に対する期待の表明であろう。

朴大統領は2013年6月、習国家主席と会談した際、ハルピン駅で伊藤博文・初代朝鮮総督を暗殺した安重根の記念碑建立を要請。これに対し習国家主席は駅構内に記念碑ではなく大きな記念館を建て関係者を驚かせた。習国家主席は「血の結束」を誇った北朝鮮を無視して韓国訪問も実現している。朴大統領に対する“手厚い配慮”の裏には、日米韓の同盟関係に楔を打ち込む中国の狙いがある。

日中韓三国に新政権が誕生して二年半。当初、多くの人が未来志向の新しい三国関係が始まると期待した。しかし現実は、歴史問題、慰安婦問題を中心にした中韓両国の日本攻撃だけが突出する結果になっている。

今年は日韓平和条約締結50周年。半世紀前、現大統領の父親の朴正煕元大統領は、条約締結で日本が支払った有償、無償の賠償や民間借款を基にインフラを整備、「漢江の奇跡」といわれた経済復興を成し遂げた。賠償金は当時の韓国の国家予算の2.3倍、個人に対する賠償金も含まれていた。

しかし近年、韓国の司法は徴用工らの請求権を過去に遡って認め、国際法の原則に反するばかりか、法治主義の存在を疑わせる結果も招いている。

過日、大統領の妹の朴槿令氏が日本のインターネット番組で朴元大統領について「国交正常化こそ生きる道と思って推進した父を誇らしく思う」と語り、日本攻撃を続ける姉の姿勢を批判、懸案の慰安婦問題も、韓国政府が責任を持って対処する必要性を強調した。傾聴に値する意見だと思う。

今回の訪中を機に朴大統領が米韓同盟の枠内で中国との関係を強める「安米経中」から、米韓同盟と中韓協力を並立させる「均衡外交」に舵を切った、と見る向きもある。

隣国関係はいつの時代も難しく、対立が深まれば双方が失うものも大きい。しばし朴大統領の動きを見守りたく思う。(了)
タグ:韓国
カテゴリ:世界







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