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2015年09月15日(Tue)
質の高い在宅ケア実践目指す
訪問看護師の役割増大
教育研修会に多数の応募


本格的な高齢化社会を迎え、訪問看護師(注1)が果たす役割に期待が高まっている。病いや老いなどにより、人が人生を終える時期に必要とされるケア(注2)。看護師がその重要な役割を果たすためには、要望に応えられるだけの知識や技術が不可欠であり、訪問看護の担い手を質量ともに充実することが求められている。そんな中で公益財団法人日本訪問看護財団(清水嘉与子理事長)は12(土)、13(日)の両日、東京都大田区西蒲田の東京工科大学で、質の高い在宅ケアの実践を目指し、看護師を対象にした教育研修会を開いた。多数の応募者の中から今回は82人が参加、医療・看護現場のベテラン講師による演習にしっかりと耳を傾け、自分たちの意見を積極的に出し合った。

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研修会の全景(左)、受講者に呼び掛ける、あすか山訪問看護ステーション統括所長の平原優美さん(右)

同財団によると、研修会への関心は高く、会場スペースの都合で約50人のキャンセル待ちを出すほど多数の受講希望が全国から寄せられた。参加できた82人も関東エリアを中心に、青森や佐賀、沖縄各県など遠隔地からの参加者も目立った。

研修は、「エンド・オブ・ライフ・ケア」(注3)を理解し、さまざまな問題を調整する、訪問看護師の役割を学ぶとともに、多職種の人が連携して支援する「チームケア」の質を向上させるため具体的方策を考える―ことが狙い。

「看護」「倫理的問題」「文化への配慮」「痛みや症状に対する調整」「コミュニケーション」「喪失・悲嘆・死別」「臨死期のケア」など、日本緩和医療学会の看護師教育プログラムに従い、少しアレンジも加えて、10の演習プログラムを組み、実践した。

患者の「痛み」に焦点をあてた講義
患者の「痛み」に焦点をあてた講義

「喪失・悲嘆・死別」の講義
「喪失・悲嘆・死別」の講義

講義画面から
講義画面から

終了式の様子
終了式の様子


終末期の看護についての演習で講師を務めた、日本訪問看護財団あすか山訪問看護ステーション統括所長の平原優美さんは、日本財団の支援に感謝した上で「看護知識だけでなく、その人の人間性が表れるのが看護。自分の死生観、あるいは生きていることをどう考えるか、という哲学がどれくらいあるかでケアは違う。知識はもちろん身に付けていただくが、それよりもっと重要なことは、自分自身の死生観がどれだけ整理されているか、ということだ。『私って死ぬんですか』と言う人に、逃げないで、目が泳がないで、目をそらさないで、しかりその人の目を見ながら、『死についてそう考えておられるんですね』と聞ける、死についてきちんと語れる、そんな看護師にぜひなっていただきたい」と訴えた。


どの演習も重い内容の連続。在宅看護、訪問看護、緩和ケア、がん看護などの専門講師が研修テキストに従って解説。講師が折に触れて巧みに織り込んでいく豊かな臨床話には、やはり受講者から目立った反応が起きていた。

最後に平原さんは「この2日間でつくった自分の引き出しに、この後も自分の経験を入れ、足りない・経験がない、というところを一つ一つ知って、埋めていってほしい。やればやるほど自信がなくなり、また勉強をする繰り返しだとは思うが、これがワンステップということで、学習・哲学などいろんな幹を育てていってほしい」と呼び掛けた。

2日間の全演習受講者には修了証を手渡した。

(注1)訪問看護師
乳幼児から高齢者まで家族も含めて、医師と連携して疾病や傷がいの悪化防止、病院などからの在宅移行支援、在宅療養支援、在宅看取りを行うのが訪問看護。訪問看護師は自宅を訪問して健康面や生活などで気になっていることを聞き、血圧や脈拍などを測定したり、体調を観察したりして、医療と生活の両面を合わせて判断する。疾病の悪化防止や生活障がいの予防、健康管理などを行う。医師の指示のもと体調によっては、点滴や注射、傷や床ずれの処置、胃ろうなどの栄養管理や吸引などの呼吸管理、服薬管理を含めた疼痛の世話、下剤の調整なども行う。医療的な世話は、かかりつけ医と相談したり、指示を受けたりして行う。介護予防や介護方法、在宅での必要な訪問介護などのサービスについて、相談・助言も行う。(日本訪問看護財団の資料から)

(注2)ケア
看護師が行う療養上の世話。注意や用心。心遣いや配慮。家族や介護者の介護の支援。

(注3)エンド・オブ・ライフ・ケア
病や老いなどにより、人が人生を終える時期に必要とされる、看護や介護、配慮や気遣い。1990年代から米国で使われるようになった、比較的新しい言葉。緩和ケア、ホスピスケアとほぼ同義。疾患を限定していないことが特徴。質の高いエンド・オブ・ライフ・ケアを提供するために、看護師には思いやり、能力、信頼、良心、専心の5要素が求められる。
(日本訪問看護財団の資料から)

(竹内博道)


タグ:在宅ケア
カテゴリ:健康・福祉







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