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2015年09月11日(Fri)
避難所生活を体験してみた!
三重県伊勢市の体育館で官民24人参加
被災者のニーズに応えるのに手一杯状態


東日本大震災から4年半がたつ。次の大災害が想定される中で、どうしたら避難所での「災害関連死」が防げるのか。日本財団はこうした目的意識から、避難所生活を実際に体験する被災者支援拠点運営訓練を9月7、8日の2日間、三重県伊勢市の御薗B&G海洋センターで行い、県内の自治体職員、民間団体職員ら24人が参加した。

参加者全員が体育館で車座になって反省会
参加者全員が体育館で車座になって反省会
訓練は台風18号が東海地方に迫り、時折雨が激しく降る中、行われた。午後2時半から受付が始まり、参加者は宿泊用具一式や懐中電灯などを持参して集まってきた。午後3時、会場の体育館で訓練が開始され、まず日本財団の青柳光昌ソーシャルイノベーション本部上席チームリーダーが「暑いので体調に気をつけてください」と挨拶した。

続いて、田村太郎ダイバーシティ研究所代表理事が「災害直後の避難所運営の実際」と題して講義した。大規模災害が起きた場合の課題は
(1) 初期の大量避難者への対応
(2) 長期の避難者へのケア
の二つで、まず支援のニーズを取りまとめ、しばらく公的支援はないという前提で避難者自身による自治を形成することだと述べた。

さらに、訓練で身に着けたい三つの視点として
(1) 多様な避難者の多様なニーズを理解する
(2) 「誰か」ではなく、「避難者自ら」ができることを考える
(3) 個別のニーズとともに、全体のニーズを見る
を挙げた。最近の地震時に避難所の様子を撮影した写真や動画を見せながら、対応の仕方を指南した。

このあと、「遠州灘でマグニチュード8.6の地震が発生し、津波が三重県全体に及んでいる。電気・水道・ガスのライフラインが止まり、一般電話はもちろん、携帯電話も使えない」というシナリオで午後4時、訓練を開始した。参加者は2グループに分かれ、あらかじめ決められた役割を演じるという形で進められた。健常者で健康な人と、障害者や病気・けがをしている人がほぼ同数という状況になる。

避難所での病人の役割を熱演する参加者たち
避難所での病人の役割を熱演する参加者たち


参加者はほとんど初対面という役割設定になっていて、まずリーダー選びから始まった。そのあと、健常者の間で医療・福祉・介護などの担当が決められ、障害者や病人・けが人への聞き取りがスタートした。病人やけが人の役割を振られた人は懸命に症状を説明。それを聞いた人がリーダーに伝え、対応策を相談した。リーダーは知恵を絞って解決しようとしたが、初体験の人が大半で、避難所の開設までには予想以上の時間がかかった

約2時間後、訓練はいったん終了し、グループごとに「なぜ避難所開設が遅れたのか」について討論した。リーダーの一人は「病人などになった人の演技がうますぎて、最後はこちらが怒ってしまった」と振り返った。避難所のスタッフ役の人からは「最終的にどうすべきかの情報が共有できていなかった」「周りの人を頼ってしまい、自分でやるという意識が足りなかった」などの意見が出た。田村代表理事は「被災者からの要望にはあわてて答えず、よく考えてから答えればいい。また、スタッフへの指示はできるだけ小さく分けて頼んだほうがいい。『大丈夫ですか』という大雑把な言い方は駄目です」と、きめ細かくアドバイスをしていた。

参加者全員でおにぎりとパンの夕食をとった後、避難所の運営体制をどうすべきか、どんな設備・備品が必要かをグループに分かれて討論した。参加者は自らの体験を元に色々なアイディアを出し合い、代表が模造紙にマジックペンで書き込んだ。この作業は午後10時までに終了、体育館の床に薄いマットを敷いて就寝した。

避難所の運営体制などを話う参加者たち
避難所の運営体制などを話う参加者たち


2日目は午前7時半に起床、朝食などを済ませ、8時から訓練を再開した。被害発生から3日目で、周辺の道路が寸断され、完全な孤立状態になり、交通手段はヘリだけという想定で訓練が始まった。避難所の人数も100人に増え、約2000世帯、住民約5000人の地域全体をどう支援するかという観点からまず、ニーズの総量をつかむことから始めた。それを踏まえ、医療、福祉、介護、食料などの分野ごとに必要な設備、備品、マンパワーの人数などを検討した。この結果は、地域全体を統括するエリアマネージャーに伝えられた。

最後に参加者全員が体育館で車座になり、今回の訓練で学んだこと、今後この体験をどう活かすか、について感想や意見を述べ合った。「今まで私は何でもやってもらう人だったけど、みんなでやらないといけないことを実感した」「自分で弱者を演じてみて、弱者の気持ちを大事にすることが大変なことだと思った」など、体験に基づく意見が多かった。また、「人とのつながりが大事と実感した。普段から近所の付き合いをきちんとしていきたい」「地域の外へ出て支援する体制作りができるよう、仲間と話し合っていきたい」などの建設的意見も目立った。

避難所に必要な設備や備品を模造紙に書き出す参加者
避難所に必要な設備や備品を模造紙に書き出す参加者


日本財団は8月11、12日の「次に災害に備えるための人材育成事業研修」に続いて今回、被災者支援拠点運営訓練を行い、避難所での災害関連死を防ぐためのノウハウを体験的に学んでもらった。この後、9月29、30日に「みえ県民交流センター」(津市)で災害時エリアマネジャー養成訓練を実施し、地域全体の運営支援を担う人材育成を目指す。

(飯島一孝)









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