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2015年09月02日(Wed)
フォトジャーナリスト・安田菜津紀さんと語る「いのち」のこと
戦後70年記念のママプロ・イベント開催

終戦から70年を記念して、フォトジャーナリストの安田菜津紀さんと「いのち」について考えるトークイベントが8月26日、東京都・赤坂の日本財団ビルで開かれた。子育て中の女性やスーツ姿の男性など約40人が参加。紛争地域などで命と向き合ってきた安田さんの話に真剣に耳を傾け、講演後には次々に質問もして考えを深めていた。

講演するフォトジャーナリストの安田菜津紀さん
講演するフォトジャーナリストの安田菜津紀さん

安田さんは1987年、神奈川県生まれ。16歳の時、日本のNGO「国境なき子どもたち」が募集した「友情のレポーター」として、カンボジアで貧困にさらされる子ども達を取材した。こうした経験などをきっかけにしてフォトジャーナリストの道を歩み始めた。現在は、カンボジアを中心に、東南アジア、中東、アフリカ、日本国内で貧困や災害の取材を進めるほか、ラジオのパーソナリティも務めている。

イベントの前半は、安田さんが「いのちを見つめて 〜終戦70年目の夏に思う〜」と題し、ヨルダンに逃れてきたシリア人が暮らすザータリ難民キャンプについて、撮りためた写真を紹介しながら講演した。まず、人口約600万人のヨルダンに、このキャンプだけでも8万人を超える難民が流入していることなど、現地の状況を説明。続いて、そこで出会った何人かの子どもや大人達について、難民となる前の暮らしぶりから、現在の状況、将来の展望まで、彼らが語ったことを交えながら話した。

安田さんの話と写真を通して、難民キャンプの現状を学ぶ参加者たち
安田さんの話と写真を通して、難民キャンプの現状を学ぶ参加者たち


例えば、アミナちゃんという少女は足を負傷し、誰の付き添いもない状態で病院のベッドに横たわっていた。聞けば、父母はともに存命でシリアに残っているという。なぜ、彼女だけがこの病院にいるのか。それは、アミナちゃんがヨルダン側に搬送される時、父母は入国を許されなかったからだった。ヨルダンではシリア難民の数が膨れ上がっており、受け入れが厳しくなってきていることが背景にあった。

母親と二人で逃れてきたという5歳のアブドラくんは、初めて会った時、病院のベッドの上で呼びかけにも反応できない状況だった。再訪したとき、アブドラくんは上半身を起き上がらせるところまで回復し、かすかにだが安田さんの手を握ってくれた。また、付き添う母親に前回撮った写真をプレゼントするととても喜んでもらえた。わが子が体を動かせなかった時の暗い写真なのに、なぜか。着のみ着のまま出国したため、思い出の品がほとんど手元にない状況だったからだった。「次は、アブドラが元気に走り回れるようになった姿を撮りに来てね」と母親に言われて別れた。しかし、その夢はかなわなかった。安田さんが帰国してわずか1週間後、容体が急変しアブドラくんは亡くなった。

シリア難民の現状を紹介しながら、命について語る安田菜津紀さん
シリア難民の現状を紹介しながら、命について語る安田菜津紀さん


安田さんは、「戦争が始まれば僕たちはチェスの駒なんだ。動かす人間は決して傷つかない」というイラク人の友人の言葉を紹介し、紛争で多くの一般人が命を落としている現状を訴えた。また、シリア人の友人から「日本はすごい。あれだけぐちゃぐちゃにされたのに、平和で安定的な国を作った。自分の国も今はめちゃくちゃだけど、いつか日本のような国を目指したい」と言われたと紹介し、「複雑な思いだ。日本はこれからどういう方向へ向かうのか。本当に繰り返してはいけないことを、(繰り返さずに)守ることができるのか。戦争による痛みを知っているからこそ、彼らの未来を破壊するのではなく、照らし出せる存在であることを守りたい」と、日本で迎えた節目の夏の気持ちを語った。

質疑の時間には、シリア紛争のきっかけや、今後取材してみたい地域、日本の難民受け入れの現状といった質問が次々に出された。最後に、2012年8月、シリア取材中に戦闘に巻き込まれて亡くなったジャーナリスト山本美香さんについて問われ、安田さんは、山本さんの死をきっかけに、「何かあった時にどうするか」という避けていた課題を、同業の夫と徹底的に議論したと明かした。参加者は、安田さんがフォトジャーナリストとして取材先で出会う人だけでなく、自分や家族の命にも日々向き合っていることを聞き、それぞれの命について思いをいたしていた。

イベントの終盤は質問が相次いだ
イベントの終盤は質問が相次いだ


このイベントは、日本財団ママの笑顔を増やすプロジェクト(ママプロ)」が毎月25日のランチ時間に、日本財団ビルで開いている「みんなニコニコミーティング」として開催。次回は9月25日正午から、環境・平和活動家の丹羽順子さんを招いて、「地球市民として生きるとは? コスタリカの暮らしと平和環境教育」をテーマに開く。申し込みは、http://u777u.info/nqeuまで。
(益田美樹)


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