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2015年06月05日(Fri)
性犯罪をなんとか減らしたい!
人身取引被害者サポートセンター 藤原志帆子「ライトハウス」代表に聞く

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女性からの深刻な相談に耳を傾けるホットラインのスタッフ

東京南部のマンションの一室。深夜まで煌々と灯る明かりの下で、女性スタッフが受話器を握り締める。若い女性の絞り出すような声が、苦しい胸のうちを語り出す。毎月全国からホットラインに寄せられた性的搾取に関する20〜30件の相談に対応し、スタッフが事態解決に走り回る―。政府がこのほど日本人や外国人を強制的に働かせたり、売春を強要したりする人身取引の被害・取締り状況をまとめた年次報告書を初めて公表、関心を呼んでいる。この問題に取り組んでいるNPO法人・人身取引被害者サポートセンター「ライトハウス」の藤原志帆子代表に活動状況などを聞いた。
藤原さんは18歳の時、米国のウイスコンシン大学に留学、NPO団体「ポラリスプロジェクト」の活動に参加して初めて人身売買や強制労働の実態を知った。北海道に生まれ育った若い女性にとって、それは思いがけない出来事だった。

「ちょうどヒュ−マン・トラフィッキング(人身取引)という言葉が出始めた時で、マレーシアやタイから来た留学生仲間から『あなたの国から私たちの国に、ものすごくたくさんの人が買春に来ている』といわれ、恥ずかしくなった。調べているうちに、米国で働いている場合ではない、日本に帰ってなんとかしないといけないと思った」

2004年、米国務省から助成金をもらい帰国。東京に事務所を借りて翌年、同団体の日本事務所「ポラリスプロジェクトジャパン」を立ち上げた(14年にライトハウスに名称変更)。最初はパートタイマー、学生インターン3人の計5人体制でホットラインを始めた。英語と日本語で受付を始めたところ、すぐ相談が寄せられた。

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東南アジアの女性を救った状況を語る藤原ライトハウス代表

「当時はフィリピンやタイなどから生活費を稼ぎに働きに来ている女性が多かった。千葉県のクラブで働いていた女性は借金漬けにされ、その返済のために売春を強要され、法外なノルマを押し付けられた。私たちが紹介した弁護士が間に入り、解決したが、女性自身が当事者意識をなくしてしまっているケースが目立った」

藤原代表に最近の傾向を聞くと、「アダルトビデオ(AV)による被害が非常に増えている」と眉を曇らせた。被害者は若い女性に多く、モデル事務所やスカウトに「アイドルになるための契約だ」といわれて契約書にサインする。次に事務所に行くと「AVデビューの日だ」といわれ、いきなり裸を強要されるケースが少なくないという。

「スカウトの手口が巧妙になった。16,7歳の女性だととりあえず契約させ、デビューは18,9歳からにしている。警察に訴えても契約書はあるので、18,9歳だとなんとか刑罰から免れる。16,7歳の場合、スカウトは罪に問われるが、ビデオは世間に出回ってしまい、一生残ってしまう。最近は11,2歳の女の子を集めて裸に近い姿でファンの撮影会を開き、そこでの写真やビデオを大量販売している業者もある」

藤原代表は政府が初の人身取引に関する年次報告書を公表するなど積極的に取り組み始めたことを評価する一方、人身取引禁止法(仮称)を新たに制定しないとわが国の性犯罪は減らないと指摘する。

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広報の瀬川愛葵さん(左)と打ち合わせをする藤原代表

「政府は現行法で対応するとしているが、個別の法律では多くの場合、加害者は罰金で終わってしまい、痛くもかゆくもない。欧米だけでなく、韓国や台湾でも包括的な人身取引禁止法ができて効果を発揮している。日本でもこういう法律を作らないと根本的な解決にはつながらない。弁護士の間で同じ考えの人たちが増えていて現在、民間団体と弁護士とで定期的な勉強会を行って立法化を検討している」

最後に藤原代表は、「日本では性を売買したり、商品化したりする文化が欧米より根強く、『性の問題には被害者がいない』という雰囲気がある。男性だけでなく、女性にもこういう考え方の人がいて、被害者を助けられない状況が続いている」と強調、人身取引問題を是非自分たちの問題として捉えてほしいと訴えている。

日本財団は今年度、ライトハウスに400万円を助成し、性犯罪などの被害者救援活動を支援している。(飯島一孝)

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