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2015年03月05日(Thu)
イチゴのブランド化や介護の充実に 「わがまち基金」のシンポ開催
大勢の人が参加したシンポジウム
大勢の人が参加したシンポジウム

東日本大震災の復興支援策として、日本財団が被災沿岸域の信用金庫と連携してソーシャルビジネスなどに融資支援する「わがまち基金」プロジェクト。被災地の復興状況と今後の課題を検討するシンポジウムが3月3日、東京・赤坂の日本財団ビルで開かれた。融資を活用して事業を展開している事例が報告され、復興の歩みが確かになっている半面、住宅再建の問題や、原発の風評被害など厳しい環境も浮き彫りになった。
このプロジェクトは、被災して事業継続・再開が困難な企業や被災地で新たに事業を開始する企業、福祉などソーシャルビジネスに取り組む団体に、融資の受ける際の利子補給や経営支援を行う。2013年12月にスタートし、岩手、宮城、福島の3県の5信金を通じて、14年12月末までに計1000件、280億円以上の融資を行っている。当初目標の3年間で950件を大きく上回る実績となり、被災地の復興への動きが強いことを示している。

会場には各信金の事業を紹介するコーナーも
会場には各信金の事業を紹介するコーナーも


冒頭あいさつした日本財団の尾形武寿理事長は「まだ23万人の被災者が避難生活を余儀なくされている。もう少しスピードを上げて生活を取り戻すようにしないと。国が進めている地方創生事業は被災地でこそモデルで取り組むべきで、その成果は日本中に伝播する」と述べた。

「スピードを上げて復興を」と尾形理事長
「スピードを上げて復興を」と尾形理事長


プロジェクトに参加している宮古、石巻、気仙沼、ひまわり、あぶくまの5信金の理事長がそれぞれ地域の特性を生かした基金活用を紹介した。引き続いて復興庁の北村信・統括官付審議官が基調講演。地域経済の復興にはソフト面での支援が重要だと指摘し、販売ルートの開拓やブランディングなどで大手企業やNPOを含めた官民連携の取り組みが緊急の課題だと強調した。

挨拶する各信金理事長
挨拶する各信金理事長
基調講演する北村審議官
基調講演する北村審議官


融資を活用した2件の事業が紹介された。「相馬の里」(大内安男代表取締役)は南相馬市で福祉施設を運営している。津波と原発事故により新潟県内に避難し、介護事業を一時はやめようとしたが、あぶくま信金の半澤恒夫理事長から背中を押され、デイサービスなどを再開。今年2月には「わがまち基金」を活用してグループホームを立ち上げた。現在では8事業所、33人を新規雇用している。原発事故などの影響で人手不足問題を抱えながら大内さんは「資金面のバックアップを受け介護に掛ける想いが一層強くなった」と力強く話した。

いち早く介護施設を再開した大内さん
いち早く介護施設を再開した大内さん


一粒1000円、桃の香りがするイチゴ「桃薫」のブランド化に成功したのは宮城県大崎市、いちご倶楽部の田内伸子さん。東日本大震災発生時には長野県・軽井沢でイチゴ栽培をしていた。「仕事を創ることが地域に元気を取り戻す」と帰郷を決意、1人で660平方bのハウスから始めた。年齢もあり資金面で行き詰った時に、石巻信金から「わがまち基金」を利用した融資を受けることができた。イチゴを活用した石鹸の製造販売にも取り組んでいる。田内さんが結んだ言葉。「この大崎から、この奇跡のイチゴで被災地に新しい風を起こし魅力ある東北を創っていきたい」。

「桃薫」をPRする田内さん
「桃薫」をPRする田内さん


最後の各信金の担当者と復興庁らによるパネルディスカションが開かれ、被災地での課題などが討議された。この中で出されたのが住宅再建。「宅地不足で地価が高騰している」「資材の高騰で資金の手当てができない事態陥っている」。各信金ともスピード感を持って住民の期待に応えたいという意見が出された。日本財団「わがまち基金」推進チームの荻上健太郎チームリーダーは、住宅再建の本格化に向けたメニューを具体化する意向を示唆した。

信金担当者らによるパネルディスカション
信金担当者らによるパネルディスカション


東日本大震災発生から間もなく5年目。インフラ整備からさらに一歩進めて、人々の生活を取り戻すきめ細かい官民連携の取り組みが強く期待される。(花田攻)




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