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2014年06月19日(Thu)
個人が、企業が簡単に寄付できる社会に/日本ファンドレイジング協会が5周年記念シンポ
 日本の社会に「寄付文化」を根付かせる活動を進めている日本ファンドレイジング協会(鵜尾雅隆・代表理事)が創設されて5周年になったのを記念するシンポジウムが6月13日、東京・赤坂の日本財団ビルで開催された。「2020年 寄付10兆円に向けて」のテーマで活発な議論が交わされ、個人、団体、企業があらゆる機会に簡単に寄付ができるように社会のシステムづくりを目指すことが確認された。

シンポには大勢の参加者が詰めかけた
シンポには大勢の参加者が詰めかけた
 同協会は2009年に設立、資金集めに関わる人と社会貢献に関心のある個人・団体をつなぐ活動をしている。会員数は当初の224人から現在では1000人まで賛同者が増えた。日本財団の支援を受けて活動資金を募るためのノウハウを学ぶセミナー開催や、資金集めの能力を高めるとともに高い倫理観を持つ認定ファンドレイザー資格制度も実施している。

 開催に先立って、日本財団の佐藤英夫常務理事が挨拶し「協会の発展は寄付文化の進展のバロメーターだ。今後は寄付教育の面で協力していきたい」とエールを送った。シンポには様々な立場でファンドレイジングに関わっている5人が登場し、それぞれ活動状況を紹介。司会は鵜尾代表理事が務めた。

エールを送る日本財団の佐藤常務理事
エールを送る日本財団の佐藤常務理事

 ソフトバンクモバイルの池田昌人CSR企画部長は、NPOなどの団体のロゴにスマートフォンをかざすだけで、募金ができるアプリ「かざして募金」を説明。募金額や継続型にするかを選択できるという。「かものはしプロジェクト」の山元圭太・日本事業統括ディレクター。カンボジアとインドで子どもの人身売買の問題に取り組んでおり、認定ファンドレイザーの資格を取得している。

活動状況を説明するパネリストの皆さん
活動状況を説明するパネリストの皆さん

 全世界で1億6800万人が強いられている児童労働。この子どもらを救う運動をしているのがACEの岩附由香・代表で、インドとガーナで現地プロジェクトを展開している。チョコレートの原料となるガーナのカカオ生産に児童労働が深くかかわっており、日本のお菓子メーカーが寄付募集に協力している。コモンズ投信の渋澤健・会長。投資家からの信託報酬の一部を社会起業家の支援に充てている。京都地域創造基金の深尾昌峰理事長は行政がとらえ切れない課題に目を向け、寄付金を集めてNPOなどに助成している。

児童労働に取り組むACEの岩附さん
児童労働に取り組むACEの岩附さん

 「20年までに寄付文化を根付かせるには、どんな社会になってほしいのか」。パネリストが提言した。この中で池田さんは「すべて」をキーワードに説いた。ソフトバンクモバイルだけでなく他の2社のキャリアも同じサービスを提供し、携帯から手軽に継続的に寄付できる仕組みを作りたいという。さらにマラソンなどすべてのイベントがチャリティとなり応援できるようにすることや、自治体が行っている「ふるさと納税」などもキャリアがインフラを整備し社会に浸透させたいという。岩附さんからは「全国の19歳以上の人全員がファンドレイザーになり、寄付が生活に溶け込む社会を」と主張した。

 パネリストの発言を受けて、参加者も3〜4人のグループに分かれて同じテーマで話し合った。「生命保険会社やゲーム会社などがクレジットカードで毎月引き落とす際に、その一部を寄付に回せる仕組みを作る」など、企業の取り組みに期待する声が強く出された。

グループに分かれ熱心に話し合う参加者
グループに分かれ熱心に話し合う参加者

意見を述べる参加者
意見を述べる参加者

 鵜尾さんは協会のこれからの方針として、資金の流れのメカニズムを企業、政府、団体と連携してすべての人に届く仕掛けを作ると強調。具体的な方法の1つとしてすべての中学、高校、大学で寄付教育を実施しファンドイジングのすそ野の広がりに意欲を示した。(花田攻)

方針を熱く語る鵜尾代表理事
方針を熱く語る鵜尾代表理事

カテゴリ:地域・まちづくり





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