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2014年05月08日(Thu)
大災害では企業とNPOの連携強化を 「災害の支援の手引き」発行記念イベント
 東日本大震災を支援した企業やNPOなどがまとめた「災害支援の手引き」発行の記念イベントが4月24日、東京・赤坂の日本財団ビルで行政や企業担当者、NPO関係者ら約100人が参加して開かれ、被災地支援の経験を踏まえて、これからの大規模災害では行政と企業、NPOを含めた地域社会との連携の重要性が指摘された。

災害時対応の報告に聞き入る参加者
災害時対応の報告に聞き入る参加者
 未曾有の被害をもたらした大震災では、発生直後から多くの企業・団体が支援活動に取り組んだ。日本経団連の調査では会員企業の95%が金銭面の寄付をし、社員や消費者からの寄付も含めると支援額は1200億円に達する。カネだけでなくヒトの派遣にも乗り出し、約18万人の企業人がボランティア活動に参加、約260社がボランティア活動の参加を呼び掛けた。

 企業の多くは災害支援の経験がなく、地元自治体や現地で活動しているNPOなどと連携しながら様々な支援活動を行ったが、どの地域にどんな物資を送るのかなど手探りの状態であった。こうした教訓を生かし次の災害に備えようと、社員派遣など復興支援に携わった日本財団や日本IBMなどが「民間防災および被災地支援ネットワーク」を2012年に立ち上げた。これまで100以上の企業・団体が事例研究会などに参加し今年3月、「ヒト、モノ、カネ、情報」の各分野で、社内調整の苦労話や工夫した点などの具体事例、実務上のノウハウを掲載した「災害支援の手引き」を発行した。

発刊された「災害支援の手引き」
発刊された「災害支援の手引き」

 イベントではまず復興庁の岡本全勝・統括官が基調講演し、大震災で自宅に戻れない避難者が発生直後の47万人から3年を迎えた現在、26.4万人になっていることやがれきの処理量、住宅の高台移転、災害公営住宅の進捗状況などを説明。こうしたインフラ整備や住宅建設は政府でできるが、新しい街でのコミュニティ作りなどの健康・生活支援や商業サービスの再開、雇用確保など産業復興は企業、NPOの支援なしはできないと指摘。「支援する側とされる側のつながりが重要になる」と息の長い支援の必要性を訴えた。

基調講演する復興庁の岡本統括官
基調講演する復興庁の岡本統括官

 企業の中でもいち早く支援に取り組んだのが日本IBM。橋本孝之会長はマニュアルを活かし本業のITの活用が功を奏したことを挙げた。初期の段階ではツイッターを分析して必要な物資を支援、国内の電力不足に対応して米国や独など海外のクラウド・データセンターを使用して医療機関などにサーバー資源を提供した。橋本会長は同社として新しい町づくりと雇用確保に力を入れていると指摘。ITを活用して盛岡市で防災対応システム、宮城県石巻市では雇用促進事業、福島県では米と桃の品質管理などに取り組んでいる。

ITを活用した支援を報告する橋本・日本IBM会長
ITを活用した支援を報告する橋本・日本IBM会長

 日本財団の笹川陽平会長は、災害が発生するといち早く行動できるのは民間だとし、ボランティアやNPOが現地で活動できるためには資金が必要でそれが支援金だと指摘。「財団では活動資金として6年間で300億円の基金を積み立てることにしており、企業もネットワークを核に参加してもらい、次の災害時にはシステマティクに対応する必要がある」と訴えた。

災害復興基金を説明する笹川・日本財団会長
災害復興基金を説明する笹川・日本財団会長

 「手引き」の執筆者によるパネルディスカッションも行われた。パネリストは「パルシステム」の鈴江茂敏・地域活動支援課課長、外資系製薬会社「サノフィ」の本山聡平CSR推進部部長、化粧品・健康食品「オルビス」の矢野薫・いつもプロジェクト担当の3人で、司会はピースボート災害ボランティアセンターの山本隆代表。対外的な支援活動による企業・団体のメリットとして「短期間の募金活動で4億円のも支援が寄せられ災害に強い関心と力になりたいという思いが分かった」「ボランティアで被災地に行くことで本業とは違う社会に対する目を持つことができた」−などを挙げた。

ピースボートの山本代表(左)、パルシステムの鈴江課長
ピースボートの山本代表(左)、パルシステムの鈴江課長

サノフィの本山部長(左)、オルビスの矢野担当
サノフィの本山部長(左)、オルビスの矢野担当

 その一方で支援できなかったことして「取引のないメーカーや非組合員に手を差し伸べられなかった」「自社製品は被災地にはいらないだろうと思い、初動で動けなかった」「マニュアルがなく何をやるのか手探りの状態だった」−などが指摘された。山本さんは実現できなかったことを踏まえて、これからは企業、行政、NPOをつないだネットワークを使い、支援を効率よく実施することの重要性を強調した。(花田攻)

※実務書『災害支援の手引』については以下のサイトをご覧ください。
 http://cvnet.jp/projects/sonae/




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