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2014年05月07日(Wed)
日中関係史第4巻が刊行/夏にも北京で出版発表会
 日中国交40周年を記念した「日中関係史1972−2012」の第4巻「民間」がこのほど刊行、東大出版会から出版された。事業を進める笹川平和財団・日中友好基金室では一昨年9月に出版された「政治」、「経済」、「社会・文化」3巻と合わせ、夏にも中国語訳の出版発表会を北京で行う予定。

 当初、全3巻の予定だったが、3巻の発行直後に日本政府による尖閣諸島国有化をめぐる日中対立が激化、反日デモなど両国関係が極端に悪化する「2012年問題」が起きたことなどから新たに第4巻を編集することになった。

刊行した日中関係史第4巻=右=、左側の3冊は先に刊行した1−3巻
刊行した日中関係史第4巻=右=、左側の3冊は先に刊行した1−3巻
 2009年には、中国側研究者が日中平和友好条約締結の1978年から30年間をまとめた「日中関係史 1978−2008」が出版されており、40年史はその姉妹編。一足早く刊行した3巻は日本側研究者の手でまとめられているが、第4巻は、日中国交正常化やその後の両国関係構築に関係した日本の政治家ら5人の“井戸堀り人”に対するインタビューと日本で研究生活を続ける中国人留学生や大学教授5人の寄稿を中心にまとめられているのが特徴。

 井戸堀り人の一人福田康夫元首相は、中国で日本の右傾化を憂慮する論調が支配的となっている点について「毎日のように尖閣に船を出しておきながら『右傾化するな』と言っても無理」と述べ、日本の右傾化を引き起こさないような努力と工夫を中国側にも求めている。また笹川陽平日本財団会長は、「トラブルのない隣国関係はない」として大局的見地から平和的な二国間関係を構築する必要性を指摘するとともに、尖閣問題で廃止となった日中佐官級交流事業について「時期が来ればプログラムを組み直し、また交流を進める必要がある」としている。

 一方、寄稿者の一人で東大大学院生の陳嵩さんは、「領土問題が存在しても、国民の間に友好関係を築くことは十分可能」として静かで継続的な民間交流の必要性を指摘。駒沢大学文学部の李妍焱教授も「多くの場で市民的世界の感覚と価値観の共鳴が起きた時、日中関係は2012年問題を越え、新たな段階を迎える」と記している。

 また編集責任者の園田茂人東大大学院教授は第4巻の出版について「『国家利益』」が重視され、対立と葛藤が強調される局面にあって、日中関係40年の歴史をもう一度冷静に考察したい、との思いから急遽、上梓されることになった」と記述。全体の責任者である高原明生東大大学院教授は刊行に当たり「世界のどの二国間の関係史でも、これほど広く、かつ深く検討した研究は少ないように思う」と記している。(宮崎正)

*「日中関係史1972−2012 W民間」は3000円。
 問い合わせ先は「東京大学出版会」。電話03-6407-1069。
カテゴリ:世界





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