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2013年11月14日(Thu)
利用者でにぎわう渚の交番 地域に溶け込む 宮崎市青島
 鬼の洗濯岩で知られ日南国定公園を代表する景勝地、宮崎市・青島。その入り口の海辺に地中海風の洒落た建物がある。「青島・渚の交番」だ。日本財団の支援で開設されてから3年余り、海水浴客が訪れる夏場のパトロールだけではなく、年間を通じたイベント開催、自然環境保全。さらには、地域の防犯活動や行政を巻き込んだ海岸での清掃作業など活動の舞台が大きく広がり、地域にしっかり溶け込んでいる。

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海と人をつなぐ拠点・宮崎渚の交番
 日向灘の青い海に面して建つ「渚の交番」は広いコミュニティスペースや、シャワー室、更衣室のほかウッドデッキも備えられている。
「よーい」「ピー」。掛け声とともにホイッスルが鳴ると、裸足のちびっ子たちが一斉に砂浜を駆け出した。静かな波の音を聞きながら、足を高く上げてスキップしたり、四つん這いになったり、低いハードルを飛び越えたりと、1時間近く走り回る。市内のスポーツクラブが週1回、「渚の交番」を利用して開いている体育教室だ。3−6歳の幼稚園児13人が参加している。主宰している藤原和将さん(37)は「砂の柔らかさを足の指で掴み取ることで、運動の土台作りができる。ここはビーチだけでなく、ウッドデッキで鉄棒や縄跳びもできる。最高の場所です」と話す。子どもに付き添っていた母親も「気持ちが良いので直ぐ裸足になり動きます。体力がついたのか、昼寝もしなくなりよく食べるようになった」と手放しで喜んでいた。

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砂浜は運動の土台作りに効果的

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ウッドデッキで体操

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教室を主宰する藤原さん

 青島海岸はかつて新婚旅行のメッカとして観光客が大勢訪れたが、近年は減少傾向にある。「地域の活性化を図るには、夏場だけでなく四季を通して安全に海で楽しめる環境づくりが必要だった」。渚の交番を運営している藤田和人さん(37)は、立ち上げた当時を振り返る。宮崎ライフセービングクラブ理事長を務めていた藤田さんは、青島神社の宮司さんが代表となっている「青島再生プロジェクト」に参加して行政を巻き込んでの活動拠点づくりを目指した。冬場には海辺から元気になろうと、砂浜に1000本近くのろうそくを灯すキャンドルイベントと青島神社でのジョイントコンサート。砂と水の感触を楽しむ「はだしランニング」、サーフボードに立ってオールを漕ぐスタンドアップパドルボードという最新のマリンスポーツ体験会など海と親しむ機会を積極的に提供している。

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活動を説明する藤田さん

 地域とのつながりを深める活動も活発だ。毎年地元の子ども30人が参加してカヌー、ライフセービングの講習など体験教室を実施。日本財団から配備された青パトを活用して、毎週4回、住宅街や小学校付近を約20キロパトロールし、高齢者を交通事故から守ったり、小学生の見守りをしている。知的障害者の子供にサーフィンを通じて海に親しんでもらう「オーシャンズ・ラブ」も行っており、毎年夏と秋の2回に父兄も含め60人が参加している。

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防犯活動で大活躍の青パト

 最も忙しいのは20万人が訪れる7、8月の海水浴シーズンだ。水難事故を防ぐため24人のライフセーバーが交代で24時間監視を強めている。水上バイクを活用して会場からのパトロールも強化し水難事故防止に全力で取り組んでいる。今年9月には宮崎空港で飛行機が墜落したという想定で、自衛隊、県の防災ヘリ、警察、消防に藤田さんらも加わった大掛かりな総合救助訓練も実施され、渚の交番が救援所としての機能を果たしていることが実証された。各地の海岸で問題となっている深夜の花火打ち上げ。青島でも今年、藤田さんらは約600人の若者に注意した。毎年繰り返される迷惑行為で、藤田さんが地域住民らと宮崎市議会に陳情した結果、全国で初めて罰則が伴う「宮崎市花火規制条例」が来年3月の市議会で可決される見通しとなった。

 今年の異常気象は青島海岸にも大きな被害をもたらした。10月の台風23、24号による豪雨で近くの河川から大量の流木が打ち上げられ、サーファーが海岸に入ることが出来ないほどだった。しかし、海辺は宮崎県港湾事務所の管轄で県、市での調整がつかず撤去作業は遅れた。藤田さんは市観光課とも連携し「とにかく皆で力を合わせて元のきれいな海を取り戻そう」と行政側に働きかけた結果、行政の垣根を乗り越えて県、市、地元住民、サーファーらが3日間に渡り延べ400人が参加して、人海戦術で流木の撤去作業に当たった。集められた流木は2トントラックで100台分に上った。藤田さんと一緒に撤去作業の中心となった宮崎市観光課長の小泉英一さんは「渚の交番が呼び掛けて行政、住民らが一体となってできた。青島はこれまで夏場だけの利用だったが、修学旅行の受け入れ、正月の御来光など通年で観光客が訪れるようになった。地域活性化の中核施設としての役割を果たしてもらっている」と高く評価する。

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流木の撤去を終えて、参加者をねぎらう

 こうした地域に密着した活動が評価され、宮崎市が「渚の交番」を公的施設と認定し、「宮崎市青島ビーチセンター」として条例を制定。宮崎ライフセービングクラブなどが指定管理者として2012年度から運営するようになった。同市観光協会の職員も常駐し、マリンスポーツや観光案内、イベント紹介なども積極的に行っている。

 藤田さんは地域興しと海辺の活用にさらに取り組む。1つはランニングステーションづくり。5キロ、10キロコースを設定し、潮風を受けながらランニングを楽しんでもらう。利用者は「交番」の更衣室やシャワーが利用できる。もう1つは軽トラックを活用した軽トラ市場だ。荷台に地元の野菜や果物、水揚げされた魚などを並べ販売する。観光客を呼び込み滞在客を増やして地域経済の活性化を図ることにしている。「海が元気になれば地元も元気になる」。日に焼けた藤田さんの顔がたくましく見えた。(花田攻)
タグ:青パト 渚の交番
カテゴリ:海洋




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