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2019年09月19日(Thu)
多様性と連帯を示したGEBCO−日本財団Alumni Team 〜優勝報告会〜
海洋探査技術を競う国際コンペティションで優勝した日本財団人材育成事業の卒業生を中心とした国際チーム「GEBCO−日本財団Alumni(アルムナイ)Team」の優勝報告会が9月18日、東京・虎ノ門ヒルズで行われた。
チームに参加した13カ国16人のメンバーのうち15人とアドバイザー3人が出席。南アフリカ出身で米ニューハンプシャー大学沿岸海洋地図作製センターのロシェル・ウィグリーさんが優勝要因を「国や言語、文化など多様性をもったメンバーのチームワーク」と話すと、会場に詰め掛けた日本の海洋関係者から大きな拍手をうけた。

写真首相官邸を表敬訪問したGEBCO−日本財団チームメンバーと笹川会長

プロジェクトの勝利

この国際コンペは、米国のXPRIZE財団が主催し、2016年10月から19年2月にかけて実施されたもので、22カ国から32チームが参加、3段階の審査を経て海洋探査技術の優秀さを競った。GEBCO−日本財団チームは技術提案書による書類審査、技術評価試験のラウンド1を勝ち抜いた5チームとともに最終ラウンドに進出。ギリシャのカラマタ沖で実際に海域に入り、与えられた課題に挑んだ。課題は、24時間以内に水深4,000m、250平方kmの広さを5m×0.5mの解像度で測量し、海底地形図を作成、海底ターゲットの写真を10枚以上撮影するもので、探査技術だけではなく、手際のよさも求められた。
GEBCO−日本財団チームは水深4,134mの深さまで測量、48時間以内で278.9平方kmの海底地形図を作成、30枚もの写真を提出するなど抜群の結果を残した。

この探査では、日本財団がGEBCO(大洋水深地図)とともに推進してきたプロジェクトチームが開発、確立した無人調査技術が大きく貢献している。詳細な海底地形を取得できる自律型無人潜水機(AUV)を海中にリリースし、回収を可能にした有人測量船と比べてはるかに小型の無人船「Seakit」を製作。低コストで人的なリスクをなくし、炭素排出量を抑えるとともに、観測モードを改良してより広範囲で高精細な海底地形測量を可能にした。プロジェクトの勝利である。

大きなビジョンを共有した

日本財団の海野光行常務理事は「個人的な見解」と前置きしながら、今回の勝因を「@多様性、A連帯・つながり、Bビジョンの共有にある」と述べた。「13カ国からプロジェクトのフェロー(卒業生)が参加、さまざまなバックグラウンドを持つ彼らが知見を合わせた。国際チームには衝突がつきものだが、全員がプロジェクトのプログラムを終了した連帯感を持ち、大きなビジョンを共有していたことが成果につながった」

日本財団では海底地形が未だ15%程度しか解明されていない状況を憂慮。世界の海底地形図作成が滞ってきた背景に専門家が少ないことに着目し、2004年から米国ニューハンプシャー大学でGEBCOとともにこの分野での人材育成を推進してきた。これまで39カ国90名のフェローを輩出、このコンペではそのフェローでチームを組んだ。また企業パートナーやアドバイザーなど22カ国78人の関係者が参画した。

Seabedにつながる技術革新

日本財団とGEBCOは2030年までに全世界の海底地形の解明をめざすプロジェクト「The Nippon Foundation−GEBCO Seabed2030」、通称「Seabed2030」を推進している。今回のコンペ参加は、プロジェクトの目標達成に必要な技術革新を促進する目的があった。この成果により、多様な人々の協力が不可欠であることを再認識するとともに技術革新効果を実証したことになる。
チームにはXPRIZE財団から賞金400万ドルが贈られたが、「Seabed2030」の目標達成に活用される。

人類の生存のために、と笹川会長

チームメンバーは報告会に先立ち、プロジェクト生みの親である日本財団の笹川陽平会長とともに首相官邸を表敬訪問。「海底探査船に乗ってみたい」と話すなど、海への関心が高い安倍晋三首相から、「世界各国と協力し、人類の夢の実現につなげてほしい」と激励をうけた。

また、報告会終了後に開かれた祝賀会では笹川会長がユーモアを交えながら、「約2万4,000km離れた火星の地形はわかっていても、海底の全容はいまだ明らかになっていません。これがきっかけで世界の海底地形に対する興味が高まったことは大変喜ばしい」とあいさつ。さらにオランダの法学者フーゴ・グロティウスの『自由海論』を引き合いに出し、「その時代は過ぎ去った。海は一つ、母なる海をどのように1,000年、2,000年後も健康な状態で保つかという問題は人類の生存にも関わっている。にもかかわらず、我々は海の悲鳴を十分に認識していない」と喝破、「人類生存のため、海洋に関する技術が飛躍的に進歩することを期待しています」と述べた。

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タグ:日本財団 GEBCO Seabed2030 XPRIZE
カテゴリ:海洋







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