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2019年09月17日(Tue)
若者の自殺防止の難題にどう取り組む!
長野県と日本財団が協同プロジェクト
未成年者の自殺ゼロ、全国モデルの確立目指す


日本財団 参与 宮崎 正

風の香りロゴ全体の自殺者数が減少傾向をたどる中、依然、高止まり状態にある未成年者の自殺をどう減らすかー。こんなテーマに長野県と日本財団が協同して取り組むことになり、自殺予防週間を前にした9月9日、協定書を交わした。目指すは「未成年者の自殺ゼロ」。未成年者の自殺は厚生労働省の自殺対策白書が指摘するように「深刻な状況の原因や背景がはっきりしない」状況にある。自治体と民間が手を組む異色の協同事業でどこまで有効策を打ち出せるか注目したい。

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協定書を交わした阿部守一長野県知事(右)と尾形武寿日本財団理事長


厚労省の人口動態統計によると、日本の自殺者数は2003年の3万2109人をピークに減少傾向をたどり、17年は2万465人まで減った。しかし5歳刻みで年齢階級別の死因を見ると、10〜39歳すべてで自殺がトップを占め、17年には戦後初めて自殺が10〜14歳の死因1位となるなど、若者の自殺は先進7ヶ国(G7)の中でも日本にしか見られない特異な現象となっている。

うち長野県は18年の自殺者数が314人、人口10万人当たりの自殺者数である自殺死亡率も15・5と全国平均を下回っているものの、未成年者に限ると自殺死亡率は13〜17年平均で3・97と全国平均2・44の1・6倍、全国2位の高い数字となっている。

長野県と日本財団では16年から今年9月まで「いのち支える自殺対策プロジェクト」を実施、県内各地で総合相談会などを開催し全体の自殺防止に一定の効果がみられたものの未成年者の自殺防止が依然、大きな課題となっていることから、新たに22年までの3カ年計画として「子どもの生きていく力サポートプロジェクト」を立ち上げることになった。

警察庁の自殺統計によると18年に全国で自殺した15〜19歳は599人。これに対し13〜17年の5年間で見た長野県の未成年者の自殺数は19〜14人。厚労省や警察庁、自治体で自殺の定義や年齢の取り方に違いがあり、一概に比較するのは難しいが、全国、長野県とも未成年者の自殺がほぼ高止まりの状態にあるのは間違いない。

16年に日本財団がインターネットを利用して18〜22歳を対象に行った調査では、有効回答を寄せた3126人のうち30%(男性26%、女性34%)が「本気で自殺したいと考えたことがある(自殺念慮)」と答え、11%(男性9%、女性13%)は実際に自殺未遂を経験していた。警察庁の自殺統計によると、10代の自殺原因の1位は学校問題、2位健康問題、3位家庭問題。日本財団調査などによると、学校問題では何といっても「いじめ」の存在が大きい。

こうした中、今回の協同事業では@多職種の専門家による「危機対応チーム」を立ち上げ、学校や家庭が対応に行き詰っているケースに直接支援・助言を行い自殺危機の回避を図るA精神科医や弁護士、保健師ら専門家によるオンライン相談窓口を設け、教師や家族らが対応に迷った時、相談に応じ助言するB地域の支援者が子どものSOSを受け止める力を身に付ける研修会―などを実施。22年までに「未成年者の自殺ゼロ」と「全国に通用する自殺防止モデルの確立」を目指すとしている。

17年に閣議決定された自殺対策大綱は、自殺の多くは「心理的に追い込まれた末の死」、
「防ぐことができる社会的な問題」としているが、冒頭の自殺対策白書の指摘にあるように原因や背景が把握しにくく、日本財団調査では22歳以下の45%が「自殺はしてはいけないとは思わない」と回答している。

短期間で実効を上げるのは難しいテーマと思われるが、一方で後になってみれば、本人が何らかのSOSを発していたケースも多いと言われる。結局、家族や学校、友人ら周りが少しでも本人の話に耳を傾けることで本人の負担を軽くし、自分を価値ある存在と自認する自己有用感を少しでも高める、などの努力を地道に続けるしか方法がないような気もする。そんな思いで、協同事業の成果を見守りたく思う。

関連リンク
日本財団 子どもの生きていく力 サポートプロジェクト







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