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2018年11月12日(Mon)
サブサハラで今も続く悲惨な“アルビノ狩り”
子どもや女性が犠牲に 背景に誤った呪術信仰
初の「東京アルビニズム会議」開催


メラニン色素の減少や欠損で起きる遺伝性疾患アルビニズム(白皮症)の子どもや女性が身体の一部や命を奪われる悲惨な事態がアフリカで続いているのを受け、11月9日、わが国初の国際会議「東京アルビニズム会議」が開催された。会議では“アルビノ狩り”とも表現される残忍な人権侵害・迫害の現状や今後の国際協力の在り方が議論され、アルビニズムに対する偏見や誤解を取り除くためにも正しい知識の普及が不可欠との意見が強く出された。

タンザニアなどサブサハラを中心に9カ国の関係者が出席した

タンザニアなどサブサハラを中心に9カ国の関係者が出席した


会議はハンセン病の制圧と偏見・差別の撤廃に取り組む日本財団が、2015年にアルビニズムに関する初の国連独立専門家に任命されたイクポンウォサ・イロさんの協力を得て開催。会場となった東京・赤坂の日本財団ビルには、日本を含め計9カ国からアルビニズムの当事者や専門家ら100人を超す人が詰め掛け、冒頭、笹川陽平・日本財団会長は「ハンセン病もアルビニズムも誤った理解に基づく差別や偏見で人間の尊厳が侵されている」、「どのような貢献ができるか引き続き探っていきたい」などと挨拶した。

会場には100人を超す関係者が詰め掛けた

会場には100人を超す関係者が詰め掛けた



イロさんはアルビノ狩りの現状について「アルビニズムの子どもや女性の身体が健康や幸運を招くといった誤った呪術信仰が原因となっており、サハラ砂漠以南のサブサハラ地域28カ国で過去10年間に報告されただけでも700件に上る襲撃事件が起きている」、「ナイフや斧で手や足を切り落とし1000〜2000米ドル、体全体だと7000ドルもの金で取引されている」と悲惨な現実を報告。アルビニズムの人びとを支援する「アンダー・ザ・セイム・サン」(UTSS)の創設者で自身もアルビニズムであるピーター・アッシュ氏は「政府の中枢にいる人が呪術という凶悪な犯罪に手を染めている」、「襲撃事件は現在、タンザニアでは減少傾向にあるが、モザンビークやマラウィでは逆に増えている」と述べた。

タンザニアから参加したマリアム・スタフォードさんは犠牲者のひとり。妊娠6か月だった2008年10月、隣人を含む4人の男に幼い息子の目の前で襲われ両腕と胎児を失った。7時間も放置されたが一命を取り止め、その後、職業訓練を受け現在は編み物で生計を立てる。前向きに生きるためアフリカ一の高峰キリマンジャロの登山にも挑戦し、「自分が現在も存在する意義を確認するためにも、襲った人たちを今は許したいと考えている」と語った。

ヴィッキー・ンテテマさんは元BBC(英国放送協会)の記者。タンザニア支局長時代の2007年、襲撃事件を取材・報道したところ「“国家の秘密”を明らかにした」と政府や警察だけでなく一般市民からも攻撃を受けた。「政治家などにも呪術を信ずる人がいる。21世紀のこの時代になぜこのようなことが起きるのか」と強い口調で語った。

パトリシア・ウィロックさんによる写真展も開催

パトリシア・ウィロックさんによる写真展も開催



会議には、アルビニズムに対する差別や暴力の撤廃に取り組むマラウィやモザンビーク、ケニア、南アフリカの支援協会関係者やケニア高等裁判所の高裁判事も出席。日本からは「私がアルビノについて調べ考えて書いた本」(生活書院)の著書もある立教大の矢吹康夫助教、国際協力機構(JICA)職員の伊藤大介さんの2人が出席。矢吹助教は「日本は多様な外見をした人々に不寛容な世界」とした上で、「教師から髪を黒く染めるよう指示されるケースや就職差別も起きており、アフリカで起きていることと日本は決して無関係ではない」と正しい知識普及の必要性を強調した。

ジャズのボーカリストとして活躍するコニー・チュウさん=左=のライブ・パフォーマンスも

左から、ジャズのボーカリストとして活躍するコニー・チュウさん、笹川日本財団会長、南アフリカのノマソント・メジブッコさん



このほか、日本財団ビル1階のフロアではコンゴ民主共和国生まれのフリーランスの写真家パトリシア・ウィロックさんによるアルビニズムの写真展も開催され、世界初のアルビニズムのモデル、ジャズのボーカリストとして活躍する香港生まれのコニー・チュウさんによるライブ・パフォーマンスも行われた。

アルビニズム
メラニン色素の減少や欠損で起きる遺伝性疾患。先天性色素欠乏症、白子症とも呼ばれる。白い肌、白い髪を持ち、直射日光に当たると皮膚疾患や視力障害に罹りやすい。日本では2万5000人に1人、欧米では2万人に1人に症状があるといわれ、サハラ砂漠以南・サブサハラのタンザニアでは1400人に1人との推計もある。その肉体が幸運を呼ぶとして子どもや女性の身体の一部を切り取り呪術に使用する悲惨な事件が後を絶たず、国連は2015年に6月13日を国際アルビニズム啓発デーに定め、啓蒙活動を進めている。国内には東京と関西に「日本アルビニズムネットワーク」、「アルビノ・ド―ナツの会」があり交流活動などをしている。
タグ:アルビニズム
カテゴリ:世界







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