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2018年10月31日(Wed)
隠岐島前の試みが国を動かすうねりに
注目集める高校魅力化プロジェクト
教育・地域づくりの全国モデルに


島根県の隠岐島前(どうぜん)高校を廃校の危機から一転して全国から留学生が集まる人気校にした同校魅力化プロジェクトの未来を語る「島会議」が10月27日、海士町で開催された。プロジェクトは教育だけでなく地域づくりのモデルとして全国的に注目され、会議には文部科学省、経済産業省の担当者も出席、「島前の試みが大きなうねりとなって国を動かしている」(文科省初等中等教育局財務課・中川覚敬専門官)と語るなど確実な広がりを見せている。

広い校庭を持つ隠岐島前高校

広い校庭を持つ隠岐島前高校


島前高校は隠岐諸島・島前地域の唯一の高校で、2008年には入学者28人と廃校の危機に直面した。「高校がなくなれば島もなくなる」の危機感の下、隠岐島前高校魅力化プロジェクトが立ち上がり、県外からの留学生受け入れに踏み切った。この結果、今年度の入学者は65人、10年前89人だった全校生徒は178人に増え、1学年2クラス化も実現した。現在、生徒は島の出身者と全国からの留学組が半々。10%前後だった大学進学率も50%を超え、新たに島に移住してくるIターンも増えた。島の人口は現在約2300人。「当面300人増を目指す」(大江和彦町長)という。

高校を核にした地域創生モデルとして全国的に注目され、事業の中核となる「地域・教育魅力化プラットフォーム」(岩本悠共同代表)は2016年、日本財団が主催するソーシャルイノベーションフォーラムの特別ソーシャルイノベーター最優秀賞にも選ばれ、日本財団も3年間、全面的に支援することになった。プロジェクトスタートから10年を迎え、次の5年に向け新たな「魅力化構想」を策定中で、文部科学省はプロジェクトを参考に来年度の概算要求に「地域との協働による高等学校教育改革推進事業」として4億円を盛り込んでいる。

海士町(中ノ島)のすぐ目の前に西ノ島が浮かぶ

海士町(中ノ島)のすぐ目の前に西ノ島が浮かぶ



島会議は「地域(ここ)で語る、これからの教育のあり方」をテーマに町の中央公民館ホールで開かれ、教師や生徒、町の関係者ら約100人が出席。大江町長は「プロジェクトはあくまで挑戦事例であって成功事例ではない」と今後の取り組み強化を語り、経済産業省商務・サービスグループの浅野大介サービス政策課長は教育(Education)と技術(Technology)と組み合わせたEdTech(エドテック)を軸にした「未来の教室」に経産省として取り組む考えを示した。

島会議には100人を超える人が出席

島会議には100人を超える人が出席



また文科省の中川専門官は「島前こそ教育の最前線。自信を持って国を飛び越えイノベーションを興してほしい」と激励し、地域・教育魅力化プラットフォームの岩本共同代表は「日本の高校教育はこの25年間、変わってこなかった。22年には高校の学習指導要綱が変わる。それまでに全国的なうねりをつくり国のシステムの転換につなげたい」と意欲を語った。

またプロジェクトを全面支援する日本財団の笹川陽平会長は「皆さんは島前高校を切り口に日本の社会の仕組みを変えるきっかけ作りをやっている。素晴らしいことです」と今後への期待を語った。

プロジェクトは全国から留学生を受け入れることで廃校寸前の島前高校を再生し、それに伴いUターンや島外からのIターンも含め町の活性化にも成功しており、国が情報社会(Society4)に次ぐ未来社会として提唱する第5期科学技術基本計画(Society5)の関係でも注目されている。今後の展開について、関係者は「大学に進学した島前高校の卒業生が10年、20年後にどこまで島に戻るかがひとつのポイント」と語っている。








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