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2018年07月11日(Wed)
パラスポーツの振興がインクルーシブな社会を加速する
(リベラルタイム2018年8月号掲載)
日本財団理事長 尾形 武寿


Liberal.png観光エリアとして人気を呼ぶ東京・お台場の「船の科学館」敷地に6月1日、パラスポーツ団体専用の体育館「日本財団パラアリーナ」がオープンした。

鉄骨平屋建て、完全バリアフリーで延べ床面積は約3,000平方メートル。東京パラリンピックの正式競技の競技団体や所属するクラブチーム、個人に無料で貸し出される。メインフロアには車いすバスケットボールやブラインドサッカーなど各種競技のコートが赤や白、青などのラインで示してあり、縦12.5メートル、横6メートルのボッチャのコートだと一度に八面が取れる。

日本財団は障害者と健常者が共に生活するインクルーシブな社会を目指しており、パラアスリート支援もその一環。スポーツは、前回リオデジャネイロ・パラリンピックで銀メダルを獲得するまで、ほとんど知られなかったボッチャが、その後、人気・知名度とも急上昇したのを見るまでもなく、大きな発信力を持つ。

22競技528種目が争われたリオパラリンピックでの日本のメダル獲得は金メダルゼロ、銀10個、銅14個だった。これに対しトップ中国の金メダル数は107、2位イギリス64、3位ウクライナ41。さまざまな要因があろうが、これだけ差がつく一因にパラアスリートの育成に向けた訓練施設等、環境整備の違いがあるのは間違いない。

メダル至上主義を唱えるつもりはないが、スポーツが持つ影響力の大きさを考えると、インクルーシブな社会を建設、障害者の社会進出を加速する上でも、パラスポーツの振興はもっと真剣に取り組まれるべき課題と考える。

国にも競技団体に対する強化費の増額などパラアスリートの強化制度があるが、競技団体の登録住所が代表者の住居になっていたり、求められる事務処理能力がない、といった事情で、制度を十分活用できていない団体が多い実態がある。このため日本財団では2015年、東京・赤坂の日本財団ビル内に「パラリンピックサポートセンター」を設け、現在28団体の事務所を開設、住所登録等の事務処理態勢を強化し、国の強化費活用に道をひらいた。

さらにトレーニング施設も手薄。国はスポーツ振興基本計画に基づきナショナルトレーニングセンター(東京・北区)のほか各地に競技別強化拠点施設の整備を進めているが、障害者も健常者も同じ競技場・練習場を使うのが原則。車いすで床に傷がつくといった事情もあって健常者中心の使用となっており、こうした面の打開策としてパラアリーナの建設を決めた。

このほか東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会と連携・協力して大会ボランティア、都市ボランティア計11万人の募集を進めるほか、20年には前々号の本欄で報告した「国際障害者舞台芸術祭(仮称)」の開催も計画している。

パラアリーナを建設した船の科学館用地は都市計画法の第一種住居地域で、用途に一定の制限があるが、2年後に迫った東京オリンピック・パラリンピックに役立てるため22年3月までの限定施設として活用することになった。

現在、障害者が優先的に使用できるスポーツ施設は一般の体育・スポーツ施設に比べ圧倒的に少ない。近年、パラスポーツのテレビ中継も増え、知る人は急速に増えているが、実際見たことのある人はまだ少ない。

パラアリーナと同様の施設が全国各地に整備されれば、パラアスリートが青少年と交流する機会も増え、パラスポーツ、ひいては障害者に対する理解も進む。障害者の社会進出、インクルーシブな社会づくりを加速させるためにも、引き続きパラスポーツの振興に貢献していきたいと思う。

カテゴリ:アート・スポーツ・文化







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