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2018年06月15日(Fri)
「東京を動かすボランティア」
 2020年東京オリンピック・パラリンピックの開幕まで700日あまり。9月にはボランティアの募集も始まる。いよいよ開催準備も大事な段階にさしかかった。

 日本財団ボランティアサポートセンター(ボラサポ)では12日、気運醸成に向けて「2020年東京大会を動かすボランティア」と題したシンポジウムを開催した。会場の東京・虎ノ門の笹川平和財団ビル11階の国際会議場は242人の参加者で埋まり、関心の高さが伺えた。

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シンポジウムの登壇者たち


笹川陽平・日本財団会長

笹川陽平・日本財団会長

 冒頭、あいさつした日本財団の笹川陽平会長は「ボランティアの活動は大会成功の鍵を握るといっても過言ではない。大会を盛り上げ、日本の魅力を十二分に伝える役目はとても大事だ」と期待感を示した。

 日本財団は「みんながみんなを支える社会、インクルーシブな社会をつくること」を掲げて活動している。その取り組みの一端を紹介し、ボランティアの重要性を強調した。

 一方で、「ボランティアはただ働き、ブラックだ」とする報道に触れて、「ほんとうに残念だ。世界中でそんな表現を目にするのは日本だけだ」と述べ、「自分自身の人生の思いでをつくり、結果として2020年を成功に導くよう明るい体験をして頂きたい」とボランティアのあり方を示した。

 シンポジウムは2部構成で行われ、最初は凸版印刷、日本生命、日本電気(NEC)3社の担当者が登壇、それぞれの企業の取り組みを紹介した。

凸版印刷の大川誠・業務推進部課長

凸版印刷の大川誠・業務推進部課長

 「社会的価値創造企業」を掲げる凸版印刷の大川誠・業務推進部課長は、東日本大震災で行ったボランティアの事例を紹介、パートナー契約した16年以降からスポーツボランティアに取り組んできたと話した。約100人の社員が日本スポーツボランティアネットワーク(JSVN)の研修をうけた。19年のラグビー・ワールドカップや20年大会でボランティアを体験し、「終了後もボランティア文化を社会に残すために貢献していきたい」という。課題として「効果をあきらかにしづらい」「今後の担い手の育成」をあげ、動機づけの必要性を訴えた。

日本生命の松崎勝彦東京2020推進担当課長

日本生命の松崎勝彦東京2020推進担当課長

 日本生命の松崎勝彦東京2020推進担当課長は、中期経営計画に明示された15年以降、「7万人の職員が毎年、何かボランティアに関わるよう取り組んでいる」と話す。「Play Support」を掲げてアスリートを支援、1万人がパラスポーツを観戦、4000人がスポーツボランティアに参加し、1000人が研修をうけた。社内イントラを活用してボランティア情報を知らせ、参加者にはTシャツを配布するなどインセンティブを設け、アンケートで振り返りの声も集めている。「今後は、一定金額の補助を行い、スポーツボランティア研修、語学ボランティア研修への参加意識を高めていきたい」

日本電気の青木一史・「集まろうぜ。グループ」マネージャー

NECの青木一史・「集まろうぜ。グループ」マネージャー

 NECの青木一史・「集まろうぜ。グループ」マネージャーは、同社の社会貢献事業「NEC Make a Diffence Drive(NMDD)」に年間3万人以上が参加していると紹介。ボランティアを通して、「知る・学ぶ場、行動する場の提供、20年以降のNECの社会参画を実現したい」と話した。一方で、ICT関連企業らしく「ICTによる管理、運営する環境を整備していきたい」と述べた。

大阪経済大の相原正道教授

大阪経済大の相原正道教授

 この後、大阪経済大の相原正道教授をファシリテーターにディスカッション。経営戦略、全国展開と地域貢献、レガシーの重要性などについて意見をかわした。一方、オリンピック・パラリンピックが終了した20年以降、どのように継続していくか、「難しい問題だ」とする意見にうなづきあっていた。

 続いて、2018年平昌冬季オリンピック・パラリンピックにボランティアとして参加した経験者によるクロストークが行われた。ファシリテーターを務めたボラサポセンター参与、文教大の二宮雅也准教授が平昌に4回出向いて調査活動した際、インタビューに答えてくれた3人のボランティア経験者が自らの体験を話した。

 キム・ドンウさんは日本の大学で医学を学ぶ大学生。パラリンピックで「パラリンピック・ファミリーのアシスタント」を務めた。

 「2014年仁川アジア大会で通訳ボランティアをしていた先輩が凄いなあと思って」応募した。「世界中のいろんなバックグラウンドをもった人たちと直接、いろんな話ができたことが貴重な経験だった」

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玉置志帆さん

 玉置志帆さんは、大学時代はスキー部のマネージャー、いまはスポーツ用品メーカーに勤務する。会社が制度としてもっていたボランティア休暇を使ってオリンピックのアイスアリーナに詰めた。日本語は当然、英語も韓国語も堪能な玉置さんは当初、通訳ボランティアの予定だった。ところが会場にいくと、「イベントサービスで会場での案内や忘れ物の対応など」業務は多岐にわたった。

 「メダル獲得の瞬間を生でみたい」と応募。「世界で一番大きな大会の裏側をみられたこと、人との出会い」を収穫に挙げた。

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クォン・ヒョヌさん

 車いすに乗ったクォン・ヒョヌさんはオリンピック、パラリンピックを通して広報センターなどで活動した。「幼い頃から足に障害があり、まわりの人たちから助けてもらっていた。その恩返しがしたかった」。願い通り、国際大会で「役に立ててよかった」とはにかんだ。

 活動では臨機応変の対応が求められたという。
 キムさんは「ファミリーと一緒に非公式な場に行ったとき、研修では教えられなかったことなので難しかった」と話す。ボランティアのためのコールセンターがあり、「そこに問い合わせて助かった」。東京でも参考になる話である。

 玉置さんはフィギュアスケートの会場で日本人の対応に追われた。とくに男子では「およそ80%が日本人で、その90%が羽生結弦のファン」。そこで英語、韓国語、日本語を話す玉置さんに対応が集中した。「トラブルがあっても、上司にあたる人が英語も日本語も話せず、対応は自分の判断でやらなければならなかった」という。言葉は大事だ。

 語学についてはキムさんも指摘した。「どの会場でも、どんな場面でも、英語は必要です」。2020年には海外からのボランティアもやってくる。玉置さんは「とくにマネージャーになる人は語学ができるとありがたい」と柔らかく表現したが、たぶん大きな前提条件となろう。

 クオンさんはボランティアの移動バスについて話した。「車いすに対応できるバスは出勤、退勤時にしか走っていない。自由時間や休日には対応してくれなかった。もっと対応してくれれば活動の幅は広がっていたのに」。障害者ボランティアのための対策も必要となる。

 「宿舎の問題など、ボランティアの生活環境がいいと、より積極的に活動できる」とキムさん。玉置さんは「平昌では学生が多く、私のような社会人は少なかった。自分で判断が求められることが多いので、判断力のある業務経験者に数多く参加してもらいたい」と訴えた。彼女が用いたボランティア休暇制度の普及が求められる。

 大会ボランティア、都市ボランティア合わせて約11万人が必要とされ、2020年大会成功の鍵となる。中核となるリーダー、マネージャーリーダー養成も含め、解決すべき課題は少なくない。

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文教大の二宮雅也准教授

 総括した二宮准教授は、笹川会長が提起した問題にふれて、「ボランティアをどう理解していくか、ボランティアの価値、ボランティア・マインドの普及も含めて教育の役割は避けて通れない」と指摘。レガシー創出のために「理解と経験を伸ばし、点を面にしていくプラットホームづくりが課題だ」と話した。

 終わりに、ボラサポからの発信として、(1)大会を楽しむ、(2)出会いを楽しむ、(3)可能性を感じる、(4)ボランティアレガシーの構築 とう4つの内容からなる提言を二宮准教授が読み上げた。







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