• もっと見る

前の記事 «  トップページ  » 次の記事
2018年04月25日(Wed)
福島市の滞在施設「パンダハウス」開所式
家族が休息・相談できる「もう一つの我が家」
難病と闘う子どもと家族が孤立しない地域づくり


入院中の子どもに付き添う家族が休息・宿泊でき、さらに退院後も地域で安心して生活するための相談ができる拠点「パンダハウス」が福島県福島市に完成し、4月21日、開所式が行われた。日本財団が全国で整備している「難病の子どもと家族を支える地域連携ハブ拠点」の17カ所目。パンダハウスはもともとこの地で家族の滞在施設として20年活動してきたが、旧棟を建て替え、新たに相談事業も開始した。今後、この滞在事業・相談事業という2つの特徴を生かし、難病児とその家族が孤立しない地域づくりを目指す。

福島市の「パンダハウス」前で記念写真

福島市の「パンダハウス」前で記念写真


現在、難病をもつ子どもは全国で25万人以上。病気が判明すると、自宅から遠く離れた病院に入院することも少なくない。家族の負担は精神的、肉体的、経済的に大きくなり、自宅に残された兄弟も寂しい生活を余儀なくされる。

また近年の医療技術の進歩によって救える命が増える半面、一命をとりとめたものの重い障害が残ったり、経管栄養、人工呼吸器などの「医療的ケア」が必要となるケースも目立つ。結果、退院後も家と病院を往復する生活を余儀なくされ、自宅でも子どものケアにかかりっきりとなり、地域社会から孤立しがちになるといった問題も深刻化している。

「パンダハウス」外観

「パンダハウス」外観



パンダハウスは福島県立医科大学附属病院から車で約5分。緑豊かな自然に囲まれた環境にある。これまで20年以上にわたり、県内外あるいは国外から同医科大で治療を受けに来る子どもと家族が1泊1000円で滞在できる「もう一つのわが家」として活動してきた。しかし利用者が増加し3つの居室では対応しきれず、寄付を集めて昨年5月に増築棟をオープンさせた。

今回は、日本財団の支援により旧棟も建て替え、新たに4室を追加。従来の宿泊機能だけではなく、各部屋にバス・トイレも設け、気兼ねなく体を休めてもらう工夫をしたり、日帰り利用を充実させた。キッチン付きの多目的ホールも整備し、同じ経験をもつ子どもや家族同士の交流会開催など、多様なニーズに対応できるスペースを設けている。

また建て替えに伴い、相談事業も開始。退院後も安心して生活できるよう、専門の相談員を配置し、地域で受けられるサービス・制度の紹介や、就学・就労に関する相談など、子どもの成長に伴って生じるあらゆる悩みに対応する。

新しく整備した居室

新しく整備した居室



開所式は、新しく整備した多目的ホール「みんなのホール」で行われた。ハウスを運営するNPO法人パンダハウスを育てる会の山本佳子理事長は「利用者や闘病中の人に力を尽くして、ここを温かないい”家”にしたい」と挨拶し、尾形武寿日本財団理事長は「パンダハウスを持続的に運営していくには、ここに集まった皆さんの温かい支援が必要。この地域はもちろん、日本のモデルとなるような施設を目指してほしい」と期待を寄せた。

その後、近隣の住民や利用者の子どもたちも参加し、大きな風船を割って中に入っているたくさんの小さな風船を出す演出(スパークバルーン)などで、パンダハウスの新たな門出を祝った。

004.JPG

風船を割って開所を祝う参加者




● 難病児支援(日本財団公式ウェブサイト)






 分身ロボ「オリヒメ」が教育現場をつなぐ(下)  « トップページ  »  日本の生薬づくりや棚田保存に歓声