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2018年02月28日(Wed)
「こう書けと 妻に下書き 渡される」
ゆいごん川柳、大賞は大阪府の女性
日本財団に応募1万4600点、前回の約3倍


日本財団は第2回ゆいごん大賞「ゆいごん川柳」の受賞作10句を2月28日、ウェブサイトで発表した。大賞1点には大阪府に住む女性(58歳)、ペンネーム「あーさまま」さんの「こう書けと 妻に下書き 渡される」を選出した。遺言に絡めて詠んだ作品が前回の3倍近い約1万4600点も寄せられ、その中から大賞1点、入賞3点、佳作6点を決めた。

ゆいごん川柳募集サイトのメイン画像

ゆいごん川柳募集サイトのメイン画像



遺言の大切さや必要性を広く社会に向けて周知したいと日本財団は1月5日を「遺言の日」と定めている。1と5の語呂合わせ(いごん)からだけでなく、正月には家族が集まる機会が多いことから、遺言について話すきっかけになってほしいとの思いを込めた。

遺言をテーマにした「ゆいごん川柳」の募集が前回好評を得たことから、2回目となる今回も全国から作品を募った。昨年12月4日から受け付けを開始し、遺言の日の1月5日に締め切った。その結果、ウェブによる応募を中心に前回の4915点を大きく上回る計1万4597点もの作品が集まった。応募者の最少齢が10歳、最高齢は102歳だった。

全日本川柳協会の協力を得た第一次選考で1345点を選び、日本財団遺贈寄付サポートセンターのスタッフによる第二次選考で77点にまで絞り込んだ。さらに日本財団の役員を含めた最終審査で、大賞、入賞、佳作の入賞作品を選んだ。大賞受賞者には10万円、入賞者には各3万円、佳作には各1万円を贈る。「日本財団ブログソーシャルイノベーション探訪」と「ゆいごん川柳応募キャンペーン」ウェブで受賞作品を公開した。

【第2回の受賞10作品は次の通り】
(作品の後のかっこ内はペンネームと性別、年齢、居住地。かぎかっこ内は全日本川柳協会のコメント)

<大賞1作品>
・こう書けと 妻に下書き 渡される(あーさまま さん、女性、58歳、大阪府)
「遺言の下書きを妻から渡される夫には、もう夫の威厳も父の威厳も何もありません。丸裸で無防備なお父さんにくすっと笑ってしまう一句ですが、そこに見えてくるものは・・・。遺言の下書きを渡す妻の夫への絶大なる信頼と、そうかそうかとその通りに書く夫の妻への真っ直ぐな愛情です。このゆるぎない信頼と愛こそが本当の遺言ではないでしょうか」

<入賞3作品>
・財産は お前たちだと 遺言に(みかど さん、女性、66歳、広島県)
「『遺言を残せるほどの金は無し』というのがほとんどの人の本音ですし、何も残してやることはできなかったけれど自分はお前たちが居てくれたおかげで幸せだったと思える親の幸せもあります。そんな複雑な親の心情をこの句は言い尽くしています。これ以上の遺言はないと思いました」

・遺言に 母のレシピも 書いてあり(よし得 さん、男性、75歳、広島県)
「『ものより思い出』という言葉がありますが、これはその遺言版です。自分がもらった遺産がレシピだけだとしたら。良いではありませんか。モノは使ってしまったら無くなってしまいますが、レシピ(母の味)はいつまでも残ります。母のレシピを書いた遺言が欲しいと思いました」

・遺言に 「仲良くあれ」と 書いた父(浮遊人 さん、男性、68歳、長野県)
「みんながこう言い残したい『仲良くあれ』だけにリアリティーがあります。そうありたいと思いつつ思わず(難しいよなぁ)と思ってしまう感覚。深いところで心をえぐられます。これが川柳の『穿ち(うがち)』です」

<佳作6作品>(コメント略)
・遺言と 書いたつもりが 遺書と書き(秋菜さん、男性、70、千葉県)
・遺言で やっとあなたを 理解した(inaho さん、女性、47歳、栃木県)
・それとなく 遺言のこと 親子酒(笑司 さん、男性、71歳、神奈川県)
・ゆいごんを 聞きたかったよ お父さん(島根のぽん太 さん、女性、49歳、島根県)
・ゆいごんで なりたい人に なる私(匿名希望さん、女性、59、東京都)
・割り切れぬ 円周率と 遺産分け(まいまい さん、男性、48歳、京都府)
タグ:遺言の日







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