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2018年02月06日(Tue)
日中佐官級交流、6年振りに再開へ
4月にも中国人民解放軍佐官団日本へ
将来は災害相互派遣なども検討


尖閣諸島(中国名・釣魚島)の国有化に伴い2012年10月に中止された日中佐官級交流事業が6年振りに再開されることになった。2月5日、笹川平和財団の笹川陽平名誉会長が中国人民解放軍中央軍事委員会国際軍事合作弁公室の胡昌明主任(少将)と会談の結果、新たに5年間、実施することで基本合意し、早ければ4月に20人前後の中国人民解放軍佐官団一行が訪日することになる。

会談する胡昌明主任=右=と笹川名誉会長

会談する胡昌明主任=右=と笹川名誉会長



先の河野太郎外相と中国の王毅外相との会談でも、今年が日中平和友好条約締結40周年に当たるのを受け両国首脳の往来など日中関係の改善を加速する考えが確認されており、会談では笹川名誉会長が相互の災害派遣や第3国で大災害が発生した場合の自衛隊と人民解放軍の合同救援チームの派遣、胡主任からは書道など文化面も取り込んだ事業の拡大が提案され、将来の検討課題とすることになった。

記者会見する笹川名誉会長

記者会見する笹川名誉会長



会談は北京の国際軍事合作弁公室で行われ、(1)民間チャンネルを活かして過去11年間、実施された交流事業が相手国に対する自衛隊と人民解放軍の次世代幹部の相互理解を推進する上で積極的な役割を果たした(2)本事業は日中両国を取り巻く安全環境を改善する上でかけがえのない意義を持ち、今後5年間、民間主導で実施する(3)事務局となる笹川平和財団と中国国際戦略学会が2018年春以降の早期再開に向け努力する―の3点を確認した。

2006年に来日した中国人民解放軍の訪日佐官団

2006年に来日した中国人民解放軍の訪日佐官団



胡主任は2007年に佐官級交流事業に参加した経験もあり、会談では「こうした民間主導の事業は両国民のためにもなる。政治的な理由で中断したのはもったいない」、「できれば4月中に実現したい」などと再開に意欲を示すとともに災害派遣に同意を表明。自らも文化交流や事業に参加した自衛隊や人民解放軍若手幹部による討論会などを通じ「徐々に内容を拡大したい」、「訪問団の人数をもっと増やしたい」などと積極的な姿勢を見せた。

これに対し笹川名誉会長は、「(日本と中国が)こうした話し合いをしたというだけで世界の目線も変わる」などと期待を語り、会談後、北京在住の日本メディアと記者会見。合意内容を発表するとともに、近く防衛省・自衛隊に内容を報告、受け入れ態勢などを相談する考えを説明、「再び事業が延期されるような事態になった場合どうする」との質問には「過去の例を参考に未来思考で進めたい」と答えた。

在北京の日本メディアと会見した

在北京の日本メディアと会見した



佐官級交流事業は民間組織である笹川平和財団の笹川日中友好基金と中国国際戦略学会が中心となって2001年にスタート、2012年の尖閣諸島問題を受け中国側が延期を申し入れたのを機に中止されるまで11年間にわたり自衛隊から126人、人民解放軍から207人が参加、双方の基地や演習見学など交流を重ねた。小泉純一郎元首相の靖国神社参拝で日中関係が緊張した当時も継続され、民間主導の異色の交流事業として注目を集めた。

尖閣諸島問題以後、日中両国の防衛当局同士の教育交流も見送られてきたが、現在、両国政府が再開の方向で調整を進めており、次代を担う若手幹部が直接交流する佐官級交流事業は民間プロジェクトながら、その中核の事業になると期待されている。
タグ:中国 日中佐官級交流
カテゴリ:世界







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