CANPAN ブログ検索
Loading
  • もっと見る

前の記事 «  トップページ  » 次の記事
2017年11月15日(Wed)
人の尊厳に根ざした新たな社会保障の展望を
生活困窮者自立支援で第4回全国研究交流大会
1100人が結集 広範な議論を展開


生活困窮者自立支援制度の根幹である「人の尊厳」に根ざした新たな社会保障の展望を切り開こうと、一般社団法人・生活困窮者自立支援全国ネットワーク(東京・新宿)と実行委員会は11月11、12の両日、第4回「全国研究交流大会」を高知市で開催した。北海道から沖縄まで各地の支援員や諸団体、行政など関係機関、学識者など約1100人が結集し、広範な議論を展開した。日本財団はこの大会に助成をしている。次の第5回大会は18(平成30)年11月10(土)11(日)両日、熊本市で開く。

大会全景

大会全景


生活困窮者自立支援法(以下「法」)が2015(平成27)年4月に施行され、複合的な課題を抱える、生活に困っている人に対して、包括的な支援を行う新たな社会保障制度が始まった。今年は法施行から3年目を迎え、厚生労働省の社会保障審議会は現在、制度の見直しに向けた検討を進めている。

厚労省は今年3月、審議会議論の前段となる論点整理を公表した。論点は宮本太郎・中央大学法学部教授を座長とする検討会がまとめた。それによると▽まだ支援につながっていない生活困窮者への対応▽支援メニューの不足▽対象者に応じた支援の必要性▽自治体の取り組みのばらつき−を「課題」として挙げ、自立相談支援事業、就労支援、家計相談支援、一時生活支援、居住支援、高齢者支援の在り方や、子どもの貧困の連鎖防止、支援を行う枠組み、などへの「論点」対応が必要だと指摘した。

002.jpg

フロアディスカッションで会場からの質問に答える登壇者の皆さん


この大会はこれまで大阪、福岡、神奈川の順で毎年開催。今回、初日の全体会は高知県立県民文化ホール(オレンジホール)で、2日目の分科会は高知県立大学(永国寺キャンパス)で開いた。主催者あいさつで同ネットワーク代表理事の一人、岡ア誠也・高知市長は「生活困窮をされている多くの人は、社会的に孤立している現実がある。できれば社会的孤立を法で定義づけられればと思っている」と述べた。

基調鼎談(ていだん)では、厚労省社会・援護局の定塚由美子・局長が、検討を進めている法改正の見直しポイントを紹介し「制度・分野ごとの縦割りではなく、包括的に、丸ごと住民が主体的に参加して、ひとごとではなく、わがこととして、地域福祉などにかかわる『地域共生社会』の実現を目指している」と説明した。

NPO法人・抱撲(福岡県)の奥田知志・理事長は、制度ができたことを評価した上で「名前は自立支援制度という名前だが、この制度だけで自立させようと思ったら大間違い。自助も互助も共助も公助も全部使い、全てのプレーヤーでやるぞ、と宣言しなければならない。そこのところに希望を持っているし課題でもある」と幅広い支援者連携を要請した。

社保審会長などを歴任してきた大森彌(わたる)東大名誉教授は、国際社会の中でもまれにみて日本の自治体は無料の相談を受け付けていると指摘。「問題がいっぱいあるにもかかわらず、集約されない仕組みになってしまっている。たくさんの相談事業を生かせていない。自治体はそのことに気付いてほしい」と呼び掛けた。

舞台スクリーンから 1

舞台スクリーンから 1


舞台スクリーンから 2

舞台スクリーンから 2


「自治体政策をこう変える」と題した話し合いでは、岡ア・高知市長、石橋良治・邑南町町長(島根県)、前河桜・大阪府福祉部地域福祉推進室社会援護課課長が、それぞれの自治体の取り組みを紹介した。

最後の「地域共生社会」をテーマにした徹底討論で、原田正樹・日本福祉大学学長補佐は「社会的孤立をどうするかという課題は、この問題をどう定義するかによって、その要件に当てはまらない人をつくりだしてしまう恐れがある。そうならないための仕掛けづくりが必要。福祉事務所のない町村の問題を県との関係でどうとらえるか、地域包括支援体制が本当につくれるのか、このあたりも大きな課題になってくると思う」と問題提起した。



● 生活困窮者自立支援全国ネットワーク ウェブサイト







 【学生が見た日本財団】ドラマ『コウノドリ』とコラボ  « トップページ  »  ササカワ奨学金、英国の日本研究進展に大きな役割