CANPAN ブログ検索
Loading
  • もっと見る

前の記事 «  トップページ  » 次の記事
2017年10月06日(Fri)
障害者と共に楽しむ 日本財団DIVERSITY IN THE ARTS企画展(5)
「ミュージアム・オブ・トゥギャザー」
障害者の外出環境を整える


障害のある人が電車やバスを乗り継いで外出するには、ある程度の覚悟が必要だ。それを支えるのは、確かな情報と安心できるパートナーの存在だろう。確かな情報は、信頼できるネットやSNS、安心できるパートナーは車いすの介護者や盲導犬、介助犬など。それに、外出先の施設やカフェなどのバリアフリー情報を共有するアプリ「Bmaps」(ビーマップ)が加わった。これらをうまく使うことが、安心して外出できる秘訣だろう。

東京・南青山の表参道で8月27日、バリアフリー情報を集める「ブレーメンの調査隊」を開催

東京・南青山の表参道で8月27日、バリアフリー情報を集める「ブレーメンの調査隊」を開催


アートディレクターの橋詰宗さんとウエブディレクターの萩原俊矢さんは、二人三脚で展覧会のグラフィックや公式ウエブサイトを作成してきた。2人が特に力を入れて作成したのは「ミュージアム・オブ・トゥギャザー」のロゴ。デザインは二人で対話しながら決めた。まず、会場のスパイラルのイメージである階段のスロープをロゴに入れることにし、上辺を約8%の角度で右下がりにした。黒地に白のゴシック文字でコントラストをつけ、視認性の高いものにした。さらに、文字の配置については、「ミュージアム」を右上がりに、「トゥギャザー」を右下がりにすることでリズム感をつけるようにしたという。

橋詰さんは「シンプルだが、目立つようにできたと思う」と語り、自信を示した。

インタビューに答える萩原さん(左)と橋詰さん

インタビューに答える萩原さん(左)と橋詰さん


中央にロゴが入ったポスター

中央にロゴが入ったポスター

二人で作成した公式ウエブサイト「DIVERSITY IN THE ARTS TODAY」から、会場へのアクセス情報を中心に見てみる。最初の画面の右下にある「Museum of Together」のボタンをクリックすると、ミュージアム・オブ・トゥギャザー展の案内に移る。最初にキュレーターと主催者・日本財団のメッセージがあり、続いて展覧会のアクセシビリティについての説明が入る。まず、グーグル地図で会場内外を一望し、その後、ウエルカム・ポイント(受付)から展示作品と作家の一覧表、視覚、聴覚などの障害者に向けたアクセス・アート・プログラムの案内が続く。さらに、会場周辺のバリアフリー情報を網羅したアプリ「Bmaps」の説明、渋谷・赤坂・原宿方面からのアクセスの説明がある。最後に、スパイラル内部の駐車場、トイレ、車いす貸し出し、休憩スペースなどの詳しい情報が載っている。

ここで重要なのは、「情報のバリア」を解消するアプリ「Bmaps」である。日本財団と株式会社ミライロが昨年春に共同開発したもので、事前に調べておけば障害者だけでなく、高齢者にとっても行きたいレストランやカフェにある段差、入り口の広さ、明るさなどが一目で分かり、大変便利である。

このアプリは、レストランなどを訪れた人から、その施設についてのバリアフリー情報を投稿してもらい、それを利用者が共有することで成り立っている。投稿してもらう情報は、施設内の段差や通路の広さなどの移動に関する情報、駐車場やエレベーターの有無などのアクセスに関する情報、そのほか、車いす対応のトイレの有無など計17項目に及ぶ。

ミライロで社員からアプリ「Bmaps」について聞く土屋実央さん(左)と木津石生さん

ミライロで社員からアプリ「Bmaps」について聞く土屋実央さん(左)と木津石生さん


ミライロによると、昨年春からこれまでに投稿された施設件数は約6万件で、このうち飲食店が約7割を占める。地域的には約6割が東京周辺、約3割が大阪周辺、残りは福岡周辺だ。調査の結果、施設入り口の段差がゼロだったのは全体の5.4%という。

ミライロは日本語版のほか、英語版を昨年4月、スペイン語版を昨年7月にリリースしている。東京五輪・パラリンピックが行われる2020年までに全世界からの投稿件数を100万件に増やしたい考えだ。

車いすで横浜ランドマークタワーを訪れた三ツ木さん

車いすで横浜ランドマークタワーを訪れた三ツ木さん

バリアフリー・コンサルタントの三ツ木俊之さんは、「日本でもハード面では改善されつつあるが、ソフト面ではなかなか欧米に追いついていかない」と指摘する。三ツ木さんは8年前、歩道で転倒し車道に飛び出たところを車に引かれ、脊髄損傷で車いす生活に。以前、ビルの管理部門で働いていて建造物を熟知しているため、コンサルタントとして施設の調査などを担当している。

三ツ木さんは日本が遅れている理由として、米国のような、障害者に健常者と同等の権利を有することを認めた法律(米ADA法)がないことを挙げる。同法は1990年に成立したもので、障害を理由に障害者を差別することを禁じている。その1例として、駐車場に「車いす用」と書かれた場所に健常者が駐車した場合でも罰金が課されるという。

三ツ木さんは「米国では障害者を差別しないということが、国民の意識に根付いている。日本でも障害者アートの展覧会などが、意識変化につながっていく機会になればいい」と願っている。

第6回はこちら
● 障害者と共に楽しむ 日本財団DIVERSITY IN THE ARTS企画展(6)



● 日本財団DIVERSITY IN THE ARTS ウェブサイト
● ミュージアム・オブ・トゥギャザー ウェブサイト







 2030年に向けた海洋開発の技術戦略  « トップページ  »  今年度末の来館者、予想超える3万人に