CANPAN ブログ検索
Loading
  • もっと見る

前の記事 «  トップページ  » 次の記事
2017年10月03日(Tue)
徴用工賠償問題 本質は韓国の「内政問題」
(リベラルタイム2017年11月号掲載)
日本財団理事長 尾形 武寿


Liberal.png文在寅新大統領の登場で、植民地時代に朝鮮半島から動員された元徴用工の賠償問題が日韓間の新たな火種となる恐れが出てきた。

この問題は1965年に日韓基本条約とともに結ばれた日韓請求権・経済協力協定で解決済みとされてきた。協定では、両国の賠償請求権問題が「完全かつ最終的に解決された」ことが確認され、日本は協定に基づき、当時の韓国の国家予算の約2倍に相当する5億ドル(無償3億ドル、有償2億ドル)を韓国に供与した。

無償3億ドルには個人補償の解決金も含まれていた。しかし当時の朴正熙大統領は「今は、国家経済の建て直しが急務」として資金をインフラ整備に投入、「漢江の奇跡」と呼ばれる経済発展を成し遂げた。

2005年、当時の廬武鉉政権は「元徴用工らに対する日本政府の補償措置は解決済み」との見解を示し、司法を担当する民情首席秘書官として廬政権を補佐した文大統領もこの見解作成に関与したといわれる。

二国間の協定に基づき、個人補償の解決金の趣旨も含めた5億ドルが日本政府から支払われた以上、問題の本質は「これが韓国でどう使われたか」、即ち韓国の内政問題であり、現に徴用工遺族らが韓国政府に支払いを求める訴訟も起こしている。

しかし文大統領は8月17日、就任100日の記者会見で、「日韓請求権協定があっても元徴用工個人が企業を相手に賠償を求める請求権は残っている」とする韓国大法院(最高裁)の判断を引用、「政府はそのような立場で歴史問題に臨んでいる」と述べた。

8月25日には、安倍晋三首相との電話会談で一転して「この問題は日韓基本条約と日韓会談で解決され、韓国政府も(元徴用工)に補償した」と述べ、軌道修正を図ったとも受け取られた。しかしその後、康京和外相が「大法院の判決を重視しなければならない」と改めて語っているところから見て、文政権の大法院判決重視の立場は変わっていないようにも見える。

振り返ってみれば、慰安婦問題も政権が変わるたびに韓国側の要求がエスカレートしてきた。日韓両外相による15年末の「最終的かつ不可逆的な解決」も、現実には韓国側が「適切に解決されるよう努力する」としたソウル・日本大使館前の慰安婦像がそのまま据え置かれ、他にも新しい像が建設される事態となっている。

条約や協定は国と国の約束であり、合意した以上、これが守られなければ国と国の関係は成り立たない。どのような内容であれ反対意見は必ず出る。それを解決して約束を守っていくのが、国際社会で誇りある地位を築く道でもある。

筆者から見れば、大統領選挙のたびに「反日公約」をエスカレートさせる韓国の政治は世論迎合以外の何ものでもない。政権交代ごとに「歴史問題」が振り出しに戻るのでは日本国民の不満と不信が高まり、結果、韓国側の反発も高まる。

北朝鮮の核とミサイル開発で国際的な緊張を増す半島情勢を前にすれば、冷え切った日韓関係は決して好ましくない。しかし経過を踏まえる限り、我国には徴用工問題で「打つ手なし」である。

文大統領は「この問題が両国の未来志向の関係の発展に障害にならなければよいと思う」とも述べている。そのためにも徴用工問題を「解決済み」としてきた歴代政権の姿勢が堅持されるよう望んでやまない。

カテゴリ:世界







 障害者と共に楽しむ 日本財団DIVERSITY IN THE ARTS企画展(2)  « トップページ  »  日本財団 子ども支援でテレビCM