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2017年08月24日(Thu)
【職員レポート】人と海の未来を創り出す
職員レポート
全国の中高生研究チームが挑戦
日本財団「マリンチャレンジプログラム」


「海と日本PROJECT」のひとつ、マリンチャレンジプログラムの関東大会が、8月9日(水)、TEPIA先端技術館(東京都港区)で開催され、海に関連する「なぜだろう?」という疑問や、「こんなことができれば、この課題の解決に繋がるのではないか。」といった仮説を多様な視点から明らかにしようと研究に取り組む中高生約50人が集まりました。

全チームと審査員の記念撮影=先端技術が果たす役割への社会的関心を高める活動をしているTEPIA先端技術館(東京都港区)

全チームと審査員の記念撮影=先端技術が果たす役割への社会的関心を高める活動をしているTEPIA先端技術館(東京都港区)で


プログラムは、この春、日本財団が(株)リバネスと開始した助成事業で、海に関する研究に挑む中高生グループを対象に、研究費の提供と専門家による支援をしています。2人以上で構成する60チームを全国から募集し、5カ所で地区大会を実施、優秀賞3チームが追加の研究費を得て研究を深め、来年3月28日(水)に東京で開催する全国大会で成果発表をします。関東大会には、東京、千葉、神奈川、埼玉、栃木、山梨、富山7都県の11校13チームがエントリー、千葉大学教育学部附属中学校、富山県立滑川高等学校、かえつ有明高等学校(東京)が優秀賞に選出されました。

千葉大附属中チームは、これまでの研究で成果を得ていたイオン交換膜を使った実験を応用、災害時の飲用水確保を想定し、海水を淡水化する研究をしています。代表の藤堂博仁さんは堂々とした発表ぶりで、審査員との質疑応答にも細かいデータの説明や今後の研究に期待できる成果を根拠だてながらしっかり話す姿が頼もしく、聴衆に強い印象を残しました。審査委員長の高橋宏之・(株)リバネス 知識創業研究センター長は、「震災の場面での飲用水利用だけでなく、島国や沿岸部の砂地での農業用水利用など多様な用途が期待できる」と受賞理由を話しました。

最初に登壇した藤堂博仁さんと伊藤咲希子さん

最初に登壇した藤堂博仁さんと伊藤咲希子さん


「すべての活動は海のために」をスローガンに掲げる滑川高等学校海洋科に通う日野 航くん率いるチームは、地域の海岸で潜水による藻場調査をしている経験から、危険な作業を代替する小型ROV(遠隔操作型無人潜水機)を低コストで開発、潜水調査との比較におけるROV調査の有効性を検証しています。発表では、水深4メートルのプールに自ら潜水し、地元で手に入る材料を駆使して自作したROVの動作確認をする様子を動画で紹介、今後実施する海岸の藻場調査を説明しました。

笑顔で表彰状を掲げるかえつ有明高チーム

笑顔で表彰状を掲げるかえつ有明高チーム


かえつ有明高チームは、他チームが化学部や専門課程の生徒で構成される場合が多い中、バドミントン部の先輩・後輩で結成した異色のチームです。代表の田中絢音さんによると、学校近くの干潟を見る日常の中で、そこに生息するトビハゼの転がる方向に規則性があるのかという疑問を解明しようと、捕獲した3匹のトビハゼが1時間で転がる回数を数える地道な観察や世話を、夏休み中も毎日続けています。

審査員の都築幹夫・東京薬科大学名誉教授は「私が伝えたいのは、本当に好きなことをやりなさいということ。好奇心と勉強を両輪に、好きなことを勉強に生かす努力が思い出や自信にもなるので、みんなの将来に期待しています」と激励し、佐藤孝子・海洋研究開発機構横浜研究所 副主幹は「一番胸を打たれたのは、みんなのひとつの目標に向かって努力する姿。今後もドキドキ、楽しいサイエンスを頑張ってください」、中林良和・三井造船株式会社 主管は「みんなはライバルではない。他校の仲間とも情報交換しながら研究を続けよう」と若い研究者たちにそれぞれエールを送りました。

各校の研究内容を説明するポスター展示では名刺を手に活発な交流も

各校の研究内容を説明するポスター展示では名刺を手に活発な交流も


日本財団が7月に発表した「海と日本に関する意識調査」によると、十代の約4割は海に親しみを持っていません。関心が低下すれば、そこにある問題への気づきも、解決しようという思いも持ちづらくなるもの。マリンチャレンジプログラムは、海洋分野の課題を見つけ、人と海との未来を創り出す仲間づくりを目的にしています。地区大会は8月7日に仙台、22日に広島、24日に大阪ですでに開催、27日に博多での開催を予定しています。

(コミュニケーション部/桜木 由美子)



● 海と日本PROJECT ウェブサイト







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