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2017年08月09日(Wed)
「あすチャレ!運動会」で何かが見えてきた
パラスポーツで見えなかった何かかが見えてくる〜そんな合言葉でパラスポーツへの普及と理解を進める体験型運動会「企業対抗あすチャレ!運動会 in TOKYO 2017」が8月5日、東京・世田谷の日本体育大学キャンパスで開かれた。日本財団パラリンピックサポートセンター(通称パラサポ)が、株式会社ジェイティービー(JTB)の協賛を受けて主催するこの運動会は、パラスポーツで構成された新しいタイプの法人向けプログラムである。2020年東京パラリンピックのオフィシャルスポンサーやオフィシャルパートナー、障害者スポーツを積極的に支援している16社(※1)から約300人の選手が参加、日本財団も財団内の中堅、若手でチームを編成し、出場した。

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あすチャレ!運動会に参加した企業の集合写真


「われわれ選手一同は、筋肉痛を恐れることなく全力でプレーし、企業の枠を超え、パラスポーツの盛り上げに貢献していきたい」

パナソニックの濱田秀崇(はまだ・ひでたか)さんの選手宣誓で始まった大会は、「ゴールボール」「ボッチャ」「シッティングバレー」「車いすポートボール」「車いすリレー」の5競技にチーム対抗で覇を競った。各競技、16チームが4ブロックに分かれてリーグ戦方式、総当たりで戦い、1試合ごとの勝ち点(※2)の総合点で順位を決める。

その結果、全競技に安定した成績を残し、最後の車いすリレーを圧倒的な強さで制したスポーツ用品大手のアシックスジャパンが栄冠を手にした。キャプテンの小林優史(こばやし・まさふみ)さんは、「仲間たちと全力で走り、プレーし、優勝できて、みんな最高で〜す」と喜びの声をあげ、大会の印象をこう話した。「日ごろスポーツに触れてはいますが、大会に備えてとくに練習してきたわけではありません。でも、こうして仲間と一緒に何かすることが楽しく、またパラスポーツがこんなに楽しいものだと初めて知りました。ぜひ、普及にも力をいれていきたいですね」

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トップでゴールへ疾走するアシックスからの参加者


小林さんが「楽しい」と表現した大会は、「ゴールボール」で幕を開けた。3人でチームを組み、目隠しをして鈴の入ったボールの転がる音を頼りにゴールをねらう。目隠しをしているから、日ごろと勝手が違うのだろう。ボールをまったく違う方向に投げたり、変な形でゴールを防ごうとしたり、応援する人は、本当は声を出してはいけない決まりになっているが、つい笑い声も起きた。

「僕らはしゃべるのが商売、しゃべりを封じられると力が出ません」。よしもと芸人の大西ライオンさんは、そうぼやきつつ、「パラスポーツは難しいけど、ほんとうにおもしろい」と話した。よしもとクリエイティブ・エージェンシーはパラサポの活動を支援、大西さんたちは「パラ駅伝」でも大活躍している。

ゴールボールは静かに応援しなければいけないが、「ボッチャ」からは盛り上がりが急上昇。パラサポのコーディネーター、伊吹祐輔(いぶき・ゆうすけ)さんが、「ボッチャ、知っている人」と問いかけると、大半の選手が手をあげ、「やったことがある人」にも多くの人が「ある」と答えた。リオデジャネイロ・パラリンピックの活躍で認知度が上がったこともあり、巧みなボール捌きの選手も出現、大きな拍手を浴びていた。

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会場を盛り上げた大西ライオンさんらよしもとクリエイティブ・エージェンシーの参加者たち


床に座ったままプレーするシッティングバレーでは、勝負の意識をむき出しに、床からお尻を離してプレーする人もいる。真剣に全力でプレーするあまり、反則プレーをとられ、同僚から冷やかされる人もいた。日ごろ運動不足で移動も面倒という人には、もってこいのスポーツのようだ。

車いすポートボールは車いすバスケットボールをアレンジ、人がゴール役を務める。ルールは簡潔になっているが、車いすの操作次第で、随分動きが違ってくる。

ミライロ社長の垣内俊哉(かきうち・としや)さんは、車いすに乗った経営者で知られているが、スポーツマンとしても相当なテクニシャン。車いすを巧みに操り、素早い動きでゴールを決め、またへの味方アシストでゴールに貢献した。

「最後の車いすリレーは、予選で負けて決勝にでられないから、この車いすポートボールで点数をあげておかないと…」。垣内社長は先頭に立ってコートを走りまわっていた。実際、車いすリレー終了時点、最後の車いすリレーを残して、ミライロが総合点トップだった。それだけに力が入っていたようだ。

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シッティングバレーの難しさに参加者は必死の表情


車いすポートボールではまた、JAL対ANAの対決が実現。ライバル航空会社の対決には、ほかの企業のみなさんからも注目を集めた。双方、「負けられない」思いの戦いは、結局、2-0でJALが制したが、JALの古川兼嗣(ふるかわ・けんじ)さんはこう話す。「日本の翼として一緒にオリンピック・パラリンピック、パラスポーツを盛り上げていければいいですね」

このライバル対決の後、ちょっといい話があった。JALの次の試合にANAが声援を送り、お返しにANAの試合をJALが応援する交歓があったのだ。この大会では総合成績とは別に、応援で大会を盛り上げたチームに特別賞も贈られたが、その賞に輝いたのが、ANAチームだった。そろいの青のTシャツに、幟をたててチームの結束を示し、バルーンスティックで盛り上げた。車いすポートボールでのJALへの応援も選考理由となった。

「グループ全体で参加を募りましたので、今朝初めて会った人もいました。まとまって練習するということもなかったのですが、ANAは何か目的があると一つになって結束する会社です。航空会社なのでチームワークが大事なので、それが誇りです」。キャプテンの諏訪自子(すわ・よりこ)さんはそう話した。

競技や応援を通し、自社のチームワークの良さを再発見できた大会だったが、最後の車いすリレーでは、予選で敗退し出場できなかったチームの選手たちも大声で声援、会場がひとつになった。

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互いに声援を送り合うJALとANAのメンバーたち


大会を後援するJTB執行役員の青木尚二(あおき・ひさじ)さんは大会をこう総括する。「これだけの企業が集まり、パラスポーツを応援していることがわかって心強く感じました。身内に障害のある方がいれば理解もあるでしょうが、現実はそうした方ばかりではありません。大会を通じて障害や障害者への理解を深め、それが広がっていけばいいと思います。実際、パラスポーツをやってみて、やっていらっしゃる選手たちは凄いと心から感じました。2020年はゴールではなく、きっかけです。その先、共生社会の実現にどう進んでいくかが大事だと思います」

この大会のプログラムは、パラサポのスタッフが約1年かけて構成した。運動会であり、勝負という要素、それも企業の対抗戦なので競うという要素が大事になるが、パラスポーツがいかに楽しいものか、実際に触れて、慣れ親しんでもらおうとのねらいが込められている。今年5月、大阪で4チームが参加して第1回大会が開かれ、新潟などで規模の小さいミニ大会も開いている。

中心メンバーであるパラサポの伊吹さんはこう話す。「もっと全国に広めていきたい。2020年までではなく、パラスポーツ普及のため、理解促進のため、その後まで残るものにしていきたい。パラスポーツは身体への負担も少なく、高齢者でもできるスポーツばかり。そうした面からの普及にも努めたい」

伊吹さんもまた、車いすを手放せない。だからこそ、企画できた運動会かもしれない。彼は、この運動会の趣旨を3つの言葉で説明する。

「1.全力で楽しむこと。2.全力でチャレンジすること。3.チャレンジする人をほめること」
 
【※1 参加企業】アシックスジャパン株式会社、オイシックスドット大地株式会社、近畿日本ツーリスト株式会社、JXTGエネルギー株式会社、株式会社ジェイティービー、全日本空輸株式会社、凸版印刷株式会社、西尾レントオール株式会社、公益財団法人日本財団、日本電信電話公社株式会社、日本航空株式会社、野村ホールディングス株式会社、パナソニック株式会社、株式会社ミライロ、よしもとクリエイティブ・エージェンシー、ワン・トゥ・テン・ホールディングス株式会社

【※2 勝ち点】車いす以外の4種目は、勝ち30点、引き分け10点、負け0点。車いすリレーは予選、決勝とも1位50点、2位40点、3位30点、4位20点







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