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N-Pocketの活動は社会の変化に追いついているか [2019年08月16日(Fri)]

今年の総会は、日頃スタッフが事務局会議や日常の雑談で話していることを整理して発表。ソーシャルインクルージョンの理念を掲げ、市民社会創造を願うN-Pocketが今、何に悩み、困っているのかをお伝えしました。


本 活動の担い手探しに苦労しています

いつどこで地雷を踏むかわからないような現場が増えています。障害のある人の就労やICT支援、外国ルーツなど多様な状況にある子どもたちの教育支援などの現場を抱え、活動を続けるほどに高い専門性が必要になってきます。気持ちさえあれば誰でもどうぞと言いたいですが、そんなボランタリーな市民参加の理想に困難を感じています。

それでも社会のあり様に触れ、自分事として考えることができるよう、いろいろな人にNPO活動に関わってほしいと思っています。人を大切にできない社会にしたくありません。楽しく人を巻き込んでこちらも元気をもらえるよう、どうやって踏ん張ればいいのか試行錯誤中です。


本 協働という掛け声の中で

さらにNPOは現場活動だけでなく新しい資金調達の動きの中でその運営能力が試されている現実があります。

受益者からのコスト回収が難しい福祉や教育など、NPOが多く関わる分野への税金の投入が減少、NPOが行政の「協働相手」から「一事業者」の扱いに。いわゆる下請け化が進んでいます。振り返れば、NPOは「協働」という行政からのかけ声にのって公共サービスの民営化という流れを強めてきました。新自由主義と親和性がある動きだったと思います。それゆえに営利企業とNPOの社会に対して果たす役割の違いを明確にしていく必要があるのではないでしょうか。

社会では、経済的に自立した「稼げるNPO」が推奨されます。制度化されていない事業や市場に乗らない活動に取り組むNPOがどう持続可能な資金調達をしていくのか、「市民社会」の独立性をどう維持するのか悩みます。事業収入を増やすことに注力すると活動が商業化する恐れがあるからです。このままでは活動仲間であるボランティアが減ってしまうかもしれません。競争によりNPO同士のネットワークが困難になったり、コストに見合わない市民を排除したり、企業の限界と類似する限界をNPO自身がもってしまうことになりかねません。


本 評価って大切・・・だけど、

助成金や寄付などの資金と結びつく「評価」に現場が振り回される現実もあります。休眠預金の活用でも話題となった「評価」は成果をはかるために大切ですが、地道で長期的な活動は成果が見えにくいし、DV支援を行う団体は自分たちの名前さえ隠そうとします。犯罪者に関わる支援活動なども共感を得にくかったりします。目に見える成果をはかるための安易な評価基準はよい活動でも資金調達が叶わず、支援を受けられずに置き去りにされる人々を生むかもしれません。


本 NPOの役割「市民参加の促進」

N-Pocketは、NPOについて伝える機会があると、行政の行動原理が平等や公平性にあることとは対比的にNPOがもつ柔軟性や起動力などの強み、NPOの役割について話をしています。@市民参加の促進 A課題発見 B社会的サービスの提供 C提言 D新しい価値の創造の五つの役割です。これらの中には企業が担い始めた役割もありますが、今、社会が生き返るために必要なのは、@の「市民参加の促進」だと感じています。

N-Pocketは課題を抱えた当事者が自ら声を出し、周りの市民がその当事者を支えながら一緒に課題解決ができる社会を目指しています。そのためにNPOとしての役割を何とか果たしていきたいのですが、N-Pocketはこうした社会の変化をどう受け止めていけばいいのでしょうか。

(代表 井ノ上 美津恵)

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