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南麻布セントレホール アンサンブルシリーズ vol. 3[2016年05月31日(Tue)]
20160527_13-2_s.jpg 今後が期待される若手奏者が、異なる世代の音楽家との共演を通して、室の高い室内楽の演奏を経験することを目的としたセントレホール アンサンブルシリーズ。このシリーズも第3回目となりました。

 今回は20代半ばのお二人、既に何度かMusic Dialogueのコンサートに出演しているヴァイオリンの藤田尚子さんと、初登場となるチェロの諸岡拓見さんが、楽聖ベートーヴェンが同じ年頃に手がけた作品に取り組みました。共演してくださるのは、上野学園大学で教鞭をとる今野尚美さんと、Music Dialogue音楽監督の大山平一郎です。

 まず最初に演奏したのは「弦楽三重奏曲 変ホ長調,Op. 3」からの抜粋(第1, 2, 4 & 6楽章)。リハーサルでは大山から飛んでくる檄に必死に食らいつく若手の2人でしたが、本番では大変堂に入った演奏を聴かせてくれました。

20160527_19-3_s.jpg 続いてはピアノが加わり「ピアノ四重奏曲 変ホ長調,Op. 16」を演奏。初演ではベートーヴェン本人が演奏し、作曲技術だけでなく自分の演奏技術をアピールするために書かれているという側面もあるためピアノの比重が高いのですが、大山さんの助言を受けながら、ピアニストの今野さんは力強さと美しさを兼ね備えた演奏を披露。若手2人も、時にピアノのサポート、時に自分が主役に…と、見事に弾きこなしていきました。

 休憩を挟んで、恒例のお客さまとアーティストによるダイアローグ。会場のお客さまからは「(音以外の表情なども含めて)どこまでが音楽なのか?」といったような哲学的な質問も飛び出し、アーティスト側も普段以上に回答に力がはいり、会場が良い雰囲気に包まれました。

20160527_39-2_s.jpg また今回は特別に、様々な国からの留学生6名をご招待しました。終了後のレセプションでも色々な方と交流されたりと、また違ったダイアローグがなされる場になりました。

 次回のセントレホールは12月6日(火)に、モーツァルトとシューマンのピアノ四重奏を取り上げます。どちらも、数多くの作曲家が手がけた「ピアノ四重奏」のなかで最高峰に位置する作品ですので、お楽しみに。
公開リハーサルを開催しました!(2016年5月24日、南麻布セントレホールにて)[2016年05月26日(Thu)]
公開リハーサルは楽しいですね。練習の途中でみるみる演奏が変わり、音楽が生き物であることがよく分かるからです。

一昨日、東京・港区にある南麻布セントレホールで聴いたのは、今月27日にこの小さなホールで開催されるMusic Dialogue(MD)主催公演のリハーサル。午後からベートーヴェンの弦楽三重奏曲(客席は主催者関係者のみ)、夕方以降は同じくベートーヴェンのピアノ四重奏曲(こちらは有料で公開)というスケジュールでした。

ヴァイオリニストの藤田尚子さん、チェリストの諸岡拓見さん、ピアニストの今野尚美さんは若手気鋭の奏者たち。ベテラン・ヴィオリストの大山平一郎さん(MD音楽監督)が加わってアンサンブルの極意を伝授するという、意味深なリハーサルです。

26-1.jpg

どちらの曲も、合わせる練習はこの日が初めて。まずは弦楽三重奏曲。冒頭から本番のテンポでどんどん攻めてきます。結構難度の高い曲だと思うのですが、第一線のプロとして通用する演奏技術を持ち合わせているメンバーばかりなので、最初から淀みなく音楽が流れます。しかし、大山さんはある時から随所で演奏を止めて、さまざまな言葉を繰り出します。

「ここ、フラットが4つあるけど、この調(変イ長調)には、どんな意味があるか、知ってます?」

客席で聴いている者も含めて、誰も答えられません。

「お母さんが大切に包み込んで守ってくれる。そんな調なんですよ。ベートーヴェンの気持ち、分かりますか?」

そして再び演奏が始まると、音楽がとても柔らかくなっているのです。ただ「柔らかく」と言われて弾き直すのとは、おそらく違う。柔らかさの種類にもいろいろあるからです。

ある部分では「ここはこう弾いているからちょっと聴いてみて」と大山さん。短いフレーズなのに、硬い部分と軽い部分があり、変化に富んでいることに感心させられます。音楽室にかかっているベートーヴェンの肖像画を思い浮かべると、音楽もすべからく硬そうなのに、実は変幻自在に表現できる旋律を巧みに織り込ませた曲を作っていたんだなと改めて気づかされました。そして始まった3人の合わせでは、表現の豊かさが倍増していました。


ピアノ四重奏曲では、ピアノだけが展開する部分にも大山さんの効果的なアドバイスがありました。


「ここは先にあるこの部分のことを考えてクレッシェンドの仕方を工夫してみてください」


ここでは、音楽の構築性が倍増していました。
まるで子どもの成長を見るような楽しみが、リハーサルの場にはありました。(Music Dialogue理事:小川敦生 )

◎明日27日に開催される南麻布セントレホールでのコンサートの詳細はこちらです
https://blog.canpan.info/music-dialogue/archive/69

※写真はベートーヴェンのピアノ四重奏曲のリハーサル風景。奏者の笑顔が物語っている通りの和やかな時間の中で練習が進みました(2016年5月24日、南麻布セントレホール)
6月12日 Music Dialogue in Kyoto Vol.2[2016年05月16日(Mon)]
関西での第二回目の演奏会のご案内です!今回は6/12にハイアットリージェンシー京都にて開催されます。注目すべきは世界的アーティストたちと日本の若きライジングスターとの共演です。元東京カルテットのマーティン・ビーヴァー、イギリスのアカデミー室内管弦楽団の首席チェリストを務めるスティーヴン・オートンといった世界のトッププレーヤーに加わるのは、若干22歳の日本の大学生。熟成された音楽と若さ溢れる音の共演をお楽しみください。


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【Music Dialogue in Kyoto Vol.2】

〔日時〕2016年6月12日(日)17:30開演(16:30開場)
〔会場〕ハイアット リージェンシー 京都
    JR京都駅よりタクシーで5分
    京阪電車七条駅より徒歩5分
    http://kyoto.regency.hyatt.com/ja/hotel/our-hotel/map-and-directions.html?icamp=propMapDirections
    コンサート:ロビーフロア(1階) ボールルームI
    レセプション:ロビーフロア(1階) ギャラリー

    (※終演後に別途、アーティストを交えたレセプションを開催します。)

〔出演〕マーティン・ビーヴァー、ポール・ホアン(ヴァイオリン)、
    大山平一郎、田原綾子(ヴィオラ)、
    スティーヴン・オートン(チェロ)

〔曲目〕ブラームス: 弦楽五重奏曲第2番 ト長調 Op. 111
    ドヴォルザーク: 弦楽五重奏曲第3番 変ホ長調 Op. 97

〔料金〕コンサート 5,000円(学生1,000円)
    レセプション参加費 7,000円 <限定30名様> ※一般・学生共通価格    

〔お申込〕https://pro.form-mailer.jp/fms/aec3f8fa45980

〔主催〕一般社団法人Music Dialogue
〔協賛〕ハイアット リージェンシー 京都
〔協力〕シャネル・ネクサス・ホール

〔お問合せ〕info@music-dialogue.org



【出演アーティストのプロフィール】

◆Martin Beaver マーティン・ビーヴァー(ヴァイオリン)
2002年から2013年まで世界的に有名な東京カルテットの第1ヴァイオリンとして活躍。ニューヨークのカーネギーホール、東京のサントリーホール、シドニーオペラハウスをはじめ世界各地の主要コンサートホールで演奏し、国際的な評価を得て、全世界で絶賛される。独奏会、合奏会など南北アメリカ、ヨーロッパ、アジア各地で演奏活動を展開し、室内楽では、レオン・フライシャー、リン・ハレル、ピンカス・ズーカーマンなどの演奏家と共演。ヴィクトル・ダンチェンコ、ジョセフ・ギンゴールド、ヘンリク・シェリングの各氏に師事。ベルギー・エリザベート王妃国際音楽コンクール、モントリオール国際音楽コンクール、インディアナポリス国際ヴァイオリンコンクールにて入賞。最近ではイェール大学音楽院のレジデンス・アーティストを経て、現在ロサンゼルスの音楽学校コルバーンスクールの教授としてヴァイオリンの指導に当たるとともに、弦楽室内楽の共同ディレクターを務める。使用楽器は1789年製のニコラ・ベルゴンツィ。

◆Paul Huang ポール・ホアン(ヴァイオリン)
台湾系米国人ヴァイオリニスト。2012年のヤング・コンサート・アーティスツ(YCA)シリーズにてニューヨークおよびケネディ・センターでリサイタルデビューを飾り、高い評価を受ける。ケネディ・センターでのデビュー演奏会について、ワシントンポスト紙は「ホアンは間違いなく、輝かしいキャリアが期待できる才能あるアーティスト」と称賛。2013年にはニューヨークタイムズ紙が、アリス・タリー・ホールでのセントルークス管弦楽団との共演について「バーバーのヴァイオリン協奏曲を見事な解釈で演奏」と絶賛した。台湾生まれ。14歳からジュリアード音楽院にてヒョー・カン、リー・イーハオ両氏に師事。2009年に台湾の奇美文化財団芸術賞を受賞した他、ジュリアード音楽院のコブナー奨学金を受賞している。使用楽器は、シカゴのストラディヴァリ協会の厚意により貸与された、ヴィエニャフスキが使用していた1742年製のグァルネリ・デル・ジェス・クレモナである。

◆Heiichiro Ohyama 大山平一郎(ヴィオラ)
米国サンタバーバラ室内管弦楽団・音楽監督兼常任指揮。シャネル・ピグマリオン・デイズ・室内楽シリーズ・アーティスティック・ディレクター。Music Dialogue代表。桐朋学園音楽高校卒業後、英国のギルドホール音楽学校を卒業。米国インディアナ大学でも研修。1972年から室内楽の分野で、活動を開始(マルボロ音楽祭・サンタフェ室内音楽祭・ラホイヤ・サマーフェスト)。1979年にジュリーニ率いるロスアンジェルス交響楽団の首席ヴィオラ奏者に任命され、1987年にプレヴィンから同楽団の副指揮者に任命される。1999年から5年間、九州交響楽団の常任指揮者、2004年から4年間、大阪交響楽団首席指揮者。2003年に30年にわたるカリフォルニア大学教授職を終える。2007年から3年間、ながさき音楽祭音楽監督を歴任。2005年に“福岡市文化賞”、2008年に文化庁”芸術祭優秀賞”、2014年にサンタバーバラ市の“文化功労賞”を受賞。

◆Ayako Tahara 田原綾子(ヴィオラ)
1994年、神奈川県出身。第11回東京音楽コンクール弦楽部門第1位及び聴衆賞を受賞。第9回ルーマニア国際音楽コンクール弦楽器部門第1位併せて全部門最優秀賞、ルーマニア国立ラジオ局賞を受賞。NHK-FM「リサイタル・ノヴァ」、NHK-BSプレミアム「クラシック倶楽部」、今井信子氏推薦による大阪ザ・フェニックスホール主催の演奏会、JTが育てるアンサンブルシリーズ、宮崎国際音楽祭、ル・ポン国際音楽祭等の他、多数の室内楽演奏会に出演。東京交響楽団、東京フィルハーモニー交響楽団と共演。2015年度宗次エンジェル基金/日本演奏連盟国内奨学生、ロームミュージックファンデーション奨学生。これまでにヴァイオリンを橋本都恵、井上淑子、ヴィオラを鈴木康浩、室内楽を原田幸一郎、毛利伯郎、三上桂子の各氏に、現在は岡田伸夫、藤原浜雄の各氏に師事。桐朋学園大学音楽学部4年に在学中。

◆Stephen Orton スティーヴン・オートン(チェロ)
イギリスノース・ヨークシャーのリポンに生まれる。ギルドホール音楽演劇学校にてウィリアム・プリースに師事する。ボーンマス・シンフォニエッタとシティ・オブ・ロンドン・シンフォニアにて首席チェリストを務め、過去10年にわたりDelméQuartetのメンバーとしても活動した。またロンドン交響楽団とフィルハーモニア管弦楽団のゲスト首席チェリストを務めていたほか、室内楽奏者としても幅広い経験を積んでおり、特にチリンギリアン・カルテットとはシューベルトの弦楽五重奏曲を頻繁に演奏している。1985年9月にはアカデミー室内管弦楽団の首席チェリストに任命され、同オーケストラと数々の協奏曲を共演した他、世界中をまわり数多くのレコーディングを行う。2013年からチリンギリアン・カルテットのメンバーとなった。
音楽家の職場見学!? 公開リハーサルの魅力[2016年05月15日(Sun)]
_DSC5636_(c)_small.jpg クラシック音楽に馴染みがない人にとって、オーケストラが違うと演奏の質が異なってくるのは分かっても、なぜ音を出さない指揮者がそれほどまでに大きな役割を果たしているのかがピンとこない……なんて話を度々耳にします。クラシック音楽がお好きな方にとっては、指揮者が何より重要なことはよく知っていることなのですが、それが分かりづらいのは何故なのか?それは、指揮者の仕事の大部分は――ある意味で――本番前までに殆ど終了しているからでしょう。もちろん本番でも練習以上の結果を出せるかどうかがかかっているわけですから、本番での指揮が重要なことに変わりはありません。しかし、「リハーサル」までによい準備ができていなければ、本番でよいパフォーマンスが出来る可能性は下がってしまうわけですから、指揮者の仕事の大部分は「本番以前」に終わっているといえるのです。

 では、本番以前にどんなことをしているかというと、大きく2つに分けられます。「個人での読譜(と練習)」と「リハーサル」です。これは、室内楽のリハーサルでも変わりません。リハーサルの前に、今回演奏する楽譜を読み込みながら、どのように演奏すべきなのかを考えながら練習をしてゆきます。オーケストラの場合は、基本的に指揮者に主導権がありますから、指揮者が楽団側に嫌われたりしない限りは(!?)、指揮者の意向通りに音楽作りが進められます。

 それに対して、室内楽の場合は基本的に全員平等に発言権があります。もちろんベテランの音楽家と若手の音楽家がいれば、ベテランが主導権を握るでしょう。しかし、指揮者とオーケストラのような関係にはならず、基本的には一音楽家同士として、ディスカッションを繰り返しながら、より良い音楽を求めて「合わせ」を重ねてゆくのです。
 
 だから、リハーサルを覗くということは、普段は公開していない職場を公開する「職場見学」や「工場見学」のようなものなのです。そう思うと、リハーサルを覗けるってワクワクしてきませんか? でも同時に、音楽に詳しくなかったら「工場見学」しても、結局は何が何だかわからないんじゃないかと思われるかもしれません。例えば、テレビで放送される「工場見学」は、音声やテロップで説明がつくから理解できるし、面白さが増すというものです。
 
 そこで今回の公開リハーサルでは、業界初かもしれない試みとして、リハーサルの公開中に「読む副音声」を同時におこないます。リハーサル中に喋りながら解説できれば一番なのですが、それでは「音を扱う音楽家たちの職場」の邪魔をしてしまうことになるので難しい。なので、今回はLINE(テキストチャット)を使用して、専門家による「読める副音声」をスクリーンに映し、誰でもリハーサルを堪能できるように致します。是非、この貴重な機会をお見逃しなく!
 
⇒公開リハーサルの情報はこちら
【特別企画:業界初!?「読む副音声つき公開リハーサル」】

〔日時〕2016年5月24日(火)18:00-19:30(17:40開場)
〔会場〕南麻布セントレホール
〔曲目〕ピアノ四重奏曲 変ホ長調, Op.16
〔料金〕一般500円(学生無料)当日精算
    ※一般の方で27日の本公演もお越しくださる場合は、
     コンサートの入場料を3,500円から3,000円に割引いたします。
〔お申し込み〕https://goo.gl/lccH8Y
       ※27日のコンサートと同時申込が可能です。

⇒本公演の情報はこちら
【南麻布セントレホール アンサンブルシリーズ Vol.3】

〔日時〕2016年5月27日(金)19:00開演(18:30開場)
〔会場〕南麻布セントレホール 日比谷線広尾駅より徒歩6分
    http://www.centre-hall.com/access.html
〔出演〕今野 尚美(ピアノ)
    藤田 尚子(ヴァイオリン)
    大山 平一郎(ヴィオラ)
    諸岡 拓見(チェロ)
〔曲目〕ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
    弦楽三重奏曲 変ホ長調, Op.3 より抜粋
    ピアノ四重奏曲 変ホ長調, Op.16
〔料金〕一般3,500円 学生2,000円(お飲み物付)当日精算
〔お申し込み〕https://goo.gl/lccH8Y

〔共催〕一般社団法人Music Dialogue
    サポートミュージックソサィエティ(SMS)

〔お問合せ〕
 メール:info@music-dialogue.org
 お電話:03-5791-3070(SMS)
若きベートーヴェンが大作曲家になるまで @[2016年05月13日(Fri)]
Thirteen-year-old_Beethoven.jpg 今回、セントレホールアンサンブルシリーズで取り上げるのはベートーヴェンが20代で作曲した2つの室内楽「弦楽三重奏曲 (変ホ長調,作品3)」と「ピアノ四重奏曲 (変ホ長調,作品16)」です。神童として幼きうちからその名を轟かせたモーツァルトに対し、ベートーヴェンはいつから真の天才になったのでしょうか。

 モーツァルトはわずか17歳で余りにも有名な、あの交響曲第25番を作曲しています。それに比べ、ベートーヴェンの初期の代表作として名高いピアノソナタ第8番《悲愴》が書かれたのは彼がやっと28歳になったときです。これだけをみると、ベートーヴェンの才能が発揮されたのは20代後半からのように思われるかもしれません。しかし実際は、既に20代前半からベートーヴェンは個性を発揮し、後の大作曲家への道を歩みだしていたのです。

 祖父、父ともに音楽家という一家に生まれ、家庭内で音楽の手ほどきをうけた幼きベートーヴェンは、7歳でコンサートを開き、更には13歳で作曲を師事していた師匠に「第二のモーツァルトになるのは間違いない」と断言されるほどの才能をみせました。その後も順調に成長をみせたベートーヴェンは22歳の時に、ハイドン(当時60歳で既に巨匠として名声を得ていた)に才能を見出され、弟子にしてもらえることになったため、翌年ベートーヴェンは遂にウィーンに移り住むことになります。今回演奏される2つの作品は、こうしてウィーンに活動の拠点を移してから作曲されたものなのです。

 当時のウィーンで音楽家が生きていくためには、貴族のサロンで気に入られる必要があったため、当時の流行りを踏襲しつつ作曲する必要がありました。「弦楽三重奏曲 (変ホ長調,作品3)」は、当時流行していた「嬉遊曲(ディベルティメント)」のスタイルで作曲されており、様々な雰囲気からなる全6曲で構成されています(今回のコンサートでは、そのうちの4曲を抜粋)。

 嬉遊曲との名の通り、本来このスタイルは気軽に楽しめる音楽が多いのですが、ベートーヴェンがモデルにしたのは事もあろうにモーツァルトが晩年に作曲した全曲で40分以上もあるディベルティメントだったのです。若きベートーヴェンが、既に大家であったモーツァルトに負けない作品を作ろうとしていたことが想像されて、微笑ましいですね。

(※ちなみに画像は、13歳のベートーヴェンの肖像です。意外と可愛らしいときもあったようですね。)
 
 
【南麻布セントレホール アンサンブルシリーズ Vol.3】

〔日時〕2016年5月27日(金)19:00開演(18:30開場)
〔会場〕南麻布セントレホール 日比谷線広尾駅より徒歩6分
    http://www.centre-hall.com/access.html
〔出演〕今野 尚美(ピアノ)
    藤田 尚子(ヴァイオリン)
    大山 平一郎(ヴィオラ)
    諸岡 拓見(チェロ)
〔曲目〕ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
    弦楽三重奏曲 変ホ長調, Op.3 より抜粋
    ピアノ四重奏曲 変ホ長調, Op.16
〔料金〕一般3,500円 学生2,000円(お飲み物付)当日精算
〔お申し込み〕https://goo.gl/lccH8Y

〔共催〕一般社団法人Music Dialogue
    サポートミュージックソサィエティ(SMS)

〔お問合せ〕
 メール:info@music-dialogue.org
 お電話:03-5791-3070(SMS)
 
 
【特別企画:業界初!?「読む副音声つき公開リハーサル」】

〔日時〕2016年5月24日(火)18:00-19:30(17:40開場)
〔会場〕南麻布セントレホール
〔曲目〕ピアノ四重奏曲 変ホ長調, Op.16
〔料金〕一般500円(学生無料)当日精算
    ※一般の方で27日の本公演もお越しくださる場合は、
     コンサートの入場料を3,500円から3,000円に割引いたします。
〔お申し込み〕https://goo.gl/lccH8Y
       ※27日のコンサートと同時申込が可能です。