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1950年代パリの色、パリの音:C「戦争と音楽1」[2015年08月25日(Tue)]
今夏は「戦後70年」ということもあり、改めて戦争について考える機会が多い年だったのではないでしょうか。
 
音楽家のなかにも、戦争に大きく人生を翻弄されてしまった人たちが沢山おります。とりわけ、ヨーロッパに住んでいたユダヤ人音楽家はナチスを避けて海外に亡命し、ヨーロッパから人材が流出しました。特に数多くのユダヤ人亡命を受け入れたアメリカでは戦後、優秀な音楽家がアメリカに滞在あるいは永住したのです。
 
今回のコンサートで演奏されるダリウス・ミヨーもユダヤ系だったため、亡命こそしなかったものの、戦中はアメリカに滞在し、ミルズ・カレッジで作曲の教鞭をとりました。

当時の弟子には、『雨にぬれても』などで知られるバート・バカラックや、『テイク・ファイヴ』が有名なジャズピアニスト デイヴ・ブルーベックなどもおり、クラシック音楽以外の人材も輩出していることは特筆に値します。ミヨーは、生徒のどんな個性でも潰すことなく伸ばした優秀な教師でもあったです。
 
そんな彼が、終戦の年に書いた『フランス組曲』という作品があります。各曲には、ナチスの軍に占領されていたフランス地方の名が付され、それぞれの地方の民謡を用いて作曲されているのです。楽しげな雰囲気で始まりながらも、随所にまだ戦禍冷めやらぬ様子も表れる音楽です。
 
晩年にはリウマチに苦しみながらも精力的に活動したミヨーは、自らの自伝に「幸せだった私の一生」というタイトルをつけています。どんな逆境にもめげずに、ポジティブに生涯を過ごしたミヨーの音楽を是非お聴きください。


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【コンサート情報】
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2015年9月5日(土)…美術と音楽の対話@世田谷美術館
「1950年代パリの色、パリの音 ― 日仏作曲家の室内楽作品から」
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申込方法:
 1. WEB申込みフォーム (https://pro.form-mailer.jp/fms/475ef6cc45982)
 2. お電話 03-3415-6011(世田谷美術館、10:00-18:00 月曜休館)
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第1部 演奏+トーク
【〜1950年代パリの音楽をめぐるダイアローグ〜】

時間:午後4時〜5時30分
会場:世田谷美術館 講堂

演目:
・矢代秋雄:弦楽四重奏曲(1955)より
・ダリウス・ミヨー:ヴィオラ・ソナタ第2番 Op. 244 (1944)より
・オリヴィエ・メシアン:『幼子イエスに注ぐ20の眼差し』(1944)より
・三善 晃:弦楽四重奏曲第3番『黒の星座』(1989/92)

出演:
枝並千花(ヴァイオリン)、藤田尚子(ヴァイオリン)、
大山平一郎(ヴィオラ)、金子鈴太郎(チェロ)、小林侑奈(ピアノ)

※プログラムおよび出演者は予告なく変更される可能性があります。

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詳細はコチラ (http://www.setagayaartmuseum.or.jp/event/list.html#pe00476)
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1950年代のパリの音が聴こえてくる〜渡仏し自分を貫いた金山康喜の絵画[2015年08月19日(Wed)]
金山康喜《静物O[鏡の前の静物]》(1956年、富山県立近代美術館蔵)
金山康喜《静物O[鏡の前の静物]》
(1956年、富山県立近代美術館蔵)
 ワインか何かのびん、目覚まし時計、コーヒーポット、裸電球…。日常にありふれたたくさんのモチーフを切り絵にして貼り付けたような静物画を戦後のパリで描いたのは、金山康喜という東京帝国大学出身の画家でした。おそらく実際の室内風景を表現したのでしょうが、モチーフの形は自由を得てびんがいびつだったりまんまるのはずの時計が長円形だったり。その変形の具合が妙に心地よく、色彩配置やタッチの妙がさらに画面を引き立てています。全体で一つの風景なのに、描かれたたくさんのアイテムがそれぞれ魅力を放っている。こんな絵を描く画家も実はそうはいないのではないかと思います。世田谷美術館で開催中の「金山康喜のパリ」展(9月6日まで)の会場を歩くと、心地よい爽快感を得て展示室を出ることができます。

 金山が渡仏した1950年代前後のパリには、日本から渡った画家がたくさんいました。藤田嗣治、野見山暁治、田淵安一、菅井汲、猪熊弦一郎、今井俊満…。こうしたそうそうたる画家たちにパワーを与えたのですから、やはりパリのクリエイティブな空気は相当なものだったことが分かります。ピカソなんかもいましたし。

 ただし、金山が渡仏したのは、経済の勉強のためという名目でした。子どもの頃から絵を描くのは好きだったようですが、大学では経済学を専攻していましたし、親の手前、「絵の修業に」なんてことは言えなかったのでしょう。留学先はソルボンヌ大学でした。

 しかしパリに行ってしまえば、大好きな絵を描かないわけにはいかない。もうどうしても描いてしまうわけです。結核にかかったことも「やりたいことをやるべき」と自覚させ、画家への道を進む気持ちに拍車をかけました。だから多分、絵を描く中でも本当にやりたいことをやったのでしょう。たとえば大学同窓の田淵安一や時代の先端を走った今井俊満ら、パリでカンヴァスにエネルギーをぶつけた日本人画家とはまったく違う絵を描き、自分の道を極めようとしたのです。33歳の若さで亡くなったのは、本当に惜しいことでした。

 さて、金山は音楽も好きで、旧制高校に通っていた頃、ヴァイオリンを弾く自画像を描いたり、ベートーヴェンを聴きながら絵筆を持ったり、個展を開いたときには作曲家の團伊玖磨らにギャラリーで室内楽を演奏してもらったり、ということもあったようです。ヴァイオリンが本当に弾けたのか、あるいは腕がどれくらいだったのかが気になるところですが、多少なりとも心得があったとしたら、演奏による表現志向が自ずと絵画に表れることもあったのではないかと思います。激しさを回避した前衛表現には、ひょっとすると、柔をもって未踏の世界の開拓を目指した日本人の作曲家たちにも通じる感性が生きていたようにも映ります。金山の絵を見て、どんな音楽が聴こえてくるか。ちょっと耳を傾けてみるのも、楽しみ方としては悪くないかもしれません。(多摩美術大学芸術学科教授 小川敦生)
 
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2015年9月5日(土)…美術と音楽の対話@世田谷美術館
「1950年代パリの色、パリの音 ― 日仏作曲家の室内楽作品から」
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申込方法
 1. WEB申込みフォーム
 2. お電話 03-3415-6011(世田谷美術館、10:00-18:00 月曜休館)
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第1部 演奏+トーク
【〜1950年代パリの音楽をめぐるダイアローグ〜】

時間:午後4時〜5時30分
会場:世田谷美術館 講堂

演目
・矢代秋雄:弦楽四重奏曲(1955)より第3楽章
・ダリウス・ミヨー:ヴィオラ・ソナタ第2番 Op. 244 (1944)より第2楽章、第3楽章
・オリヴィエ・メシアン:『幼子イエスに注ぐ20の眼差し』(1944)より
 第15曲「幼子イエスの口づけ」
・三善 晃:弦楽四重奏曲第3番『黒の星座』(1989/92)

出演
枝並千花(ヴァイオリン)、藤田尚子(ヴァイオリン)、
大山平一郎(ヴィオラ)、金子鈴太郎(チェロ)、小林侑奈(ピアノ)

※プログラムおよび出演者は予告なく変更される可能性があります。

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第2部 ソワレ
【〜演奏者・学芸員とお客様の交流(お飲み物・軽食付き)〜】

時間:午後6時〜7時30分
会場:美術館レストラン「ル・ジャルダン」

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お支払い:当日精算。当日午前11時より、当館エントランス・コンサート受付にてチケットと引き換えます。

[A] 第1部のみ=予約3,000円/当日3,500円
(定員100名、全席自由、展覧会観覧券付)
 ※小中学生は無料、ただし展覧会観覧券はつきません。未就学児童は入場不可

[B] 第1部+第2部=予約のみ6,000円
(定員50名、全席自由、展覧会観覧券付)
 ※中学生以下は入場不可

☆キャンセルは8月31日(月)までに、以下の連絡先まで宜しくお願いいたします。
 キャンセルのお問い合わせ…一般社団法人 Music Dialogue(mihoito@music-dialogue.org

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 主  催:世田谷美術館
 企画協力:一般社団法人Music Dialogue
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1950年代パリの色、パリの音:B「矢代秋雄と日本の中高生」[2015年08月02日(Sun)]
9月5日の世田谷美術館でのコンサートで一番最初に演奏されるのは、矢代秋雄が作曲した弦楽四重奏曲です(ついつい、一字違いの演歌歌手八代亜紀さんを思い起こしてしまう方もいらっしゃるかもしれませんね)。
 
矢代は完璧主義者として知られ、46歳で早逝してしまったこともあり、残されている作品は多くありません。なんとフランス留学から帰国した後の20年間で完成した、本格的な作品はわずか6作品のみというから驚きです。
 
その完璧主義者ぶりは半端なものではなく、矢代の弟子であった作曲家池辺晋一郎さんの証言によれば…、

ひとつの旋律(モチーフ)を書いたら、引き出しにしまいこんで、1週間後に推敲して、また引き出しにしまい、また更に1週間後に推敲して、また引き出しにしまい…という工程を繰り返し、直したい部分がなくなったら次に進む…という風に作曲していたとか。このように作曲していたというのですから、作品数が極端に少なくなってしまうのも納得せざるを得ません。
 
そんな矢代作品のなかで、おそらく最も演奏されているのは、交響曲なのではないでしょうか(ただし、本来のオーケストラの編成ではなく、吹奏楽に編曲されたバージョンではありますが。)


日本各地で現在開催されている全日本吹奏楽コンクール。毎年、少なくない中学高校の吹奏楽部などがこの曲に挑み、青春をとして演奏に取り組んでいるのです。
 
2006年に全国大会で金賞を受賞した、福島県立磐城高等学校の吹奏楽部の名演奏でお聴きください!(小室 敬幸)

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【コンサート情報】
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2015年9月5日(土)…美術と音楽の対話@世田谷美術館
「1950年代パリの色、パリの音 ― 日仏作曲家の室内楽作品から」
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申込方法:
 1. WEB申込みフォーム (https://pro.form-mailer.jp/fms/475ef6cc45982)
 2. お電話 03-3415-6011(世田谷美術館、10:00-18:00 月曜休館)
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第1部 演奏+トーク
【〜1950年代パリの音楽をめぐるダイアローグ〜】

時間:午後4時〜5時30分
会場:世田谷美術館 講堂

演目:
・矢代秋雄:弦楽四重奏曲(1955)より
・ダリウス・ミヨー:ヴィオラ・ソナタ第2番 Op. 244 (1944)より
・オリヴィエ・メシアン:『幼子イエスに注ぐ20の眼差し』(1944)より
・三善 晃:弦楽四重奏曲第3番『黒の星座』(1989/92)

出演:
枝並千花(ヴァイオリン)、藤田尚子(ヴァイオリン)、
大山平一郎(ヴィオラ)、金子鈴太郎(チェロ)、小林侑奈(ピアノ)

※プログラムおよび出演者は予告なく変更される可能性があります。

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詳細はコチラ (http://www.setagayaartmuseum.or.jp/event/list.html#pe00476)
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