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大林監督など審査員講評アップ [2010年11月15日(Mon)]

動画祭の受賞発表から1週間が経ちました。
まだ、受賞作をご覧になっていない方はYouTubeで視聴できますので、ぜひご覧になってみてください。

さて、本動画祭は受賞作をはじめ全応募作品をネットで視聴できるのが特徴の1つですが、上映会・表彰式当日の審査員の方々の講評、コメントも動画祭を彩る大事な1コマの一つです。
実際に、当日来場いただいた方からは、大林宣彦監督はじめ審査員の方々のお話がすごくよかったという感想をいただいております。

そこで、受賞した各作品の審査員講評をアップしました!
ここではドキュメンタリー部門グランプリの講評を抜粋します。
各賞の講評はこちらのHPをご覧ください。

「出張紙芝居〜笑顔を君に〜」

【講評】
「うまさが誠実と溶け合って、僕たちをとっても心地よくもてなしてくれた作品だと思います。」
(審査員・大林宣彦氏)


 この作品はね、情報としての映像としては一見笑顔というものからは遠い作品ですが、良い意味で本当に良い意味でとってもうまいですね。

 うまいって言うと普通ね、うますぎるなんて言い方もあって感心はするけれど、感動しないんですよ。これ僕たちプロは気をつけなくちゃいけないね。技術は礼儀ですから、技術を磨いてうまい表現をするってことは礼儀だから大事なことだけれど、あんまりそれがうまくなっちゃってうまいだろーって言うと嫌味になっちゃうんだよね。下手だけれども情感の見方が誠実な作品はたくさんあります。プロとしてやっていくうえで一番難しいことです。うまくなりすぎちゃうのは。

 でもこの作品は、うまさが心地よかった。どういうことがうまいかと言いますと例えば最初のシーンね、大事です最初のシーンというのは。後ろからちょっと映してましてね、そしてこれからお祭りが始まるという時に主人公が何故か薬を飲んでるんですよね。「なんなんだろうこれは?」と。そして薬を飲んでいる彼がキャメラにちょっと気がついてキャメラの方を見てニコッと笑った。あの恥ずかしそうな、嬉しそうな笑顔がとっても素敵だったね。あれでね、「おっ!この人に付き合おう」という気持ちが出てくるんですよ。

 そして、そのことのいわば技術的な振りが、予告がうまく作品の中にこう伏線として効いてきて、それがどんどんこの主人公に私たちが魅せられて引きずられていきますね。そういう意味で、彼自身の喜びや悲しみと一緒に僕たちが笑顔、遠いところにある笑顔を求めてみていったところ、その笑顔は彼の心の一番近いところにあるんだということが見つかりました。それが僕たちも笑顔になって嬉しかったですね。
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