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子どもたちがもし悩んだら・・・ (新聞記事より)[2018年08月31日(Fri)]
 「夏休みが終わって学校に行きたくない」「精神的に追い詰められている」……。子どもの自殺やいじめを防ぐため、自治体が始めたSNSを使った相談に、こんな声が続々と寄せられている。悩みを抱える子どもたちに寄り添う新たな手段として効果が見えてきた一方、相談のノウハウや緊急対応などでは自治体の手探りが続く
 ■「今の子どもは電話をかける文化がない」
 8月下旬の午後6時過ぎ、東京都内のビルの一室。相談員のパソコン画面に、高校生からの相談が書き込まれた。
 「学校の先生が厳しいです。精神的に追い詰められている感じがする」
 吹き出しを見た相談員が、キーボードをたたく。
 「苦しいという気持ちが伝わってくるよ。親に相談はできるのかな」
 「親にはまだ言えていない。でも、どうやって言えばいいと思いますか」
 「明日学校しんどい、とか、軽い言い方から始めてみたらいいと思うよ」
 相談員は「友人に話すことは抵抗があるみたいだから、まずは親に話してみてと勧めるのがいいかな」などと、時に同僚と相談しながら返事を送る。
 「今日は話してくれてありがとう。また吐き出しに来てくれたらいいからね」。相談が終わったのは開始から1時間半後。吹き出しは20往復、40回を超えていた。
 この日はほかに「グループで仲間はずれにされている。夏休みが終わって学校に行きたくない」といった相談も。開始30分ほどしてから「夕飯だと家族に呼ばれた」と、途中でやりとりが終わるケースもあった。
 相談業務を担うのは相談サービス会社「ダイヤル・サービス」(東京)。新潟県など複数の自治体から事業を受託し、無料通信アプリ「LINE」と連携したシステムを通じて、臨床心理士などの資格を持つ20〜60代が相談にのっている。
 新潟県は4月から相談事業を始め、徐々に対象を広げて7月中旬からは中高生12万人が利用できるようになった。対象者の2%弱が登録し、7月までに受け付けた相談は約500件。同時期に受けた電話相談の2・5倍に上る。内容は友人関係や恋愛、部活動、親との関係など幅広い。
 SNS相談にいち早く取り組む長野県。昨年9月の2週間、LINEを使った相談を初めて実施し、547件の相談にのった。1年間に子どもから寄せられた電話相談259件の2倍超に上る数字だ。担当者は「今の子どもは電話をかける文化がない。匿名で相談できることも件数が大きく増えた理由だろう」とみる。
 臨床心理士で京都大学学生総合支援センターの杉原保史教授は「若者にとって、友達にも言えない自分の暗い部分のはけ口の一つがSNS。そこに相談の扉を開いたのはとても大きな意味がある」と評価する。
 ■文字だけ・匿名、緊急時どうする
 相談の裾野が広がる一方、SNSならではの課題もある。20代の女性相談員は文字だけでの相談は難しい、と感じている。例えば「ありがとうございます」という言葉でも、そのまま感謝の意味なのか、投げやりになった発言なのかが、わかりにくいという。「一言、二言から気持ちを読み取ることは簡単ではなく、神経を使う」
 杉原教授はSNS相談について、「表情や声色から相談者の思いを推測できる対面や電話でのカウンセリングとは大きく違う技術や知識が必要で、まだ試行錯誤の状況にある」と話す。
 もう一つの課題は「緊急時の対応」だ。朝日新聞がSNS相談について67自治体に聞いたアンケートでも、10自治体が課題にあげた。
 5月末から公立小中高生を対象にSNS相談を始めた福島県では、相談するときに小中高のいずれかを選び、大まかな県内の地域を登録してもらう。県教委の担当者は「具体的な学校名まで聞き出すことは難しく、いじめなどが起きている場合、直接介入することは簡単ではない」と話す。
 新潟県の場合、相談者から「消えたい」といった言葉が発せられるなど、命の危機が懸念される時は、委託先から県にすぐ連絡してもらうことになっている。県は必要に応じて警察などと連携して対応する。今までにこうした事態はないが、深夜に対応を相談する電話が何度かあったという。

 ■支援体制に差、二の足踏む自治体も
 朝日新聞のアンケートで、SNS相談に取り組むとした34自治体の相談期間をみると、約8割が夏休みかその前後を含めていた。夏休み明けは子どもたちの自殺が増える傾向にあり、この時期に発せられる「SOS」に対応するためだ。
 自殺総合対策推進センターによると、1973年〜2015年の高校生までの自殺者数は9月1日が最も多い。06年からの直近10年ではピークは8月下旬で、9月上旬が続く。夏休み明けの前倒しが進んだ影響があるという。
 こうした状況に加え、昨年秋には、神奈川県座間市で10〜20代の男女9人の遺体が見つかる事件が発生。「死にたい」などの自殺願望をツイッターに投稿した高校生らが犠牲になっていたことが明らかになった。
 このため、文部科学省は17年度の補正予算から子ども向けのSNS相談をする自治体への補助を開始。厚生労働省も自殺対策強化月間の3月、自殺対策などに取り組む13団体に委託し、SNS相談事業を行った。4月からも引き続き、6団体が事業を担っている。
 NPO法人「ライフリンク」は、厚労省の事業に参加した13団体の一つだ。3月の1カ月間に、一般社団法人「社会的包摂サポートセンター」と協力してLINEで受け付けた相談は1138件。このうち、20代までが5割を超えた。
 「何の楽しみもなく、生きている意味がわからない」。記事掲載に応じた中学生の少女はこんな相談を寄せた。母子家庭で、きょうだいの面倒もみなくてはならず、家にも学校にも居場所がない。「SNSでできるなら」と相談したという。
 「消えたい」といった言葉もあったが、相談員が思いをよく聞いた上で自らの学生時代などについて伝えていくと、徐々に将来の目標を語るなど変化が見えたという。居場所がない子にとって、夏休みは特につらい時期。少女とは夏休み中も週1度、30分ほどやりとりを続けている。
 ライフリンクの清水康之代表は「SNSは文字のやり取りが残ることで、相談者の了解を得た上で関係機関との連携がしやすくなる」とみる一方、「市町村単位で実施するには非効率的で、都道府県単位でも支援体制などに差がある」と指摘する。
 実際、朝日新聞のアンケートでも自治体によって温度差が見えた。15自治体は「現状で予定はない」と回答。「文科省の補助がいつなくなるのか不安」(浜松市)「相談員に高い技量が求められる」(島根県)など、予算や態勢不備のため二の足を踏む姿勢が目立った。相談を実施する自治体の中でも、全学校を対象とするところもあれば、数校のモデル校で試行的に始めるところもある。

 ■厚労省、指針策定へ
 また、文科省と厚労省がそれぞれの立場でSNS相談を進める一方、具体的な相談の手順や問題解決に向けた連携などを定めた統一的なガイドラインはない。「まずはやってみようという段階」(文科省)だからだ。厚労省は「私たちも民間団体も手探り。成果と課題を分析していきたい」。文科省の取り組みも踏まえ、来年3月末までにガイドラインを示す方針だ。
 清水代表は「SNSは実務的な支援につなげる補助階段。社会全体でSNS相談のインフラを早急に構築し、誰もが支援にたどり着ける環境を整えなければならない」と話す。(円山史、土居新平)


又、街の止まり木・多様な学びプロジェクトというものもあります。

https://www.tayounamanabi.com/spotLPJBC.png

一度、見てくださいね(^^)/

Posted by hahaちゃん at 00:00 | 雑記 | この記事のURL
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