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四季折々の雑記

 05年夏まで在籍したマスコミの世界は極力、主観を排した客観報道を原則とした。しかし真の意味で「客観」を実現するのは報道の現場に限らず難しい。ブログと言うには程遠いが、忘れない程度に自分の想い、時に意見をささやかに書いていくつもりです。


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希薄な危機管理意識 欠ける“公”の意識 [2006年09月05日(Tue)]
ニュースから(6)

希薄な危機管理意識
欠ける“公”の意識
 

  前回取り上げた岐阜県の裏金問題で弁護士3人による「プール資金問題検討委員会」が9月1日、調査結果をまとめた。これによると組織ぐるみでつくられた裏金は1992年から2003年までの12年間で17億円に上り、委員会では再発防止策や関係者の処分と併せ、利子分を含めた19億円余のうち14億5千万円(残りは返済済み)をOBを含めた幹部らに返還させるよう提言した。

 返還は当然として、私的に流用された額も相当に上り、刑法犯に触れる使途もあると思われる。もともとは「税」という公金であり、厳しく解明されなければならない。

 前回も触れたように、裏金は規模の大小を別にすれば、官民を問わず全国どこにもあり、予算獲得のための官官接待を“必要悪”として容認する気風もあった。背景には県民のために予算を獲得するという大義名分があった。

 しかし、現実の使途の多くが飲食など私的流用ということになれば、そうした大儀は雲散霧消する。裏金問題発覚後、保身に走るあまり県民の存在を忘れたがごとき関係者の対応を見ていると、県民の多くもこうした可能性を感じ取っているのではないかー。県政に対する不信解消のためにも徹底した解明が不可欠となる。

 それにしても裏金問題や官官接待が問題となったのは90年代前半に遡る。多くの自治体は自主的に返済し、情報公開制度を通じて再発防止策を打ち出した。岐阜県は何故、この時に歩調を合わせ必要な手立てをとらなかったのかー。今回の混乱を前にすると梶原前知事をはじめ幹部の危機管理に対する甘さがあったと言うしかない。

 繰り返し言えば、裏金は「予算獲得のため」という大義を持つ限り「県民のため」という正義を主張する余地を持つ。逆に言えば「官官接待による予算獲得が悪」となった時点で、裏金を正当化する余地はなくなり「単なる悪」になる。こうした風向きの変化を冷静に受け止めれば、この時点で存続させる意味はなく清算するしかない。にもかかわらず続けるとなれば、裏金自体に別の使途・思惑があったと見られても仕方がない。

 「予算の執行は適正」との答弁を繰り返した梶原前知事らには明らかな読み間違いがあったか、存続させる別の理由があったというしかない。知事が裏金の存在を否定した以上、表には出せないといった雰囲気もあったと想像する。しかし、それでは発覚した場合の説明がつかない。現在の混乱の多くは、ここに起因している。

 やや性格は異なるが、雪印乳業や三菱自動車は発覚した不祥事を最小限に抑えるため策を労し、その結果、回復不可能なところまで傷口を広げた。IT時代を迎え、組織における内部告発は誰もがいつでもできるようになった。

 そうした時代の変化を受け、裏金を隠し続けることの危険性を進言する幹部はいなかったのかー。監査のない県職員組合の預金口座に移し変えた行為などは、最悪の選択肢というしかない。

 梶原前知事は全国知事会の会長も努め、地方分権・改革の牽引車でもあった。言うまでもなく県民の支持なくして改革は進まない。裏金問題は前知事時代の負の遺産だが、どうけじめを付けるかは現知事の問題である。県民の県政不信といった後遺症を少しでも緩和するためにも古田知事には納得のできる対応を求めたい。
                                     (了)
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