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四季折々の雑記

 05年夏まで在籍したマスコミの世界は極力、主観を排した客観報道を原則とした。しかし真の意味で「客観」を実現するのは報道の現場に限らず難しい。ブログと言うには程遠いが、忘れない程度に自分の想い、時に意見をささやかに書いていくつもりです。


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フン・セン首相 [2009年09月17日(Thu)]
欧米への不信露わ
自信みなぎるフン・セン首相


9月初旬、カンボジアの首都プノンペンを訪問した。初訪問だった前回はポルポト派による虐殺の記念館「トゥルスレン政治犯収容所」を見学、今も生々しく残る床の血痕などを見るうち「人間が同じ人間に対しかくも残虐になれるのか」と悪寒に襲われ、体調を崩したのを記憶している。



今回の訪問では笹川陽平・日本財団会長のフン・セン首相表敬訪問に同行、首相の口からポルポト裁判に対する思いを聞くことができた。当のポルポト裁判は現在、特別法廷でトゥルスレン政治犯収容所・元所長の裁判が進められ年明けにも判決の見通しとなっているほか、4人が逮捕・拘束され、追って起訴される見通しだ。

欧米各国は170万人もが犠牲となった虐殺の責任をさらに幅広く問うよう求める声が強く、外電はフン・セン首相が7月、フランスを訪問した際、サルコジ大統領に「これ以上の混乱を起こさないためにも被告は5人で十分」と答えた、とされている。この辺りについて首相は笹川会長との懇談で以下のように語った。

「一部の国からは裁判(刑事責任の追及)をもっと広く行うように、中にはシアヌーク元国王も裁判にかけるよう求める意見が出ているが、カンボジア、私個人としても、これには同意できない。特別法廷のアドバイザーをしている米国人はあと数人、(被告を)立てなければ(特別法廷の)予算を追加できない、と圧力を掛けてきている。それならば今残っている予算を早急に使い切り、すべて帰国してもらって結構。その時はカンボジアの国内法を適用してカンボジアの裁判官が裁く」

背景には民族大虐殺の責任追及を広く、徹底するよう求める欧米と、個人の責任追及よりも国内の安定を優先するフン・セン首相の考え方の違いがある。一連の内乱では内部告発、密告が慫慂された。「友人が友を、子が親を売った」とまで言われ、誰もが被害者であると同時に加害者でもあった。そうした状況の中で目いっぱい刑事責任を追及すれば、国内は動揺し、民族の和解、国内の安定は達成できないというわけだ。

首相は個人の責任を過度に追及した失敗例としてイラクを引き合いに出し「フセイン一人を死刑にするためにどれだけ多くのイラク国民、米英軍の兵士が命を落としたか」と指摘、「一番悪いのは米国だ」とまで言い切った。

フン・セン首相に関しては、その強権を指摘する西側の声もある。しかし、当の首相はここ数年、10%近い経済成長率を達成、国内も安定してきたとして自信満々。在籍年数から行くとASEAN(東南アジア諸国連合)のリーダー的存在になりつつあり、約2時間に及ぶ笹川会長の懇談では「欧米の干渉を排し、アジアはアジアの手で」といった心意気を強くにじませた。

そうした考えを踏まえてのことであろうー。懸案のミャンマー情勢に関しても「今、自分が動く時ではない」としつつも、日本に関しては「自民党政権は米国の意向もあって動きにくかったかもしれない。しかし、その米国もミャンマー政策の見直しに入っている。加えて日本は政権も変わった。今こそ動く絶好のチャンスだ」と鳩山新政権がミャンマーとの新たな対話に乗り出すよう進言、ASEANとの友好関係の継続を強く求めた。(了)
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