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四季折々の雑記

 30年以上在籍したメディアでは「公」の動きを、その後10年以上は「民」の活動を中心に世の中を見てきた。先行き不透明な縮小社会に中にも、時に「民の活力」という、かすかな光明が見えてきた気もする。そんな思いを記したく思います。


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陸山会事件控訴 [2012年05月11日(Fri)]
「小沢裁判」を政局にするな!
明日の日本こそ語るべき


資金管理団体「陸山会」の土地取引をめぐり民主党の小沢一郎元代表が政治資金規正法違反(虚偽記載)で強制起訴された事件で検察官役の指定弁護士は、元代表を無罪とした一審・東京地裁判決に「見過ごせない事実誤認がある」などとして控訴した。批判する声も出ているが、一審判決は小沢氏の故意(違法性の認識)の立証が不十分としたものの事実関係は指定弁護士側の主張を大筋で認めた。「控訴は当然あっていい選択」と考える。

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故郷・岐阜の山河


その一方で、決着が控訴審に持ち越されたことにより「小沢裁判」が引き続き政局の焦点になると思うと、暗然たる気がする。東日本大震災の復興、原発、財政再建、安全保障など喫緊のテーマが山積する中、一国会議員の刑事裁判に政治が翻弄される現状はあまりにおかしい。小沢氏に対する批判がなお強いのも国の明日より政局を優先する政治姿勢にある。豪腕政治家として「国に対する最後のご奉公」を口にする以上、日本再生に向けた政策こそ語るべきである。

▼未整備

一審の無罪判決を機に検察審査会制度に対する批判や疑問があらためて指摘されている。検察審査会法は強制起訴における指定弁護士の役割を「事件を起訴し、公判の維持を行う」としているものの、強制起訴をした場合の補充捜査や上訴手続きどうあるべきか、さらに上限を120万円としている指定弁護士の報酬が果たして現実的か、未整備な点が多すぎる。

強制起訴の対象となるのは、もともと検察側が証拠の弱さ・不足を理由に起訴を見送った事件であり、同じ法律専門家として裁判官の証拠評価が検察官と大きく違うことはない。乱暴な言い方をすれば、検察が「力及ばず」で捨てた事件を有罪にするのは、指定弁護士が余程、新たな事実や証拠を発掘しない限り難しい。無罪判決が出る確率の方が当然高く、現実に無罪判決が出たからといって指定弁護士の力量や強制起訴制度そのものを問題視するのは筋違いである。それは本来、制度発足に先立って為されるべき論点であるからだ。

本件では陸山会が2004年秋に行った土地取得に伴う経理処理が問題となり、一審は元代表が提供した4億円について元秘書らが政治資金収支報告書に虚偽の記載をしたことを認定、小沢氏がその処理に関し元秘書から報告を受け了承した、ことも認めた。無罪理由は「04年分に計上しなければならないと認識していなかった可能性がある」、つまり小沢氏の違法性の認識(故意)に関する立証が不十分というわけだ。同様の点は贈収賄事件でもしばしば問題となる。政治家が現金を受け取ったことが立証されても、その金が「わいろ」であると認識していたことが立証されなければ収賄罪は成立しない。

▼審査会の意見反映を

控訴に当たり指定弁護士は「手持ちの証拠でも十分、控訴審を戦える」、「(控訴審の勝算は)5割を超える相当の確度」などと語っている。これら報道を見る限り、指定弁護士には新たな事実や証拠発掘にかける手応えがあるようにも思うが、最高裁は2月、一審判決を破棄するには「論理則、経験則に照らして一審の不合理な点を具体的に示す必要がある」との判断を示しており、有罪獲得は容易でないような気もする。

控訴は3人の指定弁護士の合議による結論のようだ。検察が控訴する場合は高検、最高検と協議し、控訴が決まれば担当検事も変わる。強制起訴が検察審査会の意見を受けて行われる以上、控訴に関しても審査会の意見を反映させる手立てがあってもいいのではないか。控訴期限が一審判決から2週間と時間的制約があるが、検察審査会制度はもともと例外的な手続きであり、控訴期限を別扱いとする手もあると思う。

▼国民の目線

一審判決に対し小沢氏の主任弁護人、弘中惇一郎弁護士は「基本的には完全無罪」と評価した。同弁護士はかつて「ロス疑惑」事件の故三浦和義氏の主任弁護人として、三浦氏がマスコミ相手に起こした数多くの名誉棄損訴訟の代理人も務めた。共同通信社の配信記事も訴訟対象となり、当時、共同通信の法務を担当していた関係で法廷や事務所で何度か顔を合わせた。印象は「言葉を厳格に選んで話す人」。完全無罪といった情緒的表現には「この人らしくない」といった違和感がある。マスコミや野党の「灰色無罪」を意識した言葉と思うが、判決には本来、有罪と無罪しかない。

一審判決は結論を別にすれば指定弁護士の主張を多く採用しており、小沢氏の法廷供述を「信用できない」とも述べている。小沢弁護団としても控訴審で争う争点はたくさんあるはずで、控訴審判決までに意外な時間を要する可能性もあろう。これによって、ただでさえ劣化している政治がこれ以上、低迷してはならない。日本財団の笹川陽平会長は3月、産経新聞の「正論」で小沢氏に対し「政局を離れて故郷に帰り、その剛腕を持って被災地復興の先頭に立つべきだ」と書いた。

政治には力が必要であり、「数こそ力」というのも恐らく正しい。しかし政治家にとって一番必要なのは国民の信頼と支持である。裁判とは別に、国難ともいえる難局に直面するこの国の明日に剛腕を発揮してこそ、小沢氏の名は後世に残る。(了)
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