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四季折々の雑記

 30年以上在籍したメディアでは「公」の動きを、その後10年以上は「民」の活動を中心に世の中を見てきた。先行き不透明な縮小社会に中にも、時に「民の活力」という、かすかな光明が見えてきた気もする。そんな思いを記したく思います。


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中国・大気汚染 [2013年10月31日(Thu)]
それにつけても北京の空は!
環境問題に国境なし


 10月中旬の4日間、中国・北京を訪れ、到着した19日にこの街で久し振りに“青い空”を見た。この2年間で7、8回、北京を訪れているが、いつも霧がかかったように薄暗く、梅原龍三郎の「北京秋天」にあるような青く澄みきった秋の空は最早、無縁と思っていただけに、正直、意外でもあった。

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霧にかすむ北京の空

 直前の雨と風で上空に淀んでいた空気が一掃されたのが原因で、たまたま翌日、3万人が出場する北京国際マラソンの開催が予定されていたこともあって、同行の中国人女性も「天の助け」と歓喜の声を上げた。しかし1日ごとに空は明るさを失い、色合いも青から灰色に。帰国した22日朝は霧が掛ったようないつもの光景に変わり、スモッグで光を失った太陽は鈍いオレンジ色、直視しても陽光の眩しさはなかった。

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太陽も光を失い鈍いオレンジ色

 帰国後、事態はさらに深刻に。外電によると27、28両日は大気1平方b当たりの微小粒子状物質「PM2・5」の値が中国の基準値(1立方b当たりの1日平均75マイクログラム=μg)の3倍強を記録、6段階の予報の最悪「厳重注意」となった。

 大気汚染は工場のばい煙、車の排ガス、工場や家庭での石炭燃焼、ほこりなどが複合して発生し、暖房のため石炭消費が増える冬場に最も深刻化するが、今年は早くも10月から深刻な汚染が始まり、黒竜江省の省都ハルビンでは21日、PM2・5が1000μgを突破、観測不能となり、空や鉄道のダイヤが乱れる騒ぎとなった。

 大気汚染はどこまで深刻化するのか。青い空が見えた19日でさえ、ホテルへ帰るとワイシャツの襟は黒く汚れ、鼻の調子も悪い。上空の風が弱く汚染物質が拡散しにくい地形的特徴もあるようだが、かつての日本と同様、環境を二の次にした高度成長策が原因であるのは間違いない。

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この時は比較的遠方まで見えた

 駆け出しの新聞記者だった1970年初頭の3年間、四日市と並ぶ公害の街・川崎で支局記者として公害問題を担当した。気管支ぜんそくの発作で子どもが窒息死するなど大気汚染の悲惨な実態は今も鮮明な記憶として残る。手元に比較データはないが、最近の北京やハルビン、さらにモンゴルの首都ウランバートルの大気汚染の深刻さは、恐らく当時の川崎や四日市の比ではあるまい。当時の川崎で20b先が見えない、などということはなかったし、これでは同行の女性が「もう北京には住めない」と嘆くのも無理はない。

 帰国後、以前からの予定で長野県の八ヶ岳山麓に出掛けた。澄み切った空気の中、赤や黄色の染まった木々の葉が真っ青な空とコントラストを描き、言語に絶する美しさ。感動とともに、自然に恵まれたこの国に住む幸せを実感した。

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八ヶ岳山麓の紅葉 絶景の一語

 中国政府も4月、北京で開催された日中大気汚染対策セミナーで「環境問題に国境はない」と日本の協力に期待を寄せているが、尖閣諸島や歴史認識問題の陰でどこまで真剣な取り組みが行われているのか、はっきりしない。仮に北京に青い空が戻るとして、その実現には10年、20年の時間が必要となろう。

 尖閣諸島や歴史認識問題で中国の対日強硬姿勢ばかりが目立つが、環境改善や食の安全こそ庶民が願う「政治課題」であり、こうした問題の解決に日中が協力して取り組む態勢ができた時、初めて未来志向の両国関係も視野に入ってくる。中国政府の対応を見守りたいと思う。(了)
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