社会保障審議会介護保険部会
「介護保険制度見直しに関する意見」(11月30日)についての見解
中央社会保障推進協議会「介護・障害者部会」
○相談先にも事欠く切実な介護現場の実態 2010年11月11日を中心に各地で取り組んだ「いい介護の日・介護110番」には、利用者、家族から、「在宅介護は困難だが、入所先がみつからない」「認知症の母の介護はいつまで続くのか」「介護者が介護の為に退職したものの復帰したい」など、全国から411件を超える相談が殺到し、問題や悩みを訴える相手や相談先にも不自由している実態が明らかになりました。
○「保険あって介護なし」をさらに拡大 介護難民や介護心中事件などいのちを失うほどの問題が山積する中、厚生労働省・社会保障審議会
介護保険部会は「介護保険制度見直しに関する意見」をまとめ(以下「報告書」)、11月30日に発表しました。介護給付費の増大を理由にして、給付内容を制限し、利用者・国民に負担増を強いる内容で、断じて容認できるものではありません。「保険あって介護なし」という状況をさらに拡大してしまうことは明白です。
○給付内容の大幅削減 「報告書」は、「給付の効率化・重点化などを進め、給付と負担のバランスを図ることで、将来にわたって安定した持続可能な介護保険制度を構築する」として、給付内容の大幅な削減に踏み込んでいます。ホームヘルプサービス等の保険外し、ケアマネージャーによるケアプラン作成の有料化、入所施設の自己負担増、高所得者の自己負担2割引き上げなど、どれも金で買う介護サービスを強める方向です。
○利用者・国民の負担増を強いる さらに、保険料の引き上げを当然視するなど、利用者・国民のさらなる負担増も明確にしています。
介護保険料は今でも、高齢者や家族等にとって大きな負担となっており、貧困と格差が深刻化するもとで、利用者・国民負担の軽減こそめざすべき方向です。報告書は、「安定した財源が確保されない」として公費負担の引き上げに背を向けていますが、社会保障、介護の公的負担の増額を打ち出していた民主党の公約にも反するものであり、「構造改革」路線を転換し、医療・介護などの社会保障費を拡充するという抜本的な改善こそが必要になっています。
2012年春に廃止予定の介護療養病床についても、医療が提供できる施設としてその優位性は明
らかであり、介護療養病床の廃止方針は早急を撤回するべきです。
○介護労働者の処遇改善と交付金の維持・拡充を また、介護職員処遇改善交付金の2011年度終了を既定方針とし、2012年介護報酬改定で対応する
という方向を打ち出しています。同交付金は、介護職員の劣悪な処遇が大きな社会問題となるなかで導入されたものであり、介護報酬の改定で対応するということは利用者負担の増につながり、かつ報酬引上げ分が介護職員の賃上げや処遇改善の財源として確保されるかどうか不安が残ります。民主党の4万円賃上げの公約からいっても、交付金として引き続き維持・拡充されるべきです。
○高齢者が安心して生活できる介護、社会保障制度の確立を 「報告書」は、「介護なんでも110番」でも明らかになった、利用者や介護現場の実態を反映する内容になっておらず、中央社保協は、これまで以上に多くの切実な声を掘り起こし、高齢者が安心して生活できる介護、社会保障制度の確立を強く求めていくものです。
2010年12月8日