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中島明子(和洋女子大学)と吉田洋子(まちづくり計画室)の2氏が、宮城県に提出した意見を紹介します [2011年08月16日(Tue)]

宮城県震災復興計画(第2次案)に対する意見
                2011年8月2日

  中島明子(和洋女子大学)&吉田洋子(まちづくり計画室)

1. 被災実態から復興計画へ

・地球規模での復興計画作成という目的のために、あえて地元、宮城県の関係者を復興会議に入れなかったことは1つのあり方かもしれないが、被災した人々の苦しみや困難な状況から出発していないことに、驚かずにはいられない。
・この計画が、被災実態から入るのではなく、突然近未来の「復興計画」になっています。
第1章には、被災実態とその復旧・復興の現状を述べ、そこから復興計画の理念、考え方等を挙げるべきです。

2.計画における基礎自治体の参画と被災した基礎自治体を支援し、住民のセンターとして活動できる支援を

・復興計画の要は基礎自治体です。
・しかし、被災した基礎自治体の疲弊と困難は想像に余りあるものがあります。2基本理念、3基本的考え方、4緊急重点事項、5復興のポイントにおいて、自ら被災し深刻な問題に直面する基礎自治体を支援し、基礎自治体が県レベルの計画に参画し、自ら立案し、地域の人々を支える力をもてるような県の支援策が貫かれている必要があります。それこそ、全国的視野で支援・対策を行うべきです。

★p.4 「県民一人ひとりが復興の主人公」の図はあまりに粗雑であり修正が必要

・国と広域自治体である宮城県の関係、何よりも宮城県の責務、そして被災した基礎自治体(市町村)・そのほかの基礎自治体の関係と、基礎自治体の計画への参画・協働等が描かれておらず、新しい公共としてのNPOやボランタリー組織の役割の位置づけもわかりません。無策の図か、県民に復興を押し付けている図に見えます。

3.避難から生活再建までの全ての過程での様々な復興計画に男女共同参画を導入する。

・既に動いている基礎自治体における復興計画や種々の生活再建策定の委員会に、少なくとも女性を30%いれ、女性の生活・健康・雇用・育児・介護にかかわる要求と、それを取り巻く人々(子ども、高齢者等)の要求を反映できるようにする。
・復興計画の修正・最終案の策定にあたって、復興会議にたった1人の女性委員では少なく、これを増やすか、ワーキンググループとして多様な女性が参画する委員会を設置する。
・ハードな住宅・施設の計画・設計・管理については、宮城県建築士会女性部会等の女性建築士の参画を積極的に行う。
・特に基礎自治体で男女共同参画が実行できるように県は支援する。

4.社会的脆弱な基盤にある人々への支援を入れた復興計画を

・この復興計画では社会的に脆弱な基盤にある人々−不安定就労者、低所得者、女性、ひとり親、高齢者、障がい者、子ども、外国人等が、復興から取り残されることになる。
・このような困難な人々の実態と要求を直接・間接的に調査、懇談会、インタビューや種々の方法で把握し、そこからこれら困難な人々をも含めた復興計画を再度練り上げる必要がある。

5.福祉の視点、人権の確保からの支援策を見直す

・高齢者が多く、上述した福祉的支援を必要とする人々が、自力で生活再建が困難であるのが現状です。避難から復興までの全過程で、福祉の視点での支援策を再考すること、人間の尊厳、人権が損なわれることが無いような監視を行うことが重要です。
・特に仮設住宅、災害復興住宅、あるいは借り上げ住宅においても、共同の場が不可欠であり、高齢者対応の仮設住宅等においてはグループホームを導入し、孤独死を防止することが必要です。

6.復興過程において、住宅(居所)の再建を重視する

・住宅(居所)の再建については、「生活」の再建にもぐりこんでいますが、被災者の生活再建の要であり、産業の再建の要であり、これを重視して検討する必要があります。
・漁業については住宅再建により早期に生活の建て直しが可能ですし、居所を確保してこそ、被災による健康を元とする種々の問題を解決し、就労への足がかりとなります。
・仮設住宅から災害復興住宅へのステップアップ方式の道だけではなく、仮設住宅を恒久住宅に転換する、借り上げ住宅居住者への居住支援を行うなど、柔軟な居所の確保を検討すべきです。
・住宅は、最低限、衛生的でプライバシーを確保し、人間の尊厳を守り、心休まる質もったものでなければなりません。

以上

宮城厚生協会理事長の水戸部秀利氏(医師)が、宮城県に23日に送った意見を紹介します <下> [2011年07月21日(Thu)]

 宮城県が「震災復興計画」にパブリックコメントを求めていることに応じて、宮城厚生協会理事長の水戸部秀利氏(医師)が宮城県に送った意見の後半を紹介します。


4)緊急重点項目 について
 この緊急重点項目こそ、被災地・被災者が一刻も早く実現することを待ち望んでいる内容です。本来、これが復興計画の柱になるべき部分です。
これらの、緊急重点項目を、いつまでどのように、実施するのか、具体化し、可視化するのが本来の5)以降の復興計画各論であるべきと考えます。
 なお、(10)安全・安心な地域社会の再構築のなかの原発問題については後述。

5)復興のポイント について
 この復興のポイントこそ、県として強力に打ち出したかった提案部分のようですが、その多くは、最も意見や議論の多い、場合によっては激しく意見の分かれる部分です。
 たとえば「高台移転」「職住分離」「多重防御」「漁港集約化」「水産特区」「農地集約」「ゾーニング」「民間資本導入」・・・「富県宮城」「グローバルビジネス」などは従来の生活様式の転換を迫るものです。それぞれの土地で何百年・何十年と生業を積み上げてきた被災者にとって、歴史と文化にかかわる部分であり簡単に結論を出せる問題ではありません。個別事情や価値観があり、画一化できない内容であり、最も慎重に丁寧に議論すべきものです。箱庭で人形と粘土で模型を作るのとは訳が違います。
 従って、これらについては以下のように修正を求めます。
@、県提案の復興のいくつかのポイントは、あくまで復興計画検討委員会の学者の一つの提案として扱うこと。(強制はしないことを明確にする)
A、復興の方法については、被災者や住民自身の自主的議論を尊重すること。
B、県の復興提案に沿わない住民計画になったとしても予算上の差別はつけないこと。

 なお、県の計画案には、「防災・安全という御旗」によって、個人の権利を制限できるという思想が色濃く反映しているように思えます。現在、被災地の多くは建築基準法第84条の延長により建築制限がかけられていますが、9/11以降は、被災地住民の各人の土地や財産の執行権利は憲法の下で保障されなければなりません。
 住民の中からは、一定のリスクを覚悟しながら、元の場所での生活再建を望む声が数多く上がると思います。このような要望に対しても、リスクを軽減するため、堤防補強やや地盤底上げや排水整備、さらに避難路や堅牢な避難建築物を確保するなど相対的に安全性を高めるための支援をしていくという「住み続ける選択肢」も可能であることを提示するべきと思います。
 住民自身の議論を尊重し、専門家や政治がそれをサポートする姿勢を堅持することを期待します。

6)分野別の復興の方向性 について 特に保健・医療・福祉 分野について
 医療関係者として、保健・医療・福祉分野の復興についてのみ意見を述べさせてもらいます。
 被災者の健康を守ることを最優先で考えるとともに地域特性や再建後の地域社会の姿を想定しながら,地域における保健・医療・福祉提供体制の回復・充実を図ります。また,震災を共に乗り越えることで更に強まる人と人の絆に基づく支え合いにより,これまで以上に安心して暮らせる地域社会を構築します。このため以下のとおり,「安心できる地域医療の確保」,「未来を担う子どもたちへの支援」及び「だれもが住みよい地域社会の構築」を柱として取組を進めます。 のように、分野別各論とはいっても、抽象的一般的表現にとどまっていますが総論として賛成です。しかし、文面からは被災した個々の病院・診療所・薬局・介護施設などが、具体的にどう再建されるかは読み取れません。文面通り、「地域における保健・医療・福祉提供体制の回復・充実」が県の指導と具体的な予算的処置で一刻も早く実現することを望みます。
 一方、医療分野については、「宮城県地域医療復興検討会議」が開催され、地域医療の具体的な再建が議論され、部分的にマスコミを通じて情報として流布されています。
もともと、被災地特に県北部は、医師不足が深刻で、自治体病院の縮小や無床化、集約化などが検討されていた地域です。「検討会議」では、石巻日赤病院や気仙沼市立病院の拠点化を進める一方、雄勝病院無床化、女川町立病院有床診化、南三陸診療所と志津川病院統合、本吉病院診療所化など、被災前には地元住民との関係でも実行の難しかった縮小再編集約化を促進する計画になっています。
 このような、大学や医師会など医療供給側と行政側の都合から出された集約化構想は、立ち上がろうとする被災地住民を励ましになるどころか、打ちのめすことになりまねません。「医師がいないから・・・」は被災地住民にとっては逆らえない鉄槌のような論理です。
 日本―東北地方―宮城県北部の医師不足は、よく言われる臨床研修制度や偏在化といった二次的因子はあっても、長年にわたる政策的医師抑制による絶対的不足に根底的要因があります。従って医師不足はすぐ改善することはできませんが、以下のように、長期・短期的な政策の推進を県に求めます。
@長期的には、東北大学の医学部の定員増、提案されている新設医科大構想を県としても支援すること。
A当面は大学や被災地以外(特に仙台圏)の医療機関が連携し、被災地の医療を継続するための医師配置を含めた継続的支援を実現するため、県主導で協議機関を設けること。
B地域医療は公的医療機関のみでなく、民間の医療機関も大きな役割を担っています。これらの民間医療機関の再建・再生のための財政的支援を県としても行うこと。

7)原発問題について
 今回の、復興計画には原発問題はふれられていますが、隣県の福島原発の事故を目の当たりにし、さらに県内の農林水産業に甚大な被害を引き起こしつつある深刻な状況にありながら、県の姿勢が不明確・不十分です。
P60(7)防災・安全・安心の項に、
 なお,女川原子力発電所周辺地域に対しては,応急的な監視・防災体制を早急に構築するとともに,関係市町などの意向を踏まえ,災害に強い放射能等監視施設及び原子力防災対策拠点施設の再建整備を図ります。また,地震や津波対策など原子力発電所の安全対策について,地元市町と連携しながら国や電気事業者に要請していきます。と監視と原子力防災拠点の再構築と一般的表記にとどまり、安全策は国と電力会社に要請するとしています。国や電力会社任せの対策では安全が確保されなかったことは、今回の福島原発事故から導きだされた結論です。女川原発も今回の被災で電源喪失の一歩手前まで至ったことは事実であり、福島原発とまさに紙一重の事態でした。
 原発の過酷事故が引き起こす事態の深刻さは、女川はさらに深刻です。30km範囲に人口16万の石巻市が含まれ、天候次第では100万都市仙台も非難地域となり、穀倉地帯大崎平野は耕作不能の荒野となり、ひとたび事故が起これば「富県宮城」などは吹き飛んでしまいます。トヨタの車だけでは県民は食べていけません。
 県民の安全の最優先課題として、女川原発の再開中止とし、将来廃炉の方針を明確に打ち出すべきと思います。

最後に、県のスタンスについて
 この間の、いくつかの震災復興関連の要望への対応で、「要望は国にあげます」、「具体化は各自治体に」というような答弁が目立ちます。某失脚大臣の発言のように、「県としても汗をかく」独自の被災者支援策を予算を前倒ししても実施されることを切望します。
宮城厚生協会理事長の水戸部秀利氏(医師)が、宮城県に23日に送った意見を紹介します <上> [2011年07月21日(Thu)]

 宮城県が「震災復興計画」にパブリックコメントを求めていることに応じて、宮城厚生協会理事長の水戸部秀利氏(医師)が宮城県に送った意見の前半を紹介します。

宮城県震災復興計画(第2次案)についての意見
        宮城厚生協会理事長 水戸部秀利

1)策定の趣旨と進め方 について
 復興計画は、12名の学識経験者委員と県担当者で策定された「提案型」計画となっています。内容はネットでも公開され、7/16から県内5か所の県民説明会+パブコメ収集等で意見を集約し9月議会に向けて成案化の方針のようですが、“地元でなくわざわざ東京での委員会開催”といったヤジウマ的批判だけでなく、策定とその進め方、特に県民の意見のくみ上げ方には大いに不満があります。
 被災者や県民の将来に直結する復興計画は、まず、被災地・被災者から具体的に意見や要望を吸い上げて政策化し、それをさらに現地とやり取りしていくプロセスが基本であり、それでこそ生きた復興計画になります。それ抜きの学者・専門家の机上の計画は、「提案型」とは聞こえはいいですが、上からの「押し付け型」になりかねません。
 県知事は、7/18の気仙沼での説明会にのみ出席し(他は副知事)、概ね了解は得られたと発言していますが、最後の1回の説明会参加だけで結論を出すのは軽率の誹りを免れません。大都市仙台、多賀城・塩釜地域、亘理・山元地域など県民説明会をさらに重ねることを要望するともに、これから多数寄せられるパブコメやそれへの県の見解を全て公開して開かれた議論になることを期待します。
 私からは、このような「押し付け型」計画に対して「提案型」の批判的意見を述べさせてもらいます。

2)基本理念 について
 震災復興の第一義的な課題は、被災地、被災者の生活をいかに早く被災前の状態に近づけるかであり、その気持ちをくみ取り、その展望を示し、具体化していくのが政治の役割だと思います。その意味では、P1下から14行目、
 何よりもまず,生業の確保など被災者の方々の生活支援と被災地の復興に最優先に取り組み,県民生活を一日でも早く回復させる必要があります。
 この視点には全く同感です。
 しかし、その後の県の復興計画の理念は、P1下から7行目以降、
 その際,平成23年3月11日以前の状態へ回復させるという「復旧」だけにとどまらず,これからの県民生活のあり方を見据えて,県の農林水産業・商工業のあり方や,公共施設・防災施設の整備・配置などを抜本的に「再構築」することにより,県勢の発展を見据えた最適な基盤づくりを図っていくことが重要です。そして,災害からの復興にとどまらず,人口の減尐,尐子高齢化,環境保全,自然との共生,安全・安心な地域社会づくりなど現代社会を取り巻く諸課題を解決する先進的な地域づくりに取り組んでいく必要があります。
 と、急に「再構築」「発展」「先進的」という言葉に飛躍していきます。これは基本理念の5項目にも反映され、
2:・・・県勢の復興とさらなる発展
3:・・・を抜本的に「再構築」
4:・・・先進的な地域づくり
5:・・・復興モデルを構築

のような表現に帰結します。
 宮城県としては、震災前から論議し企画してきた「富県宮城構想」を、大震災の復興を契機に実現しようとする意図があることは、P9以降の復興のポイントから明らかです。従来の「富県宮城構想」を今回の被害の甚大さを考慮し、とても「富」などは・・・と大胆に見直す〜取り下げる視点なら納得できますが、「富県宮城構想」を踏み絵にして被災者や県民に復旧計画への同意を迫る方法には同意しかねます。
 発展、再構築、先進的などの勇ましい言葉は、被災者にとっては、励ましにはならず、むしろ空虚であり、逆に鞭打たれるような感じにすらなってしまいます。
 私は、医療関係者ですが、今回の大震災は、宮城県を体に例えればその約1/5くらいの広範囲に深い傷を負った重症状態といえます。まず傷を保護し癒し、それぞれの局所で懸命に再生しようとしている細胞や組織に十分な栄養と血液を送るのが正しい治療(政治の役割)です。今回の県の復興計画は「この際ダメそうな組織は切り捨てて、将来国際大会で戦える体に仕立て上げる」というような乱暴な治療にみえます。被災地、被災者は、「さしあたってまともに食べて歩ける体にしてほしい」と願っているのであって、「戦える体にしてほしい」とは思っていません。
 以上から、復興計画の基本理念は、被災地、被災者を主体にした復旧に最大限の支援の力を集中することを柱とすべきであり、震災前から議論してきた、「富県宮城構想」や一次産業の集約化などの「構造改革」路線を前提とし、それを強制するようなことはあってはなりません。ましてや、県の意図に同意しない〜あるいは意図に沿わない地域の復旧には力を貸さない、予算をつけないなどの対応にならないようにすべきです。
 危惧された「押し付け型」の県の姿勢を象徴しているのが、漁港の集約化や水産特区構想であり、懸命にそれぞれの浜の再生に挑戦している漁民や住民の願いを逆なでし踏みにじるものです。
なお、基本理念の
1 災害に強く安心して暮らせるまちづくり
については、総論として賛成ですが、今回の福島原発の事故から、「原発」と「安心して暮らせるまち」が両立しないことが明らかになりました。県内の女川原発についても基本理念の中に、明記するほどの重要な事項と思います。国の意向うかがいの姿勢ではなく、県としての基本姿勢が問われていると思います。県民説明会でもこの点に対する意見が強く出されています。(⇒原発については後述)

3)基本的な考え方 について
 復旧、再生、発展とそれぞれ期間設定をしていますが、それぞれの定義があいまいで、言葉遊びの感は否めません。理念の中にある「再構築」「先進的」などを位置づけるための方便のようにみえます。
実際、後半の分野別各論も、9割以上は復旧期項目に含まれ、それらが発展期も引き継がれており、実質的な区分の意味を持っていません。基本は「復旧」であり内容によって実現までの期間の長短があるのが実際です。恣意的な区分と期間設定は混乱のもとになります。

<つづく>
大河原町の説明会に参加した住民の発言 [2011年07月18日(Mon)]

 宮城県は16日から3日間、名取市、大河原町、石巻市、大崎市、気仙沼市の5カ所で「震災復興計画」案の説明会を開催しました。大河原町の説明会に参加した県民からのメールを紹介します。、

 昨日の大河原での説明会に参加しました。県側は、副知事はじめ各部局、教育庁や県警本部の代表まで十数人が正面に並び、脇には大河原地方事務所の所長はじめ各担当が八人ほど並ぶなど、いかめしいお役所風の説明会でした。参加者は百五十人ほどでした。参加者には、計画案(第二次)と、一昨日の河北新報に掲載されたものと同じ概要が配られました。
 副知事が10分ほど挨拶。震災復興政策課の代表が、計画案を20分で説明すると前置きして30分近く説明。しかし、80ページの各分野にわたる内容を短い時間ですから、殆ど概要にそって目次を並べて説明したようなもので、突っ込んだ説明や論点の提起などはありませんでした。説明会は午後二時半から四時までの設定ですから、残り50分ほどが、一般参加者からの要望や意見の時間です。
 最初に手を挙げた、村田の道の駅の方が、用意してきた三点ほどの質問と意見を読みあげ、県の各部局がそれに官僚らしく丁寧に答えたので、三時半になってしまいました。残り30分で十数人が手を挙げました。幸い私が二番目に発言出来たので、説明会開催につい
ての県の姿勢と、原発問題について発言しました。説明会については、県民一人ひとりの力を結集してと言いながら、なぜ5か所だけの説明化の設定で、しかもこんなに短時間だけなのか。最低沿岸15市町ごとに、時間をもっととって開くべきと発言しました。私のこの発言には共感する参加者が多かったようで拍手がおきました。これに対して県の答弁は、被災していて適当な会場がない。役場などが多忙で、開催すると負担になるということでした。これには何人かから、そんなことはないという声があがりました。また復興計画案についての県民の意見の集約期限が8月2日になっていることについて、なぜそんなに早い期限なのか、もっと長期間にすべきとの意見には、9月県議会で確定して政府に必要な予算措置を講じてもらうための期限とのことでしたが、これも県民への説明と意見の集約を形だけのもので済ませたい県の姿勢だと思います。原発については、基本理念に現代社会の課題を解決する先進的な地域づくりと言っている以上、原発に対する姿勢を復興計画に明記すべきと発言しまし
たが、県は今原発は必要、存廃は国がきめることという見解でした。
 なお十人ほどの発言を求める手があがり、さすがに四時に閉会にできず、時間を延ばして発言されました。亘理や山元からの避難者の要望や発言もあり、県の姿勢はともかく、必要な会議だと思いました。それだけに5か所だけの短時間の開催でお茶を濁すような県のや
り方は許せません。もっと多くの所で、時間をかけての説明会を求めることが必要と思います。
 なお、インターネットで、県の計画案や、復興会議の議事録などを読み、岩手の復興会議や計画と比べてみました。宮城の計画が高飛車で、上から提起しているのと、岩手が地域や住民の実態に結びつこうとしている対比に、改めて村井知事の姿勢を思いました。


県の「復興計画」に対する意見―「2 基本理念」に関して 遠州尋美氏から [2011年07月16日(Sat)]

「2.基本理念」に関して 
 「基本理念」は5つの特徴にまとめられていますが,前文を読むと,その根幹をなすのが,「復旧」だけでなく「再構築」をという考え方にあることがわかります。この「再構築」を通して,「県政の発展を見据えた最適な基盤づくり」を図り,「人口の減少,少子高齢化,環境保全,自然との共生,安全・安心な地域社会づくりなど現代社会を取り巻く諸課題を解決する先進的な地域づくり」に取組む必要を強調しています。ここにおいても,「策定の趣旨」に同じく,被災者の救済の視点,被災現場の実態から出発する視点の欠如がうかがえます。

 以下,5つの特徴づけに関して,それぞれ意見を述べたいと思います。
 1 災害に強く安心して暮らせるまちづくり
 これは,当然のことです。ただし,重要なのはまちづくりの具体的中身です。私の専門は,住民主体の「まちづくり」ですが,海外の研究者に自分の専門を伝えるときには"Community Buiding"と英訳し,"reorganize our own community into workable one"と説明しています。「コミュニティ(地域社会/近隣社会)を築き上げる」ということであり,「ワーカブル(役割を発揮できるように)に再建する」ということになります。物理的な都市計画/都市開発が「まちづくり」ではありません。この観点からすれば,「まちづくり」の成功・不成功の評価は,コミュニティとくらし・なりわいの仕組みが保全されたどうかが試金石になるだろうと思います。

 2 県民一人ひとりが復興の主体・総力を結集した復興
 「県民一人ひとりが復興の主体」であり「総力を結集した復興」が重要というのは,一見,当然のことのようにも思えます。しかし,問題なのは,県民に復興における自らの役割に対する「自覚」を強要していることです。
 7月16日のテレビ番組で,三本木の造り酒屋が,発災以来,多くの人々の支援を受けて復旧に取組んできたが,藏の破損がひどく安定した品質の酒造りができなくなったことから,やむなく三本木外への転出を決めたというドキュメントが放映されました。地元の人々は,三本木の復興を考えれば,酒造メーカーが地元にとどまることが重要で,地元で再建することを懇願していましたが,再建コストを考えれば,悩みつつも除却・新築ではなく,居抜き物件の取得を選択せざるを得なかったのです。深刻な被災のもとで事業の継続を図ろうとすれば,やむを得ない選択ですが,地元の復興にはマイナスです。第2次案の立場からは,この酒造メーカーの経営者は自覚が足りないということになるのでしょうか。問題は,経営者の「自覚」ではなく,地元で再建する道を閉ざしてしまった救済制度の貧困さにあります。
 「自覚」は上から教え諭されて生まれ育つものではありません。コミュニティの営みや,日々のくらし,なりわいの中でまわりの人々から手を差し伸べられ,社会的役割を実際に担うことによって育まれるものです。そして「自覚」に基づいて,それを全うできるかどうかは,その復興への営みを支援する行政的・社会的・経済的システムが用意されているかどうかにかかっています。
 一方,震災からの復興という「共通の目標」のもとでも県民一人ひとりの担う役割や責任には自ずと差異があります。自分の役割を自覚し最も重い責任を負わなければならないのはまず知事であり,県議会議員であり,県の職員です。被選出公務員,行政組織としての県,そして県職員がどのような役割を果たすのかがまず示されなければなりません。
 そのうえで,自覚するしないにかかわらず復興の主体として尊重されなければならないのは,被災者です。そして,主体者であることにとって最も大切なことは,自らの生き方を自ら決定し選択できることです。ノーベル経済学賞を受賞したアマルティア・センは,所得が欠乏している状態を貧困とする従来の貧困概念に異を唱え,貧困とは「潜在的選択能力を剥奪された状態」として定義し,貧困克服の方法として潜在能力アプローチを提唱しました。国際協力の現場では,貧困者に財貨を与えるのではなく,社会の一員として生きる力を育む「エムパワーメント」の重要性が主張されるようになりましたが,これはアマルティア・センの主張と一致しています。しかし,一方,生きる力を育むとは,周囲の環境に即してそれに対応する変化を強いるものではありません。イソップの寓話にあるように,キツネは口の届かない深いつぼの中のスープは飲めないし,ツルは長いくちばしで浅い皿にもられたスープを飲むことはできません。キツネには底の浅い器で,ツルには長いくちばしあった深いつぼで供することが必要であり,このことを「イネーブリング・エンバイロンメント」と言います。つまり,潜在能力が発揮できる社会的環境を整えてこそ,人々は自覚した役割を発揮できるのです。そして,その社会的環境を整えるのは,行政の役割にほかなりません。
 被災者が主体になり得るためには,被災者が日々の生活を不安なく営むことのできる状態に復帰して,自己決定,自己選択ができる条件をまず保証しなければなりません。この視点を欠く限り,第2次案は無い物ねだりでしかありません。

 3 「復旧」にとどまらない抜本的な「再構築」
 この点が,第2次案の核心なのでしょうが,この点こそが問題です。
 いま喫緊の課題は,「再構築」ではなく「復旧」です。上述したように,被災者こそが復興の主体として尊ばれ,主体として復興を担うことが必要です。繰り返しますが,そのためには,被災者が日々の生活を不安なく営むことのできる状態に復帰して,自己決定,自己選択ができる条件をまず保証しなければなりません。これは「復旧」の課題であり,「復旧」を達成した上で,被災者の参加を得ながら十分な時間をかけて復興計画が作られるべきです。
 県知事は,あるいは,この第2次案の策定にかかわったみなさんは,被災者の生活の現場をご覧になっているのでしょうか。あるいは,地区外への移転という苦渋の決断をした酒造メーカーの経営者にヒアリングをしたでしょうか。「再構築」を図る前に,人々は日々のくらしの糧を求めて転出して行くでしょう。中小企業は事業継続のできる環境を求めて転出してしまうでしょう。その転出先が仮に県内にとどまったとしても,「再構築」後の被災地に戻ることができるでしょうか。現実を見ていないとのそしりは免れないと思います。
 大事なことは,「再構築」ではなく「復旧」です。そして該当する項目で改めて述べますが,「復旧」において重要なのは,前述ように身銭を切る覚悟です。身銭を切って迅速に「復旧」することが,それ以後の復興への資源を早期に回復させて蓄えることが可能となり,結果として県や地元自治体の財政負担を軽くすることにつながると考えるべきです。

 4 現代社会の課題を解決する先進的な地域づくり
 これは当然のことで,改めて言うまでもありません。しかし,どのように具体化するかです。結局,3の「再構築」のあり方次第ということになります。これは,各論の部分で改めて論じるべきことですが,「水産特区」や「職住分離」「漁港集約化」などでは決して達成することはできません。いずれにしても,被災者をはじめ,県民参加で計画づくりが進められなければなりません。

 5 壊滅的な被害からの復興モデルの構築
 10年後に復興を成し遂げ,復興モデルをということですが,「新たな制度設計や思い切った手法」が必要なのは,「復旧」プロセスの方です。

 上述したように,被災者にとって最も大切なのは10年後ではなく,きょうの,そして明日の糧です。そのためには,人間らしいくらしをいとなむことのできる住まいの保証と,雇用,なりわいの再開こそ急がなければなりません。しかし,被災者の多くは,全てを失いながら,債務はそのまま残り,高齢者が多く新たなローンをくむことができません。しかも被災の規模も被災者数も未曾有のことです。従来の制度・枠組では,被災者の救済さえできないのです。「新たな制度設計や思い切った手法」は被災者救済のためにいま直ちに必要です。これができなければ,人口と産業の流出は止まらず,結局,「再構築」のための復興まちづくりは過剰投資になって,被災自治体と被災者の債務を一層拡大することになってしまいます。
 そして,復旧における「新たな制度設計や思い切った手法」を実現するには,現行制度の枠内で最大限の努力を尽くすことが大切です。現行制度は,中越沖地震での特例措置等を適用しても,必ず県や関係自治体の負担が発生します。その負担を厭う限り使うことのできる制度はありません。しかし,県や自治体が手をこまねいていて,国が手を差し伸べてくれることはありえません。予算を組み替えて,まず身銭を切って被災者救済に全力を尽くしてこそ,道は開かれることと思います。
県の「復興計画」に対する意見―「1策定の趣旨」について 遠州尋美氏から [2011年07月16日(Sat)]

「1.策定の趣旨」に関して

 「策定の趣旨」においては,「本県を襲った未曾有の大災害から県民と力を合わせて復興を成し遂げていくためには,従来とは違った新たな制度設計や思い切った手法を取り入れていくことが不可欠」であるとして,あえて「「提案型」の復興計画として策定し」たとしています。この「提案型」復興計画ということに関してです。

 未曾有の大災害からの復興を成し遂げるために,従来の行政的な枠組によっては達成できないことは明らかであるとしても,復興計画が「提案型」となる必然性はありません。ここには明らかな論理の飛躍があります。
 なぜ,このような論理の飛躍が生じたのか,後の計画を精査して検討すると,被災者の救済の視点,被災現場の実態から出発する視点が欠如していることに起因していることがわかります。すなわち,震災復興を隠れ蓑として,平常時には実現できない「構造改革」を強行する意図が「提案型」という特徴づけに反映したものであることを,まず指摘しておきたいと思います。

 もちろん,提案を行うことそのものが悪いということではありません。しかし,提案は,結局は国に新たな国費投入を求めることになり,それはひいては,被災者を含めて国民全体に新たな負担を求めることにならざるを得ません。それが説得力を伴うには,まず,県自身が現在活用できる資源の範囲内において,どれだけの対応を行ったのか,その結果,どれだけの犠牲を払うことになったのかを示すことが必要です。自らの犠牲を対置して,それを埋め合わせるためにも,国は,ひいては国民が復旧と復興を後押しする負担をお願いするということでなければ,独りよがりの無い物ねだりと受け止められてもしかたがないのです。
 別の文書にて,関連する項目において再度詳しく述べますが,国民に提案を真摯に受け止めてもらうためには,被災現場の実態から出発し,県の予算を組み替えてまず身銭を切って被災者救済に万全を期し,予算の組み替えの結果,県民が犠牲にせざるを得なかったものを示した上で,その犠牲を回復するためにも,目指すべき復興のために新たな負担をお願いするという姿勢に立つべきであると思います。
県の「復興計画」に対する意見―復興計画への意見募集のあり方について 遠州尋美氏から [2011年07月16日(Sat)]

 遠州尋美氏(大阪経済大学経済学部教授、仙台市若林区在住)がパブリックコメントを求めている宮城県に、「震災復興計画」(第2次案)に関する意見を提出しました。3ページにわけて紹介いたします。

宮城県震災復興計画(第2次案)のうち,「1 策定の趣旨」「2 基本理念」に関する意見

 復興計画への意見募集のあり方について
 まず,「宮城県震災復興計画(第2次案)」(以下,第2次案)への意見を述べる前に,意見等の聴取のあり方について問題点を指摘したいと思います。
 意見等の提出方法は,郵便,ファクシミリ,電子メールとし,住所,氏名,電話番号の記載を必須としています。また,よせられた意見,それに対する県の回答は,県庁内,地方振興事務所内への掲示,および県震災復興対策課ホームページとなっています。
 まず,住所,氏名,電話番号の記載を必須とすべき理由がわかりません。本当に広く意見を求めるのであれば,制約となるべき条件はできるだけ無くすことが必要です。匿名も可とすべきだと思います。
 意見等の提出方法を,郵便,ファクシミリ,電子メールに限定することにも問題があります。提出された意見は,県によって公開されるまで,県民の目には触れないことになります。
 行政学の常識では,行政機関が示す計画への意見を問うとき,行政機関が実現したいとする計画だけではなく,その計画に対する代替案も同時に示して意見を問うことが必要とされています。すなわち,専門家ではない一般県民に判断を求めるには,計画のメリット,デメリットを検討できる十分な材料を提供することが必要だということです。
 今回の県の第2次案には代替案が示されていないので,事前の策としては,意見聴取期間中に,どのような意見が提出されているのかをリアルタイムで判断できるようにしてほしいと思います。インターネットの掲示板機能を活用すれば可能です。
 意見の公開についても,公開の場所を考えると,恐らく意見をそのまま公開するのではなく,事務当局が要約,編集して公開することになるのではないかと危惧します。編集せずに,そのまま公開されるべきであると考えます。
 なお,県が行う説明会についても,仙台市内,塩竈・多賀城地区での開催を避けています。県民の人口分布から見ても,仙台市内,塩竈・多賀城地区での開催を追加すべきだと思います。
 以下,第2次案についての意見を述べたいと思います。ただし,復興計画案自体が80ページを超える大部なものですので,それの全てに渡って意見を述べると長文にならざるを得ません。そこで,今回は,「1 策定の趣旨」「2 基本理念」に限定して意見を述べさせていただきます。「3 基本的考え方」以降については,この文書とは別に送付します。