後期高齢者の歯科健診が震災で中止になった問題で、広域連合議会で論議があり、何らかの代替事業が約束されました [2011年08月12日(Fri)]
8月11日、宮城県後期高齢者医療広域連合の議会が招集されました。決算の承認が主な議題でしたが、予定していた歯科健診を広域連合が中止したことが論議になりました。
宮城県の後期高齢者の歯科健診は、昨年度からモデル事業として導入されました。しかし広域連合は4月26日、今年度は中止すると各市町村に連絡しました。その理由は、@被災で県外に避難した人もおり、周知が困難であること、A県内歯科診療所の四割が被災したため、実施できるところと困難な地域があること、B被保険者の健診機会の公平を確保できない―と判断されたことでした。 広域連合議会で気仙沼市選出の秋山善治郎議員が、「被災直後の四月に、そういう判断をせざるを得なかったことは理解する」としながら、「気仙沼市では、23あった歯科診療所のうち16箇所が通常診療を再開し、残りのうち三院も再開をめざして今は避難所を回り口腔ケアを巡回指導している。全県で再開していない歯科診療所は5%以下ではないか」と、歯科診療所の復旧が進んでいることを明らかにしました。そのうえで、「いまが判断し直す時ではないか」と問題提起しました。計上していた歯科健診予算の全額を減額する補正予算が提案されていたので、秋山議員は「無理な要求をしているのではなく、予算化していた事業を実施することを求めているだけです」「復興は、できることから一つひとつ実施することではないですか。巨大津波から逃れて命をつないでいる被保険者に生きる喜びを伝えるお手伝いをするのが広域連合の仕事ではないでしょうか」と、同僚議員に補正予算への反対を呼びかけ、ました。「歯科健診の中止は、昨年12月に宮城県が制定した『歯と口腔の健康づくり推進条例』に反するのではないか」という指摘に、多くの議員が頭を抱える事態になりました。 歯科健診予算全額を減額する補正予算は、議員35人のうち26人の賛成で可決されました。しかし、賛成した木村和彦議員(大崎市選出)も、「提案は理解できる」としながらも、代替事業を要求。広域連合は「口腔ケアに役立つ実施可能な何らかの事業」に取り組むことを約束しました。 |