数字の背後にあるものを突き止めて変える
[2017年07月11日(Tue)]
「数字が強いる苦行は自由への過程である」
数字自体は何をなすべきかを教えてはくれない。
それは行動へのシグナル、思考への引き金にすぎない。
企業の経営において肝要なのは、
そうした数字の背後で起こっていることを突きとめることだ。
(変えるのは数字ではなく、数字の背後にあるものを突き止めて変える)
ハロルド・ジェニーン『プロフェッショナルマネジャー』
『稲盛和夫の実学』より――数字自体は何をなすべきかを教えてはくれない。
それは行動へのシグナル、思考への引き金にすぎない。
企業の経営において肝要なのは、
そうした数字の背後で起こっていることを突きとめることだ。
(変えるのは数字ではなく、数字の背後にあるものを突き止めて変える)
ハロルド・ジェニーン『プロフェッショナルマネジャー』
また売上に対する販売費・一般管理費の割合にも常識と呼ばれる迷信がある。
たとえば、ある業界で販売費・一般管理費が、
売上の15%はかかるということが常識になっているとする。
販売組織や販売方法が、各社みな類似していることが背景にあろう。
そこで、新しく参入してくる企業が、
売上に対して販売費・一般管理費が15%かかるという常識を前提にして経営すると、
意図せず自然のうちに同業他社と横並びの経営になってしまう。
これでは、「自社の製品をより効率的に販売するためには、
一体どのような販売組織や販売方法をとるべきなのか」という重要な経営課題を
根本的に考える機会を自ら放棄し、他社を模倣することになる。
それだけではない。たとえば「この業種でこの規模ならば
売上高利益率は税引き後で5、6%である」という常識にとらわれてしまえば、
どうしても結果として利益はその水準にとどまる。
不思議なことに毎年賃金が上昇しても、その水準の利益は出せるが、
それ以上の利益はどうしても出せなくなるのである。
これらの例はいわゆる常識というものに、あとで考えれば不思議なほどに
簡単にとらわれてしまうものかをよく示していると思う。
私は常識とされていることを
とにかく頭から否定すべきだと言っているのではない。
問題は、本来限定的にしかあてはまらない「常識」を、
まるでつねに成立するものと勘違いして鵜呑みにしてしまうことである。
このような「常識」にとらわれず、本質を見極め正しい判断を積み重ねていくことが、
絶えず変化する経営環境の中では大切なのである。
たとえば、ある業界で販売費・一般管理費が、
売上の15%はかかるということが常識になっているとする。
販売組織や販売方法が、各社みな類似していることが背景にあろう。
そこで、新しく参入してくる企業が、
売上に対して販売費・一般管理費が15%かかるという常識を前提にして経営すると、
意図せず自然のうちに同業他社と横並びの経営になってしまう。
これでは、「自社の製品をより効率的に販売するためには、
一体どのような販売組織や販売方法をとるべきなのか」という重要な経営課題を
根本的に考える機会を自ら放棄し、他社を模倣することになる。
それだけではない。たとえば「この業種でこの規模ならば
売上高利益率は税引き後で5、6%である」という常識にとらわれてしまえば、
どうしても結果として利益はその水準にとどまる。
不思議なことに毎年賃金が上昇しても、その水準の利益は出せるが、
それ以上の利益はどうしても出せなくなるのである。
これらの例はいわゆる常識というものに、あとで考えれば不思議なほどに
簡単にとらわれてしまうものかをよく示していると思う。
私は常識とされていることを
とにかく頭から否定すべきだと言っているのではない。
問題は、本来限定的にしかあてはまらない「常識」を、
まるでつねに成立するものと勘違いして鵜呑みにしてしまうことである。
このような「常識」にとらわれず、本質を見極め正しい判断を積み重ねていくことが、
絶えず変化する経営環境の中では大切なのである。
うどんの屋台ひとつでも、いろんな選択肢がある。
一晩に出てくる差はわずかでも、年間にすればものすごい差になってくる。
いい商売、悪い商売があるのではなく、
それを成功に導けるかどうかなのである。
『稲盛和夫の実学』
----------------------------一晩に出てくる差はわずかでも、年間にすればものすごい差になってくる。
いい商売、悪い商売があるのではなく、
それを成功に導けるかどうかなのである。
『稲盛和夫の実学』
たとえば、1個1000円で10個売る予定で、材料を1個300円で12個買って生産して販売。
8個は1000円で売れたが、売れ残った2個は半値に値下げして売り切ったとしたら・・・
売上 … 1000×8+500×2=9000
材料仕入 … 300×12=3600
材料在庫 … 300×2=600
売上原価 … 300×10=3000(材料仕入−材料在庫)
【A】決算書の表示<見かけの利益>
売上 9000
売上原価 △3000(33.3%)
売上総利益 6000(66.7%)…「本当に儲かったといえるのか」
売上原価 △3000(33.3%)
売上総利益 6000(66.7%)…「本当に儲かったといえるのか」
【B】キャッシュベースの経営
【C】数字の背後にあるものを突き止める
売上 10000(1000×10)
仕入 △3000(300×10)
予定した利益 7000(70.0%)
▲値引き ▲1000(▲10.0%)
▲材料在庫 ▲600(▲ 6.0%)
▲在庫金利 ▲……(▲ … %)
▲倉庫料ほか ▲……(▲ … %)
差引売上 5400(54.0%)…「行動へのシグナル、思考への引き金」
仕入 △3000(300×10)
予定した利益 7000(70.0%)
▲値引き ▲1000(▲10.0%)
▲材料在庫 ▲600(▲ 6.0%)
▲在庫金利 ▲……(▲ … %)
▲倉庫料ほか ▲……(▲ … %)
差引売上 5400(54.0%)…「行動へのシグナル、思考への引き金」
【D】売れるだけつくる<トヨタ生産方式>
売上 8000(1000×8)
経費 △2400(300×8)(材料購入量=生産量=出荷量)
予定した利益 5600(70.0%)
▲値引き ▲0(−)
▲材料在庫 ▲0(−)
▲在庫金利 ▲0(−)
▲倉庫料ほか ▲0(−)
差引売上 5600(70.0%)…「必要なものを、必要なときに、必要な量だけ」
----------------------------経費 △2400(300×8)(材料購入量=生産量=出荷量)
予定した利益 5600(70.0%)
▲値引き ▲0(−)
▲材料在庫 ▲0(−)
▲在庫金利 ▲0(−)
▲倉庫料ほか ▲0(−)
差引売上 5600(70.0%)…「必要なものを、必要なときに、必要な量だけ」
ハロルド・ジェニーン『プロフェッショナルマネジャー』の
第9章「数字が意味するもの」より――
毎年何千もの企業が倒産し、
ほかに何百もの企業が経営不振から他と合併したり吸収されたりしており、
それらの窮状のほとんどすべての根は、
数字への注意不足につながっている。
あるものはそれらの数字のメッセージを読み取るのが遅すぎた。
ほかに何百もの企業が経営不振から他と合併したり吸収されたりしており、
それらの窮状のほとんどすべての根は、
数字への注意不足につながっている。
あるものはそれらの数字のメッセージを読み取るのが遅すぎた。
算用なし打込み置きて、帳〆にて合わせる人は、
手前薄くなる物ぞかし
井原西鶴『日本永代蔵』
手前薄くなる物ぞかし
井原西鶴『日本永代蔵』
求めよ、そうすれば与えられる。
探せ、そうすれば見いだす。
たたけ、そうすれば開かれる。
求める人は受け、探す人は見いだし、たたく人は開かれる。
(ルカによる福音書11・9〜10)
この続きはまた明日
会計は算術ではなく、思想である
会計情報という数字を介して、経営との対話がはじまる。
会計は算術ではなく、思想である
会計情報という数字を介して、経営との対話がはじまる。