研修のおさらい
[2010年02月04日(Thu)]
研修にご参加された皆さん、お疲れ様でした。
変化の激しい時代ですが、3日間の研修で学ばれた「経営のための会計学」を皆様方の日々の業務の中で実践していただくことにより、私たち中小企業はいかなる経営環境においても、経営の取組みの選択を誤ったり迷ったりすることなく、明るく希望をもって長期的に発展できるものと確信します。
研修の中で『稲盛和夫の実学』(日経ビジネス人文庫)を皆さん方と一緒に読み解き、稲盛さんが『実学』に込めたメッセージの理解に努めましたが、学ばれたことをぜひ実践してご活用ください。
以下、3日間の研修のおさらいです。ご参考までに
【1】 中小企業が健全に成長していくためには
◆経営に関する数字は、飛行機の操縦席にあるコックピットのメーターの数値に匹敵するもの。経営者をして目標まで正しく到達させるためのインジケーターの役割を果たさなくてはならない。
◇数字は単に評価(スコアリング)するものではない。数字から「症状」を読み取り(アラーム)、「問題」を掘り起こして「問題の本質」を探り出し、取り組むべき「課題」を明確にする。
◆だから、会計は、経営の結果をあとから追いかけるためだけのものではない。遅すぎては何の手も打てない。
◆激しく変化する経営環境。「ドンブリ勘定」では経営判断を誤る。
◆経営者たる機長が経営判断を誤らないためには、刻々と変わる自社の経営の“正確”な実態を“シンプル”にまた“リアルタイム”に示し、経営の状況や問題点を浮き彫りにする計器盤が必要。
◆そのような計器盤が自社に備わっているか?
◆計器盤が備わっていても、その計器盤に表示される「数字の意味するところ」を手に取るように理解できるか?(経営者の理解が数字の求め方やおおよその数字のレベルでは正しい手を打てない)
◆中小企業が健全に成長していくためには、経営の状態を一目瞭然に示し、かつ、経営者の意思を徹底できる会計システムを構築しなくてならない。
【2】 「土俵の真ん中で相撲をとる」
◆土俵の真ん中で、土俵際に追い込まれた緊張感をもって勝負をかける(『実学』 P.58〜59)
◆土俵際に追いつめられてから勝負に出るのではなくて、まだ、土俵まで余裕のあるうちに背水の陣を敷いて、採算の向上に日夜努めてきました。(『実学』 P.169)
◇土俵の真ん中にいても、緊張感なく惰眠を貪っていたら・・・アウト!
◇なぜ「土俵の真ん中で相撲をとる」経営を目指すのか?
◆雨が降って傘を取り上げられても、自分の力で雨に濡れないようにするため(『実学』 P.59)
◆チャンスのときにタイミングを失わず、思い切って打って出るため(『実学』 P.60、160)
◇「土俵の真ん中で相撲をとる」ためには、
◆内部留保を厚くする以外に方法はない。(『実学』 P.60)。
◆自分の利益を積み重ねて、自分のお金で経営する。(『実学』 P.60)
【3】 資金調達―お金は利益から生まれる
◆構想自体がどんなに魅力的であっても、足元の収益が上げられない状態で拡大しては、危険性が増すばかり。(「収益性向上せぬままの拡大は危険」/『実学』 P.170)
◇“成長”を重視して徒に規模を拡大すると“財務体質”が脆弱になる
◇“体質改善”(借入の返済)を優先して将来を見据えた投資を先送りすると“成長”が鈍り、場合によっては企業の継続を危うくする
◇“成長”と“体質改善”の両立が中小企業の健全な発展のための命題。
◇“成長”と“体質改善”の源は「営業キャッシュフロー」にあり。
◇「営業キャッシュフロー」の源は「税引後利益+減価償却費」にあり。
◇「資金調達」の最優先課題―自社の収益性の向上を図って業績を改善すること。
【4】 経営の原則―「売上を最大に、経費を最小に」
◆売上はあらゆる智恵と創意工夫と努力によって増やす一方、経費は徹底して切り詰める。利益とはその結果生まれるものでしかない。(『実学』 P.36、P.118)
◆経費を最小にしてサービスが悪くなり、お客が離れてしまったのでは意味がない。(『実学』 P.170)
◆採算を向上させていくためには、売上を増やしていくことはもちろんであるが、それと同時に製品やサービスの付加価値を高めていかなければならない。(『実学』 P.115)
◆付加価値を向上させるということは、事業活動により従業員の生活を向上させていくと同時に社会の発展に貢献するための前提条件となるものでもある。(『実学』 P.115)
◆会社経営にとって固定費の増加は、十分警戒しなければならない。固定費は増やすまい、減らそうと、つねに意識していないと、あっという間に増加し、企業の体質を悪化させてしまうものなのである。(『実学』 P.87〜88)
◆事業を拡大していけばいくほど、経営者はより細かく経営の状況に目を配っていく必要がある。(『実学』 P.161)
◇コストダウンは品質やサービスの向上が前提。メニューを見直し、顧客の支持拡大に努める。
【5】 経営の基本―「儲かったお金はどこにあるのか」を明確に把握する
◆苦労して利益を出しても、それをそのまま新しい設備投資に使えるわけではない。売掛金や在庫が増加すればお金はそこに吸い取られてしまっている。(『実学』 P.50)
◆まとめて買えば安くあがったように思うけれど、実はそうではない。使う分だけ当座買いするから、高く買ったように見えるが、社員はあるものを大切に使うようになる。余分にないから、倉庫も要らない。倉庫が要らないから、在庫管理も要らないし、在庫金利もかからない。これらのコストを通算すれば、その方がはるかに経済的である。(『実学』 P.95〜96)
◆「儲かったお金はどこにあるのか」というのは、経営者が決算書を見るたびにつねに胸に呼び起こさねばならない大切な問いかけなのである。(『実学』 P.63)
【6】 安全に経営をしようと思えば
◆安全に経営をしようと思えば、減価償却プラス税引後利益で返せる範囲のお金でしか設備投資をしてはならないことになる。(『実学』 P.61)
◆金利はもちろん税金もすべて払ったあとに残る税引後利益と、現在の償却とをあわせたもので返済ができる範囲で設備投資の借入をするというのが原則。(『実学』P.175)
◇中小企業の経営にとって大切なのは「フリーキャッシュフロー」ではない。
◇必要資金の把握・・・何のために、いつ、どれだけの資金が必要かを具体的に
◇投下資金の回収スケジュール・・・より早く、より多く
◇資金調達方法の選択・・・投下資金の回収スケジュールに応じて返済にムリのない調達
【7】 キャッシュフロー経営が「現場」を変える
◇キャッシュフローは全社一丸で取り組むべき経営課題。会社の経営体質を強化することによって長期的に発展し、自らも成長するために必要な努力であることを認識し、日々の現場で実践する。
◇決して、小手先の数字のツジツマ合わせではない。「現場」が変わらねば経営は変わらない。
◆社員が会社全体の状況ややざしている方向と目標、また遭遇している困難な状況や経営上の課題について知らされていることは、社内のモラルを高めるためにも、また社員のベクトル(進むべき方向)を合わせていくためにも不可欠なことである。社員の力が集積されたものが会社の力なのであり、社員の力が結集できなければ、目標を達成することも、困難を乗り切っていくこともできない。(『実学』 P.143)
変化の激しい時代ですが、3日間の研修で学ばれた「経営のための会計学」を皆様方の日々の業務の中で実践していただくことにより、私たち中小企業はいかなる経営環境においても、経営の取組みの選択を誤ったり迷ったりすることなく、明るく希望をもって長期的に発展できるものと確信します。
研修の中で『稲盛和夫の実学』(日経ビジネス人文庫)を皆さん方と一緒に読み解き、稲盛さんが『実学』に込めたメッセージの理解に努めましたが、学ばれたことをぜひ実践してご活用ください。
以下、3日間の研修のおさらいです。ご参考までに
【1】 中小企業が健全に成長していくためには
◆経営に関する数字は、飛行機の操縦席にあるコックピットのメーターの数値に匹敵するもの。経営者をして目標まで正しく到達させるためのインジケーターの役割を果たさなくてはならない。
◇数字は単に評価(スコアリング)するものではない。数字から「症状」を読み取り(アラーム)、「問題」を掘り起こして「問題の本質」を探り出し、取り組むべき「課題」を明確にする。
◆だから、会計は、経営の結果をあとから追いかけるためだけのものではない。遅すぎては何の手も打てない。
◆激しく変化する経営環境。「ドンブリ勘定」では経営判断を誤る。
◆経営者たる機長が経営判断を誤らないためには、刻々と変わる自社の経営の“正確”な実態を“シンプル”にまた“リアルタイム”に示し、経営の状況や問題点を浮き彫りにする計器盤が必要。
◆そのような計器盤が自社に備わっているか?
◆計器盤が備わっていても、その計器盤に表示される「数字の意味するところ」を手に取るように理解できるか?(経営者の理解が数字の求め方やおおよその数字のレベルでは正しい手を打てない)
◆中小企業が健全に成長していくためには、経営の状態を一目瞭然に示し、かつ、経営者の意思を徹底できる会計システムを構築しなくてならない。
(以上、「会計がわからなければ真の経営者になれない」/『稲盛和夫の実学』 P.40〜43)
【2】 「土俵の真ん中で相撲をとる」
◆土俵の真ん中で、土俵際に追い込まれた緊張感をもって勝負をかける(『実学』 P.58〜59)
◆土俵際に追いつめられてから勝負に出るのではなくて、まだ、土俵まで余裕のあるうちに背水の陣を敷いて、採算の向上に日夜努めてきました。(『実学』 P.169)
◇土俵の真ん中にいても、緊張感なく惰眠を貪っていたら・・・アウト!
◇なぜ「土俵の真ん中で相撲をとる」経営を目指すのか?
◆雨が降って傘を取り上げられても、自分の力で雨に濡れないようにするため(『実学』 P.59)
◆チャンスのときにタイミングを失わず、思い切って打って出るため(『実学』 P.60、160)
◇「土俵の真ん中で相撲をとる」ためには、
◆内部留保を厚くする以外に方法はない。(『実学』 P.60)。
◆自分の利益を積み重ねて、自分のお金で経営する。(『実学』 P.60)
(以上、「土俵の真ん中で相撲をとる」/『稲盛和夫の実学』 P.57〜62)
【3】 資金調達―お金は利益から生まれる
◆構想自体がどんなに魅力的であっても、足元の収益が上げられない状態で拡大しては、危険性が増すばかり。(「収益性向上せぬままの拡大は危険」/『実学』 P.170)
◇“成長”を重視して徒に規模を拡大すると“財務体質”が脆弱になる
◇“体質改善”(借入の返済)を優先して将来を見据えた投資を先送りすると“成長”が鈍り、場合によっては企業の継続を危うくする
◇“成長”と“体質改善”の両立が中小企業の健全な発展のための命題。
◇“成長”と“体質改善”の源は「営業キャッシュフロー」にあり。
◇「営業キャッシュフロー」の源は「税引後利益+減価償却費」にあり。
◇「資金調達」の最優先課題―自社の収益性の向上を図って業績を改善すること。
【4】 経営の原則―「売上を最大に、経費を最小に」
◆売上はあらゆる智恵と創意工夫と努力によって増やす一方、経費は徹底して切り詰める。利益とはその結果生まれるものでしかない。(『実学』 P.36、P.118)
◆経費を最小にしてサービスが悪くなり、お客が離れてしまったのでは意味がない。(『実学』 P.170)
◆採算を向上させていくためには、売上を増やしていくことはもちろんであるが、それと同時に製品やサービスの付加価値を高めていかなければならない。(『実学』 P.115)
◆付加価値を向上させるということは、事業活動により従業員の生活を向上させていくと同時に社会の発展に貢献するための前提条件となるものでもある。(『実学』 P.115)
◆会社経営にとって固定費の増加は、十分警戒しなければならない。固定費は増やすまい、減らそうと、つねに意識していないと、あっという間に増加し、企業の体質を悪化させてしまうものなのである。(『実学』 P.87〜88)
◆事業を拡大していけばいくほど、経営者はより細かく経営の状況に目を配っていく必要がある。(『実学』 P.161)
◇コストダウンは品質やサービスの向上が前提。メニューを見直し、顧客の支持拡大に努める。
【5】 経営の基本―「儲かったお金はどこにあるのか」を明確に把握する
◆苦労して利益を出しても、それをそのまま新しい設備投資に使えるわけではない。売掛金や在庫が増加すればお金はそこに吸い取られてしまっている。(『実学』 P.50)
◆まとめて買えば安くあがったように思うけれど、実はそうではない。使う分だけ当座買いするから、高く買ったように見えるが、社員はあるものを大切に使うようになる。余分にないから、倉庫も要らない。倉庫が要らないから、在庫管理も要らないし、在庫金利もかからない。これらのコストを通算すれば、その方がはるかに経済的である。(『実学』 P.95〜96)
◆「儲かったお金はどこにあるのか」というのは、経営者が決算書を見るたびにつねに胸に呼び起こさねばならない大切な問いかけなのである。(『実学』 P.63)
【6】 安全に経営をしようと思えば
◆安全に経営をしようと思えば、減価償却プラス税引後利益で返せる範囲のお金でしか設備投資をしてはならないことになる。(『実学』 P.61)
◆金利はもちろん税金もすべて払ったあとに残る税引後利益と、現在の償却とをあわせたもので返済ができる範囲で設備投資の借入をするというのが原則。(『実学』P.175)
◇中小企業の経営にとって大切なのは「フリーキャッシュフロー」ではない。
◇必要資金の把握・・・何のために、いつ、どれだけの資金が必要かを具体的に
◇投下資金の回収スケジュール・・・より早く、より多く
◇資金調達方法の選択・・・投下資金の回収スケジュールに応じて返済にムリのない調達
【7】 キャッシュフロー経営が「現場」を変える
◇キャッシュフローは全社一丸で取り組むべき経営課題。会社の経営体質を強化することによって長期的に発展し、自らも成長するために必要な努力であることを認識し、日々の現場で実践する。
◇決して、小手先の数字のツジツマ合わせではない。「現場」が変わらねば経営は変わらない。
◆社員が会社全体の状況ややざしている方向と目標、また遭遇している困難な状況や経営上の課題について知らされていることは、社内のモラルを高めるためにも、また社員のベクトル(進むべき方向)を合わせていくためにも不可欠なことである。社員の力が集積されたものが会社の力なのであり、社員の力が結集できなければ、目標を達成することも、困難を乗り切っていくこともできない。(『実学』 P.143)
中小企業にとって厳しい経営環境が続いていますが、地域の経済が活性化して、地域の雇用の安定が確保されるためには、将来を見据えて前向きに取り組む中小企業が健全に発展することが大切。何かと大変でしょうけど、清水さんたちのお仕事の役割はとても重要です。よろしくお願いします。
決算書に表される数字の結果だけで評価するのではなく、その過程(プロセス)が重要と考えます。数字の裏にある経営者の考え方や実際の取組み、そして現場の動きを確認することが大事です。
清水さんのコメントに励まされました。中小企業の健全な発展のためにしっかり取り組みます。(宮)