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宮城県内には、子どもや高齢者、障がい者、環境や国際交流、芸術・スポーツなど様々なテーマで活躍するNPO・市民活動団体があります。その活動を支えるためにはお金が必要。みんみんファンドは、「いま、資金支援を必要とするところへ」資金を提供する、民(市民・企業・各種団体など)による民(NPO・市民活動団体)を支える仕組みです。


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みんみんバード interview vol.4 [2010年07月06日(Tue)]
みんみんバード interview vol.4

vol.4 障害者社会参加劇団ファットブルーム 主宰  高橋 宗義さん

PROFILE
大阪芸術大学在学中、野外劇団「劇団犯罪友の会」に在籍。フランキー堺氏に師事し、映画・テレビ・舞台を学ぶ。作業療法士を務める傍ら、2004年に障がい者が参加する劇団「劇団ファットブルーム」を結成。2009年3〜4月の公演「冬華・冬の花火〜写楽が愛した女(ひと)」では脚本・総合プロデュースを手がけた。



仙台市内の授産施設で暮らす障がい者三人と、健常者四人が旗揚げした「劇団ファットブルーム」。ファットブルームとはチョコレートの成分が溶け合い固まっていく過程を意味し、障がいを持つ人がさまざまな人たちと一緒に混じり合い、楽しく社会に参加していくことを目的に結成された劇団です。この劇団の主宰で作業療法士としても活躍されている高橋宗義さんにお話をうかがいました。

見たこともない笑顔に出会って

 私はもともとはフリーで役者・演出・舞台監督・舞台制作などをしていたんです。あるとき「介護老人保健施設ふらの」という施設の作業療法士で、川口淳一さんという方が演劇のワークショップを通じて痴呆の高齢者に対する作業療法を行っていることを知ったんです。一種の演劇療法ですね。

 ちょうどその頃私は、演劇を生かせる仕事の分野を探して作業療法士の資格を取得しようと専門学校に通っていました。専門学校の学生時代に、宮城野区にある身体障害者授産施設「啓生園(けいせいえん)」でアルバイトをし、夜は芝居の演出をする機会が出来ました。

 私が演出した芝居で人手が足りない時、園生の斉藤正勝さんが道具に色を塗るのを喜んで手伝ってくれた事がありました。彼はその日の炊き出しのカレーライスを食べて、「芝居をやると美味しいものが食べれるんだ」って見たこともない笑顔で笑ったんです。まるで昔の自分を見ているみたいだった…。

 私は「この人たちと一緒に芝居をやるのもいいんじゃないかな。本当の作業療法の意味も勉強できる」と思い、園生の斉藤正勝さんに話しかけました。その後に佐藤孝志さん、小川ふみ子さんが一緒に参加し「劇団ファットブルーム」が結成されました。

 学生時代に自分が所属していた大阪の野外劇団「犯罪友の会」主宰の武田一度さんが、「演劇というのは、何かを伝えたいと思っている人たちの気持ちを届けるライブなんだ」「演劇をしたくてもできない人たちが演劇をするっていうことが究極の演劇かもしれないな」って教えてもらったことを思い出したんです。

 武田さん自身、演劇をいわゆる抑圧されている人たちのものだと捉えている面もあるんです。きらびやかなものを集めてステージをやるんじゃなくて、何かを伝えたい人が舞台を通じて人に手渡しする作業が自分たちの演劇だと。それが先ほどの作業療法士の川口淳一さんと繋がってきて、武田さんのおっしゃっている意味がやっと理解できたんです。

 武田さんの劇団にいた頃は、二十歳そこそこで「衣装、買ってこい」「めし、買ってこい」とか言われて、お金をもらって労働者の町に行かされました。お金がないと劇団関係者の誰かがパンをくれたり、お酒をくれたりして。

 その頃は、お金がなくても芝居を作りたいという気持ちと身体があればどこの小屋へ行っても食べられたんです。劇団の横のつながりがあった時代で「バイト出来なくて、食べるものもないんです」っていうと、団長に「明日、あそこの劇団を手伝ってこい」って言われる。行ってみると、炊き出しのまかないものを食べさせてもらう。

 お金はもらえないんだけれど、みんな親切にしてくれました。「同じ目標に向かう人、それを助ける人を大切にする」これが人のつながりだと思うと、嬉しくてたまらなかったなあ。

 演劇をしていると、初めて会った人でもすぐにひとつの目標に対して、わだかまりもなく、コミュニケーションが取れて、頑張れるんです。それが楽しい。

 私は学生の頃まで、演技がうまければ、誰でも芝居を見に来てくれるって思って勉強していました。けれど、劇団に入っていろいろ経験しているうちに、ただ演技を勉強しているんじゃなくて、仕事をもらうのも人の付き合いから起きている。人は人で変わっていくんだなって思うようになりました。

 そして人で人が変われるんだったら、自分がちゃんと変われる人にならなきゃいけないと思うようになりました。コミュニケーションをどうとって、どういうふうに頼めばいいのかとかね。そういうのが本当の勉強だと感じています。



なにをすると対等になるかを必死で考えて

 うちの劇団は障害者の社会参加が目的です。「演劇」を使っていろんな方と関わり合って楽しく街の中央に出て行こうというコンセプトです。最初は仙台市の小劇場にいる人たちと老人ホームの慰問を考えました。

 しかしそれはうまくはいかなかった。そんな姿を見て、卸町のせんだい演劇工房10‐BOX二代目工房長の八巻さんが厚意で劇場を貸し出してくれました。そして最初の芝居「昔のおじいちゃん」が公演されました。

 その勢いで明治安田生命社会貢献プログラム「エイブルアート・オンステージ」の助成にチャレンジしましたが一回目はだめでした。翌年再チャレンジして念願の「冬華・冬の花火―写楽の愛した女(ひと)」という公演を行うことができました。そのときは仙台の演劇人の協力を頂き大変嬉しかった。

 障がい者劇団の劇団員が人の温かさを実感できる公演となりました。ファットブルームの団員は、ハンディのある身体で自分の覚えたものを体当たりで演技します。必死で伝えるのです。

 そんな彼らのリアルな表現の仕方と、プロの役者さんが作ってくるリアルな芝居をどう合わせていこうかと思った時、「障がいを持つ団員の斉藤正勝さんを主役にして、舞台上でイキイキと最後まで介助しないで舞台の袖に帰ってくる芝居をやろう」ということになりました。介助されるというのは芝居じゃないし、障がい者を一生懸命手ほどきしているものになってしまうと考えたのです。
 
 仙台の演劇人のみなさんは、障がい者と、何をすると対等になるかを必死で考えてくれたんですね。そして障がいを持つ団員たちがありのままの姿で登場する演劇を作ろうと結論が出ました。

 障がい者が車いすに乗っている写楽であったり、うまく歩けない馬琴だったり、こういう人たちが絵を描いていたらどうなるんだろうって。そこを原点にして想像力を働かせて芝居を作っていくと、障がいを持つ人が絵を描いていても不思議ではないし、健常者の蔦谷重三郎や十返舎一九は、そういう人に対してどう接しているかって事がリアルな話になると落ち着き、やっと楽になれた。

 それからは、こうしたほうがいいんじゃないか、ああしたほうがいいんじゃないかって、現場に落とすようになって、参加者全員が芝居に対して真っ向から向き合うようになっていきました。

 私は障がいを持つ彼らに、「まず演劇人として自分の芝居を作れるようになろう」「私達はこういうことをやっている」って、人前で話せるようになること。そして「今度お芝居をやるから見に来てください」とチラシと名刺を渡して地域のなかに入っていくこと。私達は自らが活動する事で知り合いを増やしていく。そしてそれが自分達の社会参加へとつながっていくと思っています。

 自信を持って地域に出ていく力は、「自分達が演劇をしているから」と思えること。これも「ろうきん地域貢献ファンド」や「エイブルアート・オンステージ」で助成を頂き地域に入っていくきっかけを作ってもらったからです。

 今はその大きな財産を持って、またいろいろな人達に手伝ってもらいながら、地域の授産施設や、老健施設を回って、「演劇」で等身大の彼らの社会参加を継続していきたいと思っています。



注1 エイブルアート・オンステージ 明治安田生命の社会貢献プログラムとして障害のある人たちが参加する演劇、ダンス、音楽などの取り組みを助成するプログラム。 

注2 作業療法 病気や外傷からの回復を助けるため、医師より処方され、作業療法士により指導されて行われる治療活動。作業・仕事・運動・レクリエーションなどを含む。精神病作業療法と身体作業療法があり、リハビリテーションの一種。

注3 厚生大臣の免許を受けて、医師の指示のもとに作業療法を行うことを業とする者。 
 
写真提供:障害者社会参加劇団 劇団ファットブルーム
インタビュー・写真:谷口 恵子
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