福島民報新聞「民報サロン」への寄稿コラム、最終回分です。
6回に渡って執筆させていただきましたが、新聞というメディアで自分の思いや会津の新しい動きなどを発信することで、いろんな方から反響をいただいたり、自分の立ち位置や考えを整理するいいきっかけになりました。
このような機会を与えていただいたことに感謝です。
さて、最終回は自分の仕事について、書いてみました。
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「世界を変える社会起業家」
(掲載日:2008年2月27日(水))
私は三年前に「若者がチャレンジできる地域を創りたい」「伝統工芸を元気にしたい」という二本の柱で起業した。
少しずつだが事業内容とネットワークを大きくしていく中で、社会を変えたいという理念を共有する全国の仲間や先輩たちと出会い「時代の先っちょ」に触れていると、最近「新しい社会の変化」の足音が聞こえてきた気がしている。
その変化は新しいパラダイムの始まりと言っても言い過ぎではないのかもしれない。
福岡県飯塚で活動している起業家の大先輩は、今起きつつある時代の変化を「部分最適を繰り返した結果、様々な歪みが生じてきたことに全体最適をかけ直す作業」と言った。
歪みとは、例えば一握りの人間たちの豊かさという部分最適を優先した結果の環境問題や途上国の貧困問題だったり、自社の利益という部分最適を優先したことによる食品偽装だったりする。
様々なところで「森を見ずに木を切り続けてきた」結果、地球や社会全体が悲鳴をあげている。
そのような中で、様々な角度からバランスや持続可能性をもう一度取り戻そうと本気で取り組みはじめている新しい動きがある。
具体的な事例を二つ紹介したいと思う。
一つは、今「社会起業家」と呼ばれる人たちがいる。
社会変革の担い手(チェンジメーカー)として、社会の課題を事業により解決する人のことを言う。
事業型NPOの場合もあるし株式会社の場合もあるが、私もそうだが組織の形態はあまり重要ではなく「社会や地域を良くしていくことを仕事として創り上げていく」ことを目指している。
利益の追求よりも社会を良くすることにやりがいを感じるが、一方でその活動が成果を出すまで継続させていくために収益事業として自立も目指している。
日本でも病児保育や葉っぱビジネス、フェアトレードなど様々な分野の社会起業家が生まれてきている。
もう一つは、今急速に進んでいるCSRの動きである。
CSRと言うと地方ではまだまだ企業によるボランティア活動や本業以外での社会貢献と捉えられていて、取り組みがなかなか進んでいない現状があるが、本質的には企業を取り巻く全ての人の視点を取り入れて企業活動に反映させることで、企業の持続的な発展に繋がっていくというものである。
江戸時代の商人の知恵である「三方良し(売り手良し、買い手良し、世間良し)」にまさに通じるものである。
来年に迫った「ISO26000シリーズ」の発効により、この動きはさらに加速し、CSRに取り組む企業は好評価やブランド力向上に繋がり、例えば不法労働や自然環境に悪影響のある企業などは取り引きが減っていく。
このように、今、社会活動とビジネスの境界線は消えつつある。
その動きと理念こそが新しいパラダイムになり得ると予感を感じている。
「まちづくり」とはまさに全体最適を目指すことだと思う。
例えば福島県なら福島県だけ潤えばいい、会津なら会津だけ人が来ればいい、うちの特産品だけ売れればいいという考え方は古い概念になりつつある。
行政区分の話を超えて、むしろ私たち民間や市民は「この地域からどう世界や地球を変えていくか?」を考えたいと思う。新しい社会においては、それが最終的に自分たちの利益としておつりがくる。
私はそんなまちづくりを目標に、本当の「社会起業家」になることを目指していきたいと思う。