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米国によるイラン・タンカーへの厳しい追跡を横目にサウジ・イラン関係軟化の兆し[2019年10月03日(Thu)]
1.10月1日、タンカー追跡サイトは、シリアのバニヤス製油所の近くに停泊している「エイドリアン・ダリヤ1」号に横付けされたイランの小型タンカー「ジャスミン」を示すとされる衛星写真を公開した。これにさっそくポンペイオ国務長官が飛びつき、「エイドリアン・ダリヤ1」号は、シリアに石油を届けないという英国へのイラン外相ザリーフの約束にもかかわらず、今やシリア沿岸沖で石油を移し替えている。この石油がシリアに届けられるならば、世界はイランに責任があると思うのではないか?」とツイッターでつぶやいた。2日、英国政府は、イラン政府はタンカーに積み込んだ原油をシリア政府に販売しないという約束を破ったと非難した。これに対して、イランの駐英外交使節はこの主張を否定し、「販売先を設定する自由がある民間バイヤーに石油を売却済である」と発言。9月上旬時点では、エイドリアン・ダリヤ1」号の積み荷の半分の原油が荷揚げされたとの報道があったが、未だ確認が取れていない。
(タンカートラッカー公開衛星画像)https://pbs.twimg.com/media/EFyhQGjWwAAjGK2.jpg

2.イラン提案の「ホルムズの平和イニシアティブ」HOPE
9月30日、イラン外務省のアッバース・ムーサヴィ報道官は、「ホルムズの平和イニシアティブ(Hormuz Peace Endeavour:HOPE)」の詳細を、特にこのイニシアティブに参加するよう招待した8か国について、書面で間もなく提供すると述べた。

(コメント)9月30日政府スポークスマンのアリ・ラビエイ・イラン政府報道官は、サウジアラビア指導部が、第三国を通じてイランのローハニ大統領に外交メッセージを送ったと発言した。同報道官は、サウジアラビアが実際に(イランに敵対的な)「振る舞い」を変更しようとしているのであれば、イランはそれを歓迎する、とメッセージの内容に言及することなく述べた。イランのザリーフ外相は先般、イランが提案した「ホルムズの平和イニシアティブ(HOPE)」にはイラク、サウジ、バーレーン、アラブ首長国連邦、カタール、オマーン、クウェート、そしておそらくイエメンが含まれることを明らかにしている。ザリーフ外相によると、湾岸諸国は地域の平和、安定、繁栄を確保する義務があり、国際社会とともに航行とエネルギー移動の自由を維持することに共通の関心を持っている。9月上旬、ローハニ大統領は、ペルシャ湾、ホルムズ海峡、オマーン海の安全は沿岸諸国にとっての「固有」の問題であり、「外国軍のプレゼンスは沿岸国と地域に問題と不安を引き起こす可能性がある」と述べていた。既に、湾岸諸国の中で、サウジ、UAE、バーレーンは、イランを湾岸での自由で安全な航行の脅威とみなす米主導有志連合への参加を決定しており、ペルシャ湾の両岸で対立が激化する一方であった。

9月25日にサウジのジッダで、サウジを訪問したイラクのアーディル・アブドル・マハディ首相はムハンマド・ビン・サルマン(通称MBS)皇太子と会談しており、その後、イラクはサウジとイランとの直接会談アレンジを支援すると報じられており、ローハニ大統領の呼びかけに対するサウジ側のイランへのメッセージを伝えたのは、サウジとイラン双方にパイプを有し、ペルシャ湾の緊張を歓迎しないイラクであるとみられる。

MBS皇太子は、9月下旬のCBS「60 Minitues」のインタビューで、フーシー派によるサウジ攻撃停止宣言を評価し、イランとの戦争は望んでいないと表明し、これまでの対イラン強硬姿勢をやや軟化させるジェスチャーを示した。トランプ政権の支えをてこに強硬路線一辺倒のサウジ指導部が、米大統領弾劾調査に向けた米国内政や事実上の同盟国に変化したイスラエルのネタニヤフ政権を直撃している逆風をにらんで、今後のMBS体制維持にむけ、サウジ指導部はこれまでとは違う方面に保険をかけ出した可能性がある。イエメンでの停戦が維持できるのか、ペルシャ湾の航行の自由と安全を維持するための沿岸国による何らかの了解が成立するのかが注目点である。

Posted by 八木 at 11:57 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

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