仏提示のイラン核合意救済案[2019年09月04日(Wed)]
9月3日、仏のル・ドリアン外相は、@イランが、イラン核合意(JCPOA:包括的共同行動計画) の義務完全履行の状況に戻ること、A湾岸水域の安全、B地域の安全保障と2025年以降のポスト核合意に関する協議開始、と引き換えに、原油供給で保証された150億ドルのクレジットラインを提供する用意があること、但し、このためには、米国トランプ政権がイラン産原油輸入国への制裁免除を決定することが必要になると語った。この計画の骨格は、8月24-26日のビアリッツG7サミットで、マクロン大統領が、トランプ大統領と直談判した内容がベースになっているとみられる。@については、イラン側は、JCPOAの2本柱のひとつである核開発抑制の見返りとしてのイランへの経済的恩恵をEU側が保証すれば、義務履行を元の水準に戻すことはためらわないとしており、米国が本年5月2日に下したすべてのイラン産原油輸入国に制裁を課す決定を撤回し、EUが実際にクレジットラインを提供することができれば、イランは、2015年核合意全履行義務への復帰を果たすものとみられる。Aについては、米主導の(有志連合改め)海洋安全保障イニシアティブが立ち上がっており、既に英国、バーレーン、豪州が参加し、イスラエルも協力を表明しているものの、多くの諸国が、参加に二の足を踏んでいる中、イランを巻き込んだ湾岸水域の安全保障の協議は、緊張の緩和につながるとみられる。Bについては、現行2015年の核合意を変更するための協議開始については、イラン側はハメネイ最高指導者以下明確にノーと言っているが、2025年以降の協議については可能性を遮断しているわけではなく、議論の余地があると思われる。最大の難関は、地域の安全保障に関するもので、イラン側は、米国が外国テロ組織に指定したイスラム革命防衛隊(IRGC)の近隣地域における活動停止、弾道ミサイル等の開発問題については話し合う余地はないとしており、この扱いをどのように処理するのかが大きなハードルになるとみられる。因みに、フィンランドとイランは、仏提案のクレジットラインを活用したイラン産原油の取引についての初歩的な接触を開始したとされている。イラン側の妥協とトランプ大統領の決断が注目される。
9月3日付MEE記事https://www.middleeasteye.net/news/france-offer-iran-15-bn-credit-lines-if-us-agrees-sanctions-waiver
他方、イラン産原油を積載したイランの大型タンカー「エイドリアン・ダリヤ1」号は、シリアのタルトゥース沖に接近している。米国により押収令状と制裁が発動されている同タンカーの動きは、世界中がその動きを逐一監視する状態になっている。その代表が、TankerTracker.comで、そのツイッター、ならびに「エイドリアン・ダリヤ1」号と何隻かのタンカーがシリア沖に待機する最新画像は次のとおりアクセスできる。
ツイッターhttps://twitter.com/tankertrackers
画像https://pbs.twimg.com/media/EDj_2EBXYAAs4p6.jpg
9月3日付MEE記事https://www.middleeasteye.net/news/france-offer-iran-15-bn-credit-lines-if-us-agrees-sanctions-waiver
他方、イラン産原油を積載したイランの大型タンカー「エイドリアン・ダリヤ1」号は、シリアのタルトゥース沖に接近している。米国により押収令状と制裁が発動されている同タンカーの動きは、世界中がその動きを逐一監視する状態になっている。その代表が、TankerTracker.comで、そのツイッター、ならびに「エイドリアン・ダリヤ1」号と何隻かのタンカーがシリア沖に待機する最新画像は次のとおりアクセスできる。
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Posted by 八木 at 10:21 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)