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2022年FIFAワールドカップ・カタール大会に向けて[2018年07月15日(Sun)]
連日熱戦続きで世界中を沸かせたFIFAワールドカップ2018ロシア大会も、仏・クロアチア戦をもって現地時間15日夕(日本時間16日に日付が変わったころ)、幕を閉じようとしています。そうした中、次期ホスト国のカタール系メディアは、「ワールドカップ・カタール大会2022:あなたがたが、知っておくべき5つの事柄」と題する記事(下記URL参照)を掲載したところ、補足も交え要旨次のとおりです。
(7月13日付ミドル・イースト・アイ記事) http://www.middleeasteye.net/news/qatar-world-cup-2022-five-things-you-need-know-air-conditioned-stadiums-labour-workers-winter-heat-alcohol-48-teams-996502023

@ エアコン付きのスタジアム新規建設:カタールはワールドカップのために約80億〜100億ドルのコストをかけて、すべてエアコン付きの8つのスタジアムを建設するとしている。それでも当初予算を40〜50%切り詰めているとのこと。
A 開催時期は晩秋から初冬11月21日に開幕戦が行われ、カタール国祭日である12月18日に決勝戦が行われる。これは北半球で通常開催される6〜8月頃は現地では猛暑が予想されるため、時期をずらした由で、これに合わせて多くの欧州のナショナルリーグは国内リーグ開始時期を前倒しする等調整を開始したとのこと。
B 劣悪な環境で建設に従事する外国人労働者問題:カタールでは、外国人労働者が砂漠の暑さの中で厳しい労働条件と長時間の労働を課せられスタジアム建設にあたっている。それを、人権団体やNGOが注視している。カタールの建設ブームを支える労働者の大多数は南アジア出身。心臓発作や墜落死亡等現場での事故も多発。労働問題への批判に対処するため、カタールでは湾岸地域で最初の国際労働機関(ILO)の事務所を開設。しかし、賃金未払い問題等も発生している。
C アルコール飲料:ロシア大会では、対戦チームの映像をリアルタイムで流すカフェーや飲食店でビールなどのアルコール飲料の売り上げが爆発的に増大した。一方、カタールでは、公共の場所でのアルコール飲料は禁じられている。 しかし、カタールはワールドカップのために、人々がビールを飲むための「遠隔地に特定の飲料可能区域」設置に同意した。 これは、サッカーファンがスタジアムから1時間離れた制御された場所でのみアルコール飲料が可能になることを意味する(参考:カタールは原則禁酒国ではありますが、限られた現地駐在外国人用に英国の代表部を通じてアルコール飲料販売許可証が発給され、許可証を有する駐在員は、砂漠の遠隔地にある建屋で、定額以内でアルコール飲料を購入し、自宅で飲料することはできました)。
D 参加チーム数拡大?:1930年に開催された第1回ワールドカップ参加チーム数はわずか13。 1934年には16チームに、1982年には24チーム、1998年には32チームに拡大。FIFAは、ワールドカップが米国、カナダ、メキシコが主催する北米で開催される予定の2026年には、48チームが本選参加が決定。 試合数も64から80に増加する。カタールの関係者は、2022年のカタール・ワールドカップに向けて48チームへの参加チーム数拡大を模索。
(追加)アラブ4か国のカタール封鎖: この項目は記事投稿者の追加です。2017年6月に開始されたサウジ、UAE、バーレーン、エジプトによるカタール断交と陸海空の封鎖は、1年が経過してもまだ解決の見通しはたっていません。このままでは3年先の2022年でさえ、問題が解決しているとは楽観視できません。ロシア大会には、封鎖4か国の中からも、サウジ、エジプトが予選を勝ち抜いて出場しました。ロシア大会開幕戦にプーチン大統領とともに観戦したムハンマド・サウジ皇太子も、スタジアム一面が「Qatar Airways」の宣伝広告文字で染まる中、サウジチームの試合が世界中に放映されることは腹立たしかったのではないかと想像します。2022年については、そのようなカタールでの本選に、封鎖4か国のいずれかが予選を勝ち抜けば、カタールで現実に試合をするのか、サポーターは、陸海空が封鎖されている中、特別措置でカタールに入国することになるのか等懸念材料に事欠きません。アラブ諸国には熱狂的なサッカーファンが多くいます。封鎖4か国とカタールの政治的対立が早期に収束し、カタールと他のアラブ諸国がグラウンドで戦う姿を見ることができるよう願ってやみません。
投稿:八木正典

Posted by 八木 at 15:21 | 中東イスラム世界に関心を抱くあなたへの助言 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)