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「ジャングルの掟」はゴラン高原にも適用されるのか(トランプ大統領によるイスラエルのゴラン高原への主権承認のつぶやき)[2019年03月22日(Fri)]
3月21日、トランプ大統領は、1967年の第三次中東戦争でイスラエルが占領したシリアのゴラン高原について、今や米国は、同高原へのイスラエルの主権を認めるときが来たとツイッターでつぶやいた。このつぶやきが米国の具体的な外交的措置でフォローされるのか否かは不明であるものの、4月9日のイスラエル総選挙をにらんで、トランプ大統領にとっての盟友ネタニヤフ首相が汚職疑惑等で苦戦を強いられていると伝えられる中、トランプ政権がネタニヤフ首相を強力に応援しているとのメッセージをイスラエル国民に伝え、さらに、今後の米大統領再選のための米国内のイスラエル支持母体へのアピールであることは間違いない。しかし、世界のスーパーパワーがお墨付きを与えれば、過去の国連決議も、領土の保全も意味をなさなくなるような行為を国際社会がすんなり受け入れれば、国際社会には、弱肉強食の「ジャングルの掟」が適用されるということになり、ロシアのクリミア併合に如実に示されている通り、強大な軍事力と核兵器を所有し、国連安保理の拒否権を保有しているスーパーパワーに対しては、その他の国々は無力で沈黙するか、迎合するかしか選択肢が残されていないということになる。

1.トランプ大統領のツイッター内容とそれに感謝するネタニヤフ首相のツイッター
(1)トランプ大統領3月21日投稿ツイッター
●52年を経過して、米国がゴラン高原に対するイスラエルの主権を完全に承認すべき時期に来ています。そこは、イスラエルの国家と地域の安定にとって戦略的かつ安全上の死活的重要性を有しています。
(2)ネタニヤフ首相3月21日付ツイッター
イランがイスラエルを破壊するためのプラットフォームとしてシリアを利用しようとしている時に、トランプ大統領はゴラン高原に対するイスラエルの主権を勇敢にも認めてくれました。トランプ大統領ありがとうございます!

2. ゴラン高原の地位と現状
ゴラン高原は、イスラエルの北部、シリアの南西部に位置し、ヨルダン川の流域やガリレア湖にも一部が接する戦略的要衝にある。イスラエルは、1967年6月の第三次中東戦争(いわゆる6日戦争)で圧勝し、パレスチナ人が居住する西岸・ガザ、シリアのゴラン高原、エジプトのシナイ半島を占領した。ゴラン高原については、イスラエルは1981年に一方的に併合を宣言した。第三次中東戦争後採択された国連安保理決議242は、ゴラン高原を含む最近の占領地からのイスラエルの撤退を要求している。安保理決議のイスラエルが撤退すべき地域として、「the」が入らなかったため、全占領地からの完全撤退か、多くの占領地からの撤退で決議を履行しているのかで見解がずれてはいるものの、占領地の大半の維持、あるいは併合等一方的措置は当然認められていない。1973年10月の第四次中東戦争で、シリア軍はゴラン高原の奪還を試みたが失敗した。1974年からは、安保理決議350に基づき、国連兵力引き離し監視軍(UNDOF)が展開している(日本も国際平和維持活動の一環として一時期陸上自衛隊を派遣した)。1981年のイスラエルによる併合宣言については、国連はその併合を認めていない。1971年から2000年まで大統領を務めたシリアのバッシャール現大統領の父親のハーフィズ・アサドは、ゴラン高原の1インチの土地も譲歩することはないとあらゆる場面で宣言してきた。ゴラン高原には、アラブ・ドルーズ教徒住民の居住地とイスラエル人の34か所の入植地が存在する。ミドル・イースト・アイは、ピューリサーチセンターほかを引用して、67年戦争前は、シリア人が13万人いたが、2016年の推定で26,500人のシリア系住民(参考:2011年のシリア内戦ぼっ発を契機にシリア国籍を離脱した者もみうけられるが、そうでない者は、永住許可が発行されている模様)が存在し、一方、イスラエル入植者は20,500としている。

Posted by 八木 at 10:29 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

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