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ホルムズ海峡の航行の自由と安全確保のためのより安価で望ましいもうひとつの途[2019年07月12日(Fri)]
7月10日、ロイター他が米中央軍(CENTCOM)から説明を受けたとして報じたところでは、ペルシャ湾ホルムズ海峡(最少間隔約33km)を通航しようとしていた英国の石油タンカー「ヘリテージ」に合計5隻のイランのイスラム革命防衛隊(IRGC)海上部隊所属パトロール船が接近し、航行を妨げようとしたが、英国の英国海軍(HMS)のフリゲート艦モントローズが、イランのパトロール船に警告を発し、ヘリテージ号は無事ホルムズ海峡を通過した。ホルムズ海峡は世界の原油輸送の約2割、日本にとっては原油総輸入量の約8割、LNG総輸入量の2割弱が通過する死活的に重要な位置にある。なお、今回の事案発生地点は、UAEがイランに不法に占拠されていると主張するアブー・ムーサ島付近であり、同島には、イラン側の部隊も駐留しており、イランからすれば、イラン側支配地帯に近づきすぎたと見方もでき、一方、UAE等アラブ側にすれば、いずれにしてもUAEの固有の領土であり、イランの実効支配は認められないということになる。この件に関する英、米、イランの声明は次のとおり。

1. ペニー・モーダント英国国防相声明(7月11日)
●昨日(7月10日)HMSモントローズの乗組員は、英国の商業船舶ヘリテージのホルムズ海峡無事通過を成し遂げた。私は、英国海軍の卓越したプロとしての仕事ぶりに感謝するとともに、それが国際法に強化し、世界の貿易に死活的に重要な船舶の海峡航行の自由をサポートするものであると考える。英国政府は、この行為を懸念するとともに、イラン政府に状況の鎮静化を求める。
2.米中央軍声明(7月11日)
●我々は、イスラム革命警備隊海軍所属の攻撃用艦艇(FAC / FIAC)が、英国商船であるヘリテージ号が、ホルムズ海峡付近を通過の際、迷惑・航行妨害行為を受けたとの報告に接している。更なる情報は、英国国防省に照会願いたい。国際的な航行の自由への脅威は国際的な解決策を必要としている。世界経済は自由な商業輸送に依存しており、この世界的繁栄の基盤を保護し維持することはあらゆる国に義務付けられている
3.イラン・イスラム革命防衛隊(IRGC)海上部隊の第5海域担当広報部声明(7月11日)
●IRGCの海軍艦艇によるパトロールは、警戒、正確さ、そして強さをもって、現行の手順と任務に基づいてペルシャ湾で遂行されている。過去24時間の間に、英国を含む外国船舶との遭遇はなかった。

(コメント)
今回のイラン側パトロール船の英国船舶への接近は、7月6日英国が自国領と主張するジブラルタル海峡で、シリア向けに石油を輸送しているとの疑惑でイランの大型タンカー「グレース1」が拿捕され、英・イラン間の緊張が高まっている中で発生したもので、双方の衝突には発展しなかったものの、極めて憂慮される事態である。イラン側は、「グレース1」拿捕が、違法なもので、即時解放を求めているが、ジブラルタル当局は、船長他一部乗組員を逮捕し、船内の文書、通信記録等も押収し、グレース1が欧州の対シリア制裁に違反したことを明らかにしようとしている。これに対して、イラン側は、この件を静観することはできないと反発していた。折から、7月9日米軍制服組トップのダンフォード統合参謀本部議長は、ペルシャ湾出入り口のホルムズ海峡ならびに紅海南端のバーブ・アル・マンデブ海峡航行の安全と自由を確保するための「有志連合」をつくれるかどうか、多くの国々と連絡をとっているであると発言し、日本も早晩、航行の安全は自国で守るべきであると主張するトランプ政権との間で立場を明確にすることを迫られることになる。

有志連合の形成とは、すなわち、イラン脅威論にのっかり、海上でのイラン包囲網を形成しようとする試みである。軍事力を誇示して、イランが商業船舶の航行を妨害しようとする行為を阻止する、諦めさせるとの計画であるが、素人的にみても、イランは、ペルシャ湾の片側の長大な距離を占め、地理的に他に移動させることはできない。また、タンカー一隻ごとに護衛船がつくとすれば、その費用と手間は計り知れない。海上輸送の保険料も上昇する。さらに突き詰めれば、世界の経済は、電気自動車の普及に象徴される通り、脱石油に動いており、また、湾岸石油の優位については、サウジアラビアでさえ、原油産出国トップの座を米国に譲っている。先進工業国は、非常に障害が多く、費用がかかるペルシャ湾の原油に頼らなくてもすむ方向に急速に向かっていく可能性も排除できない。そうなると真っ先に困るのは、ペルシャ湾岸内の米国の同盟国であるアラブ諸国である。イランに懸念があるのであれば、イランを孤立化・標的にするのではなく、イランを巻き込んで、国際社会が監視する中でペルシャ湾沿岸国とイラン、ならびに原油輸入国の間の航行の安全と自由を確保するための透明性ある枠組みを構築することが安上がりで、効果的である。対立を煽るのではなく、協調の中で、航行の自由と安全を模索する姿勢が今求められている。

Posted by 八木 at 10:42 | 情報共有 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

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