非核化協議に関してポンペオ米国務長官が示した認識と、同長官の取り組みに対する北朝鮮の非難との溝は拡大し、朝鮮半島非核化につながるはずの交渉の混迷は深まっている。
北朝鮮当局者と国営メディアはこの数週間で2回、非核化協議に対するポンペオ長官の評価に反論
米政権は朝鮮戦争終結などの問題を無視し、近視眼的に非核化に集中していると示唆した。
トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が和平推進で楽観的なやり取りを交わす中でも、ポンペオ長官は一段と北朝鮮の非難の的とされている。
先週、ポンペオ長官はシンガポールで開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)会合に合わせて北朝鮮の李容浩外相と「短く、礼儀正しく会話」し、トランプ大統領からの金委員長への返書を手渡した。
その後、同長官は「われわれがこれを決着させられると楽観している」と述べた。
一方で、緩和の兆候が見られる北朝鮮への制裁を維持するようロシアや中国などに呼び掛けた。
これに対し北朝鮮は、ポンペオ長官率いる米国務省は「時代遅れのギャングのような論理」と「君主制の思考方法」に取りつかれており、「前代未聞の悲喜劇」を演じているのに相当すると指摘。
李外相はポンペオ長官が会合の場を離れた後、同長官は「一方的な要求」を行ったとし、「信頼構築に短気は全く役に立たない」と指摘した。
北朝鮮国営の朝鮮中央通信(KCNA)はポンペオ長官の姿勢に対し、「米国は『圧力外交』からは何も得られない」との見出しを付けた記事を掲載。
「米国が『制裁と圧力』という昔ながらの見解を脱し、信頼と尊重にどれだけ重きを置けるかが、今後の全てを決めるだろう」と主張した。
シンガポールでのポンペオ米国務長官(左)と北朝鮮の李容浩外相(4日)写真家:Joseph Nair / AP