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尖閣列島と商社マンの視角 駐中国日本大使の予測 [2016年10月24日(Mon)]
尖閣列島と商社マンの視角

大分前に書いたことだが、ご参考に。

駐中国日本大使の予測
丹羽宇一郎駐中国日本大使は2012年6月7日付にて 英国紙フュイナンシャル・タイムス紙のインタビューに対し (尖閣列島の買収が、)"実行された場合、 日中関係に深刻な危機をもたらす"と注意を喚起した話をしたことに より駐中国大使を交代させられた。
この予測は、ズバリ当たってしまった。

的確な情報収集
もともと、丹羽氏は商社のトップを務めたあと、 外交官に転じたもので、そのセンスは商社マンそのものである。 商社マンの主たる仕事は、情報収集とその分析、 そして、それを商機に結びつけていくことである。 元大本営陸軍参謀、瀬島龍三が伊藤忠商事に入社し 辣腕をふるったのも、情報の収集と分析、 その商機への組み立て方にあったと言ってよい。
 その情報収集というレベルでは、外交官の業務も実は商社マン と同じようなもので、それを商機に結びつけなくてもよいだけである。 [外交官は利益を上げるノルマがない。が、外交官の情報は 国民の命に直結する。]

中国との経済断交の危険性の予測をしたか。
 すなわち、普通の外交官は、日本が尖閣列島を買い上げれば、 中国がどう反応するかは情報として入手しなければならないし、 外務省や関係省庁は、その情報を十分、分析して中国の出方 を推測していたはずだ。
丹羽氏は商社マンだけにその嗅覚は正確であった。
多分推測だが、外務省は、丹羽駐中国大使の情報を取り入れ なかったのだろう。また経済担当の部局、金融担当の部局、 軍事担当の部局(防衛省)も中国の出方に対する分析が 甘かったのではないか。

 政府・官庁は、中国との"経済断交"の対策を準備して いなかった印象を受ける。
いつの時代も最悪のシナリオを想定して準備しておく ものであるはずだが。
その点、中国は十分準備していてすぐさま世界に対して 次々と手を打っている。

アメリカに失望・落胆
一方、アメリカの対応は日本人をがっかりさせるものであった。
1、 アメリカは沖縄を日本に返還するときに、尖閣列島も 当然含めて返還している。
2、 アメリカは日米安保条約に基きいつでも第七艦隊 を尖閣列島に派遣し防衛する。
と中国に言うと期待していた多くの日本の主婦は、 アメリカに失望して、落胆して、 "何のための同盟国なのかしら。"と疑問に思った人も多いだろう。

こう考える主婦が間違いなのだろうか。 “主権に関する対立では特定の立場をとらない。”とアメリカはいうが、 国家間の争いは主権のぶつかり合いなのではないか。?
アメリカは同盟国の日本の側に立つ発言はなく、 中立的な立場を強調するスタンスである。 しかも日本には、強引な"オスプレイ"の押しつけと 高額な防空兵器の売り込みである。 移動式早期警戒レーダー”xバンドレーダー”で 弾道ミサイル防衛のためだと言うが、なんで”弾道ミサイル 防衛”が尖閣に必要なのだろうか。

結果として誰が得をするかという視点
物事をみるとき、"日本と中国をいがみ合わせようとする 勢力があり、いがみ合った結果、誰が得をするのか"という視点から 我々は冷静に判断し、"真に仕掛けたのは誰か"を見ることである。 そこから解決への糸口が見えてくるかもしれない。

はっきりしていることは、損するのは日本人と中国人である。
これから、長期にわたる外交、経済、観光、軍事を 含めた争いとなる。中国との輸出入が大きなウエイトを 占めるなか、経済へのダメージをどう切り抜けるのか、 フクシマの原発事故を未だ収束できず、 しかも東日本を復興させねばならず、 日本はどう解決するのか、中国と握手できるか、 3正面作戦である。 正念場である。
但し、修復へ条件のサインは中国から発信されている。



<付記>歴史との対話
中国の外交官、胡適の洞察力
1935年当時の中国の駐アメリカ大使であった "胡適"の言葉が残っている。 第二次世界大戦がはじまる10年前である。 中国の現役[当時]の外交官の洞察力、すごさがでている。
現在に引き戻して考えてみれば、 日本の駐米アメリカ大使は、アメリカの動向について どのような報告を外務省に送っているのであろうか。 興味あるところである。

以下引用
胡適は"アメリカとソビエトをこの問題に巻き込むには、 中国が日本との戦争をまずは正面から引き受けて、 2−3年間負け続けることだ"といいます。 このような考え方を蒋介石や汪兆銘の前で断言できる 人はスゴイと思いませんか。日本でしたら、 このようなことは、閣議や御前会議では死んでも 言えないはずです。これだけ腹の据わった人は面白い。

1935年までの時点では中国と日本は、 実際には、大きな戦闘はしてこなかった。 満州事変、上海事変、熱河作戦、これらの戦闘は どちらかといえば早く終結してしまう。 とくに満州事変では、蒋介石は張学良に対して、 日本軍の挑発に乗るなといって兵を早く退かせている。
しかし胡適は、これからの中国は絶対に逃げてはダメだという。 膨大な犠牲をだしてでも戦争を受けて立つべきだ、 むしろ中国が戦争を起こすぐらいの覚悟をしなければいけない。 といっています。日本の為政者で、 こういう暗澹たる覚悟をいえる人がいるだろうか。

中略
胡適の場合、3年はやられる。しかしそうでもしなければ アメリカやソビエトは極東に介入してこない。 との暗い覚悟を明らかにしている。 1935年の時点での予測ですよ。 なのに1945年までの実際の歴史の流れを正確に言い当てている 文章だと思います。

中略
ここまで覚悟している人たちが中国にいたのですから、 絶対に戦争は中途半端な形では終わりません。 日本軍によって中国は1938年10月位までに 武漢を陥落させられ、重慶を爆撃され、 海岸線は封鎖されていました。
普通、こうなればほとんどの国は手を上げるはずです。 常識的には降伏する状態なのです。 しかし、中国は戦争を止めようとはいいません。
胡適などの深い決意、そして汪兆銘のもう一つの深い決意、 こうした思想が国を支えたのだと思います。
引用終、”それでも、日本人は戦争を選んだ”より、

<データ>
"それでも、日本人は戦争を選んだ" 加藤陽子
"歴史とは何か"            E・H・カー
歴史とは現在と過去との間の尽きることを知らぬ対話

<追記>外交官は総力を
*これからが、難しい、中国とハードな外交交渉に入ることになるが、 中国の外交官の、胡適のようなすごみを、歴史から学ぶべきと思う。 日本の外務省・外交官は、相手をよく研究し、将来を見据え、 他国の思惑に惑わされず、両国が いがみ合いに陥らないようにねばり強い外交交渉を 進めてもらいたい。

*丹羽駐中国日本大使は、商社のトップを務めたのであり、 新聞記者などに不用意に発言することはありえない。 日本国民に、特に経済的最悪事態に陥る危険を、直接、 知らせねばならないという確信からの発言であったろう。 そして、中国に駐在している多くの日系企業他の日本人・家族が危険 にさらされるのを危惧していた。と推測する。

Posted by ゆう東洋医学研究所 at 08:45 | 中国の軍事動向 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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