第1話 フジの花[2009年05月08日(Fri)]
箕面だんだんクラブの団体ブログは、第125話「竹の開花現象」を公開して閉じることになりました。いずれ会の活動報告等は団体ブログで発信されることと思います。
ところで、日本財団CANPNANでは団体ブログのほかに、個人ブログも公開できることになっています。そこで、団体ブログの視点とは違った形で、個人ブログを試みてみることにしました。テーマは団体ブログとしてのある種の制約(活動報告など)を考えず、自由で身近な話題を取り上げてみることにしました。自由といえども、そこには節度とけじめをわきまえて発信するのは当然です。四季折々の興味ある話題などを取り上げてみたいと思っています。
そこで、今あちこちでフジの花が咲きそろって見ごろですので、この話題を取り上げてみました。
山の急斜面にフジの花が咲いているが?
箕面環境クリーンセンターへ行く道路の勝尾寺川沿いの道を走っていると、山の急斜面のあちこちでフジの花が咲いているのが目につく。5月に入って一段と若葉が映える中にあって、淡紫色の花は際立っている。道路沿いに生えていたフジの花をカメラに収めた。
さらに近づいて接写してみると、花が多数で、軸に均等についた総状花序(花序:花は種によって一定の方式に従って配列している。花のついた枝全体または花のつき方をいう)になっている。長いものでは1メートルにびっしり花をつけたものもあるという。
フジはマメ科のつる植物で、他の植物などに巻きついて、光を求めてどんどんつるを伸ばしていく。つるが木に巻きついて「巻き殺し」となることもあるそうだ。だから、手入れの行き届いた山林では、つる植物は刈り取られるが、この花が目立つのは逆に管理を放棄した山林といえるだろう。
つる植物の「巻き殺し」
植物は光合成によって成長していくので、光を求めてどんどん背丈を伸ばしていく。つる植物は、他の木に巻きつきながら成長していくから、余分な労力を使わず、茎だけを伸ばしていけばよい。
「他人のふんどしをしめて相撲をとる」ということわざがあるが、丈夫な木のふんどしでつるを伸ばして強くなったのを良いことに、お世話になった木を絞め殺すとは、なんとも残酷な話だ。
昨年5月、芦生の森原生林を歩いたとき、つる植物が巻きついている木の写真を撮っていた。人の手が加えられていないので、つる植物が大木に巻きついていて、自然のままになっていた(写真3)。
写真3:つるが巻きついた古木(芦生の森にて)
写真3の木もやがて、写真4の右側の木のように朽ちていくのだろう。
写真4:つる植物にしめ殺された木?
「巻き殺し」とか「しめ殺し」とは物騒な話題になってしまったが、植物の世界でも生存競争が厳しいようだ。
白いフジの花咲いていた!
主要地方道43の豊中亀岡線で茨木市泉原を抜けて、東海自然歩道のルートと交わる忍頂寺バス停の近くに「忍頂寺スポーツ公園」がある。
フジの花とそのつるを見るために、この道路を走っていて偶然に見つけたスポーツ公園内の竜王山荘で休憩した。山奥のこんな場所にテニスコートや球技場や宿泊できる立派な施設が整っているのに驚いた。
山を切り開いて造成した場所だけに建物から下の球技場まではかなりの高低差がある。その差を利用したローラースライダーがある。自重で滑り降りる滑り台にローラーが取り付いているから、一般的な滑り台より面白いようだ。滑り降りてから、元の高台まで登らなければならないので、楽しみながら体が鍛えられる。
そのローラースライダーを降りきった先に藤棚があって、白いフジの花が満開だった。
写真5上段:白いフジの花が満開
下段:太い茎に咲くフジの花
この白いフジの花の茎は写真5からわかるように見事だ。藤棚の擬似丸太(コンクリート製)と遜色ない太さだ。このフジの経歴は知らないが、かなりの年数ものだろう。こんな太い茎で寄りかかられた木に、じわじわと締め付けられてたまったものではない。藤棚がコンクリート製である理由がわかるような気がする。
ところで、日本には、「のだふじ(ふじ)」と「やまふじ(のふじ)」がある。「のだふじ」は牧野植物大図鑑によると、「日本名は野田藤の意味で、野田は大阪の地名で、昔同地はフジの名所であった。フジは吹き散るの意味であるといわれている」と書いている。
「私たちの町・大阪市福島区」と「のだふじ」で検索すると、「今から約600年ほど昔(南北朝時代)その美しさで知られ『吉野の桜』『高雄の紅葉』とともに三大名所と言われ、野田の藤見物が盛んでした。 江戸時代には野田村の『藤之宮』と呼ばれた春日社(玉川2丁目)周辺が藤の名所であったことは、『摂津名所図会』に『野田藤 春日の林中にあり、昔より紫藤名高くして』と紹介されています」と書いてあった。福島区野田が名前の由来である。
ノダフジはつるの巻き方が左巻きで、ヤマフジは右巻きだそうだ。右巻き、左巻きといわれても理解しにくい。別の機会に取り上げてみたい。
この稿の最後に松尾芭蕉が藤の花を詠んだ一句
『草臥れて 宿借る頃や 藤の花』 (くたびれて やどかるころや ふじのはな)
「意味:旅の疲れで旅籠を借りる夕暮れ時、暮色に淡い紫色の藤の花が旅愁を誘う」
(平成21年5月8日)
はじめましてどきゅんLINKと申します。
ネットをさまよっていたらこちらのブログへ辿りつきました。
記事拝見させて頂きましたが
とても素敵なブログですね^^
これからも頑張ってください!