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海洋汚染情報 −海の事件簿−
海上で起きた重大な汚染事件・事故について、独自の視点から鋭くメスを入れ、分析・解説する”海の社会部デスク”、その名も”元海の男”、職業”(さすらい派)研究員”による海の事件簿。
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『★明石海峡衝突海難、ノロノロ運転の理由とは?★』[2008年04月09日(水)]

3月5日、神戸市・垂水区沖の明石海峡で3隻が関係する衝突海難が発生、ベリーズ船籍の貨物船“ゴールドリーダー(1,466総トン)が沈没、外国人船員二人が死亡、二人が行方不明となった事故の続報です。

一昨日(4月7日)、海上保安庁は、新たに“ゴールドリーダー”の乗組員1人が遺体で見つかったと発表しました。

乗組員の遺体は、4月5日午後、和田岬の沖合いで操業していた、底びき網漁船が引き揚げたもので、“ゴールドリーダー”に乗船していたフィリピン人機関員(29歳)であることが確認されました。司法解剖の結果、死因は溺死とされています。これで、今回の事故による死者は3人、行方不明者は1人となりました。

また。別の報道によれば、この事故で海上保安庁は、最初に衝突した砂利運搬船“第5栄政丸(496トン)”と、ケミカルタンカー“オーシャン・フェニックス(2,948トン)の各当直航海士を、業務上過失致死傷などの容疑で、今月中にも書類送検する方針を固めたそうです。

つまり、各船の2人の当直航海士が、手動操舵を行なうべき輻輳海域で、漫然と自動操舵で航行し、適切な回避措置を怠っていた疑いがあると判断したようです。

この事故は明石海峡の東側の入口付近で起きました。関係した三隻は、いずれも東から西へ向っていました。

まずは、北東方向、すなわち、神戸港の方角から姫路の母港に向っていた進入しようとしていた砂利運搬船“第五栄政丸”(496総トン)の船首が、ケミカルタンカー“オーシャンフェニックス”の船尾に衝突しました。

“第5栄政丸”には船長が不在で、航海士一人が椅子に腰掛け、自動操舵で操船していたと報じられています。視野が制限され、“オーシャンフェニックス”の存在に気付くのが遅れたと言うよりも、居眠り運転の可能性が高いと考えられます。

一方、 “オーシャンフェニックス(2,948総トン)”ですが、事故前まで、自動操舵で操船していました。しかも、間もなく狭水道である、明石海峡航路に到着しようというのに、船の責任者である船長が船橋内に不在でした。

一部の報道では、当直航海士の相棒の操舵手が、操舵室を離れ、甲板上で積荷のエチレンの温度チェック等を行なっていたとされていますが、どうやら、そうではないようです。

たしかに操舵手は、事故当時、自動操舵に切り替え、舵輪は握っていなかったのですが、甲板上にいたわけではなく、同じ操舵室内の後方に位置するコンソールパネルを見ながら、定時チェックのための“メモ書き”を行なっていたようです。

“オーシャンフェニックス”の航海士は、衝突の三分ほど前に、右後方、“4時の方向”から、自船より約3ノット速いスピードで、次第に迫って来る、“第5栄政丸”の存在に気付いていたようです。

彼は、「もうすぐ明石海峡航路に入る。右後方から迫って来るあの船も、間もなく針路を右に変え、明石海峡航路内を航路に沿って平行に航行していくだろう。この船と同じ針路をとるであろう。」と考えたのでしょう。

しかし、数百メートル近くまで迫っても、針路を変えずに斜航してくる“第5栄政丸”に対し、さすがに危険を感じ、慌てふためき、当直航海士自らが舵輪に飛びつき、自動操舵から手動操舵に切り替えた模様です。疑問信号は、間に合わなかったようです。

後方から迫って来る、高速の船を避けることは非常に困難です。しかも、明石海峡にほとんど入航するような状況下で、両側には航路のブイ、加えて、運の悪いことに、“オーシャンフェニック”は、スピードの遅い“ゴールドリーダー”を、右舷後方から追い越そうとしていました。つまり、“オーシャンフェニックス”の左舷至近には、“ゴールドリーダー”が並走していたのです。大幅な針路の修正はままなりません。また、大幅な増速もままなりません。

こうした状況下、「あなたなら、どうするのか?」、周囲の現役・OB船長に、聞き取り調査をしてみました。

「“第5栄政丸”に対し、疑問信号を行ない続ける。」は、皆さんの共通意見。「その後は?」と言えば、「やりようがない!」という意見が多数、「早い時点でエンジンをストップし、“ゴールドリーダー”に対する追い越しを中止、同時に“第5栄政丸”と危険な関係を回避する。」とした、優等生的な回答が一件でした。

なお、優等生的回答も、「どの時点でエンジンを止めるのか?」については、「その場におかれなければ、明確に答えられない。読みが的中すれば“追突”回避だが、はずれれば、“追突”される。」でした。

なお、“ゴールドリーダー”の事故時の速力ですが、当時、逆潮が1.7ノットあったとは言いながら、4ノットそこそこしか出ていなかったと言われています。

私たちが老体に鞭を打ち、横浜港のカッターレースで漕いだとしても、4ノットは出るかもしれません。事実だとすれば、人間の早足、または、小走りする速度に匹敵する“超スロースピード”です。

たしかに、“ゴールドリーダー”は老朽船でしたが、4ノットは極端な気がします。エンジントラブルなど、何らかのハプニングにでも見舞われていたのでしょうか。



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