『★中国製ギョーザと鹿島港の安全性?★』[2008年02月06日(水)]
農薬が混入した中国製ギョーザによる中毒事件ですが、昨日の報道によると、中国・河北省のT食品が製造し、福島県内で販売されたギョーザの中から、既に検出され今回の中毒事件の原因とされてきた“メタミドホス”とはまったく異なる、別の有機リン系農薬“ジクロルボス”の成分が検出されたそうです。
真相がいまだ解明されていない状況下、新たな農薬が検出されたことにより、事件はますます複雑化する様相を呈しています。
原因がいまだ解明されていない時点で、軽々しいことは言えないのですが、少なくとも海事を専門とする私としては、船舶や港が関わっていないことを祈るばかりです。
日本側の食品会社や小売店などが既に蒙った経済的損失は、おそらく数十億円規模では済まないのではないでしょうか。今後の状況次第では、当然のことながら損害賠償請求といった事態に発展することが容易に予想されます。
さて、損害賠償といえば、一昨日(2月4日)、中国の海運会社C社が、日本の海運会社D社に対し、総額約200億円にのぼる損害賠償を求める意向を伝えてきたそうです。
C社はD社に対し、一航海のみという契約で、自社船の“オーシャン・ビクトリー”を貸し出しました。D社は同号を南アフリカ・サルダニアベイから鹿島港まで、鉄鉱石約17万トンを運ぶ航海に従事させました。
鹿島港に無事到着した同号は、鉄鉱石の揚荷役を開始しました。しかし、台風並みに発達した“爆弾低気圧”が関東地方を通過する異常な荒天下、同号は荷役を中断し鹿島港外に退避しようとしましたが、港の出口付近で力尽き、ついに座礁してしまいました。昨年の10月24日のことでした。幸いにも、乗組員の生命に異常はありませんでしたが、
その後、同号の離礁作業が行われましたが、悪天候に阻まれなかなか進みませんでした。離礁まで“あと一歩”と迫りながらも、持ち堪えきれず、12月末、再び鹿島を襲った大時化のため、ついに船体破断に至り全損してしまいました。
今回の中国C社の主張は、「同号を借り受けたD社が、“安全な港(safety port)”を用意する義務を怠ったため事故が発生、損害を蒙った。」ということです。裏を返せば、鹿島港は“安全な港”ではなかったとするものです。
通常、用船契約を行なう際には、契約の中に「用船者(D社)は、(“オーシャン・ビクトリー”のために)“安全な港”を用意する。」という条項を盛り込みます。当然、今回の契約にも盛り込まれています。
用船したものの、その船にとって水深が十分でないような港、あるいは狭すぎる港への入港は、この条項をもとに拒否することができます。すなわち“非安全港”だからです。無論、“非安全港”へ無理やり入港させ、結果、船体損傷などが生じた場合、用船者の責任となります。
港がその船にとって安全であるか否かは、船のサイズや性能、気象・海象によって判断が異なります。今回のように、平素は大丈夫なのだが、一時的に荒天に見舞われ、港外退避するような状況に陥った場合、過去の判例では“非安全港”とはせず、“安全港”と位置づけています。
優れた航海技術をもってすれば、あるいは、事前に一時的な異常を察知することにより、危険を回避できるからです。
今回の事件は、普通であるならば、乗組員の不注意、譲ったところで不可効力によって発生したものと判断されます。したがって、どの道、用船者であるD社には、C社に対する賠償責任は生じないはずです。
ただし、ロンドン仲裁裁判所に持ち込まれ、万が一、鹿島港が“非安全港”と認定された場合は別です。D社に賠償責任が生じてしまうのです。
さて、鹿島港は“安全港”なのか、“非安全港”なのか、状況次第では、本ブログの今年の大きなテーマの一つとなるかもしれません。

真相がいまだ解明されていない状況下、新たな農薬が検出されたことにより、事件はますます複雑化する様相を呈しています。
原因がいまだ解明されていない時点で、軽々しいことは言えないのですが、少なくとも海事を専門とする私としては、船舶や港が関わっていないことを祈るばかりです。
日本側の食品会社や小売店などが既に蒙った経済的損失は、おそらく数十億円規模では済まないのではないでしょうか。今後の状況次第では、当然のことながら損害賠償請求といった事態に発展することが容易に予想されます。
さて、損害賠償といえば、一昨日(2月4日)、中国の海運会社C社が、日本の海運会社D社に対し、総額約200億円にのぼる損害賠償を求める意向を伝えてきたそうです。
C社はD社に対し、一航海のみという契約で、自社船の“オーシャン・ビクトリー”を貸し出しました。D社は同号を南アフリカ・サルダニアベイから鹿島港まで、鉄鉱石約17万トンを運ぶ航海に従事させました。
鹿島港に無事到着した同号は、鉄鉱石の揚荷役を開始しました。しかし、台風並みに発達した“爆弾低気圧”が関東地方を通過する異常な荒天下、同号は荷役を中断し鹿島港外に退避しようとしましたが、港の出口付近で力尽き、ついに座礁してしまいました。昨年の10月24日のことでした。幸いにも、乗組員の生命に異常はありませんでしたが、
その後、同号の離礁作業が行われましたが、悪天候に阻まれなかなか進みませんでした。離礁まで“あと一歩”と迫りながらも、持ち堪えきれず、12月末、再び鹿島を襲った大時化のため、ついに船体破断に至り全損してしまいました。
今回の中国C社の主張は、「同号を借り受けたD社が、“安全な港(safety port)”を用意する義務を怠ったため事故が発生、損害を蒙った。」ということです。裏を返せば、鹿島港は“安全な港”ではなかったとするものです。
通常、用船契約を行なう際には、契約の中に「用船者(D社)は、(“オーシャン・ビクトリー”のために)“安全な港”を用意する。」という条項を盛り込みます。当然、今回の契約にも盛り込まれています。
用船したものの、その船にとって水深が十分でないような港、あるいは狭すぎる港への入港は、この条項をもとに拒否することができます。すなわち“非安全港”だからです。無論、“非安全港”へ無理やり入港させ、結果、船体損傷などが生じた場合、用船者の責任となります。
港がその船にとって安全であるか否かは、船のサイズや性能、気象・海象によって判断が異なります。今回のように、平素は大丈夫なのだが、一時的に荒天に見舞われ、港外退避するような状況に陥った場合、過去の判例では“非安全港”とはせず、“安全港”と位置づけています。
優れた航海技術をもってすれば、あるいは、事前に一時的な異常を察知することにより、危険を回避できるからです。
今回の事件は、普通であるならば、乗組員の不注意、譲ったところで不可効力によって発生したものと判断されます。したがって、どの道、用船者であるD社には、C社に対する賠償責任は生じないはずです。
ただし、ロンドン仲裁裁判所に持ち込まれ、万が一、鹿島港が“非安全港”と認定された場合は別です。D社に賠償責任が生じてしまうのです。
さて、鹿島港は“安全港”なのか、“非安全港”なのか、状況次第では、本ブログの今年の大きなテーマの一つとなるかもしれません。













